Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

How We Compete グローバルビジネスのやり方

2006-09-24 | Business
 本書は、ジュンク堂の池袋店の店頭で偶然目にして購入。

 原題は、
 「How We Compete: What Companies Around The World Are Doing To Make It In Today's Global Economy」
 MIT産業生産性センターのを中心とした研究チームによる、「グローバル」化における企業経営に関する、5年間の研究報告である。米、欧、アジア、そして日本の主要企業500社を徹底調査したもの。

 随所に色々な国での色々な企業にかかわる具体的な数字(出所明記)がでていて、とても面白い。日本についても、あまり知られていないことが、しっかりと調査されまとめられる。

 筆者代表は、MITの政治学科主任教授、 スザンヌ・バーガー(Suzanne Berger) 先生 。MIT産業生産性センターの面々はとても豪華。MITの外部の協同研究者も多数。

 訳はスムース、注も翻訳されているのがとても良い。ここ数年の、草思社の経済/経営系の本の中では、一番良いのではないだろうか?
 グローバル化、グロバール経済における、企業経営に関して興味のあるすべての方に、オススメの一冊。
 この内容で、400ページで、2200円は、とってもお得!


MITチームの調査研究によるグローバル企業の成功戦略
スザンヌ バーガー, MIT産業生産性センター 著, 楡井 浩一 訳
草思社

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古くて新しいバイオエコシステム再考

2006-09-20 | Environment
 本書は、日本の湖や沼の自然環境、特に水中の植物(沈水植物)と、その周辺での人々の営みについて、丹念な調査をもとにまとめられたものである。
 筆者らは、単なる生態環境だけでなく、「モク採り」と呼ばれる沈水植物の採取について産業と文化の歴史として丹念に調べている。 
 湖や沼に沈水植物が沢山茂っていた時代の、湖沼の自然環境と人間とのかかわり合いを、「里山(さとやま)」に模して、「里湖(さとうみ)」ととらえ、そこから、50年前にはちゃんと維持されていた、沈水植物を媒介とした湖沼の環境保全システムを再考しようという意欲作。

 筆者は、在野の湖研究家、産業総合研究所の水環境の専門研究者、衛生公害研究所の研究者の混成チーム。

 [目次]
 1.湖沼における自然再生と50年前の水面下の世界
 2.中海-50年前の水面下の世界と人々の暮らし-
 3.宍道湖-50年前の水面下の世界と人々の暮らし-
 4.山陰地方の小規模な潟湖-50年前の水面下の世界と人々の暮らし-
 5.全国の湖沼-50年前の水面下の世界と人々の暮らし-
 6.沈水植物が繁茂していた頃の湖沼生態系と物質循環
 7.自然再生事業と「里湖」文化の今日的意義-結語にかえて
 付表:モク採り関連年表
 (肥料藻採集実態の湖沼間比較/社会の変化と湖沼環境の変化)

 水辺の自然環境に興味のあるかた、現在の河川や湖沼の水辺の環境管理や保全方針に疑問のある方に、広くオススメする一冊。

里湖モク採り物語-50年前の水面下の世界
平塚純一、山室真澄、石飛 裕 (著)
生物研究社

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環境安全工学 1

2006-09-12 | Mech Eng
 某大学の機械系の学科で「環境安全工学」という科目を講ずることになった。
 
 ただの「安全工学」ではなく「環境」と付くところがミソである。
 機械システムだけでない様々なシステムでの「安全」、環境的な「安全」について、取り扱う予定である。

 発電所、大規模プラント、エネルギーシステム、交通システム、通信ネットワークなどのミッション・クリティカル・システム等における故障、事故、あるいは、環境、特に生物圏、人体に影響を与えるトラブルは,いったん発生すると社会や経済に非常に大きい影響を及ぼすことがある。機械やシステムの設計者/運用者は、このような事故やトラブルを未然に回避、予防すべく努めなければならない。
 機械やシステムあるいはそのまわりの環境に関して広い意味での「安全と信頼性」について、工学的な概念と手法の基礎を学んでほしい。また、過去のケーススタディから、安全のための予防原則についても理解を深めてほしい。

 さらにまた、
  個別の知識ではなく、その背景となる、原理原則、考え方
  それらの、調べ方、学び方
  故障や事故の元となりやすいシステムの弱点、人間の弱点
  「安全」「信頼性」についてのカン
  予防原則
  事例、歴史から学ぶ姿勢
 などを、多少なりとも身につけることを、重視していきたい。


 一冊で済むちょうど良い教科書がないので、以下のような複数の参考書も用いる予定である。


 教科書:
機械安全工学―基礎理論と国際規格
清水 久二, 福田 隆文(著)
養賢堂

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 参考書:
環境安全科学入門
玉浦 裕, 辻 正道, 日野出 洋文, 北爪 智哉, 原科 幸彦, 関口 秀俊(著)
講談社

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国際化時代の機械システム安全技術
向殿 政男(監修), 安全技術応用研究会(編)
日刊工業新聞社

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人間・環境・安全―くらしの安全科学
及川 紀久雄, 北野 大(著)
共立出版

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レイト・レッスンズ―14の事例から学ぶ予防原則
欧州環境庁(編著), 松崎 早苗, 安間 武, 水野 玲子, 山室 真澄(訳)
七つ森書館

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 これら以外にも、講義の中で、適宜参考書を紹介する予定である。


2006/10/01 追記:
 評価の配分は、概ね、以下のバランスを予定している。

  出席: 30-40%     重視 60%以上の出席が必要
  宿題: 15-20%     読書する機会を増やす
  期末レポート: 20-25%
  期末試験: 30-40%   試験の成績だけでは単位は出ません

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職人、技術者、経営者の心得

2006-09-05 | Business
 オフィスの近くの書店で目について購入した一冊。2003年に単行本として出版されたものを新書化。
 
 筆者は、「痛くない注射針」、「携帯電話用リチウムイオン電池ケース」などで有名な、岡野工業株式会社の 岡野雅行 代表社員
 1933年東京の下町で育ち、家業の金型工場を手伝いながら修行し、1972年に岡野工業を設立。ステンレスの深絞り加工等では、世界的に知られる「町工場のオヤジ」。

 職人として、技術者として、経営者として、大人の男としての心得と実体験を、テンポの良いエッセイとしてまとめている。

 目次
  発想と応用 ― なぜ、可能になるのか?
  自由気まま ― 不真面目と莫迦は似て非なるもの
  打破 ― 世の中には最初から実績のあるやつなんていない
  習慣 ― つくる発想、できる発想
  周期 ― いま取り組んでいるものが未来をつくる
  反骨 ― 手を動かせば解決方法が見えてくる
  勘 ― 図面がないとできないのは本当の職人ではない
  縁 ― その名人は無名人
  忍耐 ― 転んでもただでは起きない
  秘守 ― 人気のラーメン屋がスープの秘密を教えるわけがない
  温故知新 ― 手作業はハイテクを制す
  先人 ― だれだって、最初は人の真似から始まるんだ
  修練 ― 武蔵だって、いろんな流派と対戦して強くなった
  陰で自助努力 ― 二十年間、毎日、ドイツ語の文献を眺めていた
  蓄積 ― 指先にカネが生る
  〔ほか〕

  工学部の学生、プロの技術者や技術系の会社のマネジメントを目指す若い世代の人に、是非読んでもらいたい、オススメの一冊。

あしたの発想学
岡野雅行
リヨン社

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