クロスバイクで元気

念願叶った定年退職の身は、先立つ物は細く時間は太くの狭間。
歩いて、自転車に乗って感じたことを、気ままに書き続けます。

北籔和さんが描く自らの心の襞は、瞬きもしない空気に包まれた瓦礫の山

2015年05月22日 19時03分29秒 | 美術展
清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレを観てきました。
近くの美術館で、公募展の力作がじっくりと観られるのは楽しいことです。

総じて画家自身の心の奥深くを洞察する作品が多く、画家によって異なる表現が、1枚1枚に私を引き込んでくれます。
さて4名の審査員が選んだ賞とは別に、展示されていた作品について私好みでトップ1を選んでみました。

『のしてんてん「道」』
北籔和さんの作品です。画面の隅々にまで描きこまれた茫洋とした静けさは、まるで魔物の体の中に入ったようです。
完全な密封空間の暗いトンネルの中のような光景は、空気が瞬きもしません。
真ん中に無造作に置かれた箱が破れ、そして破れた箱の中にはぎっしりと小さな瓦礫状の石ころが詰まっています。
箱の手前にも石ころがびっしりと埋め込まれています。

『私の創作が一貫して心とは何かという問いかけであり、すべてが心象風景であるから。』とは画家の言葉です。
画家は続けます。『心に苦悩を生み出す様々な煩悩を進む人の心を見つめたもの。』

画家の生み出す世界。
透明で荒涼と広がる世界に画家は何を託すのか。
画家の前に進もうという力が、大きな何者かによって行き先を不透明にさせられながらも、画家は自身の心の襞に満身の光を当て、画家の強い意志がじっと前を向きます。

(作品題の“のしてんてん”は、“心”という文字を1画ずつばらして読んだものであり、画家の創作語だそうです。そして画家は全ての作品に“のしてんてん”と名を付けているそうです。)

清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレの展示は、大賞、準大賞、優秀賞、きよす賞、入選の28作品が“はるひ美術館”に、佳作の30作品の内26作品は美術館隣の“清須市立図書館”に、それぞれ6月7日(日)まで展示されています。
コメント (2)
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