さてさて18きっぷの列車は進み、菊川駅手前あたりから1人の少年の不審な動き。頭にすっぼり、網目の帽子を被り、白い大きなマスクで表情は全く分からない。私の右斜め方向5mほどに居たのだが、画帳を大事そうに抱え、私の目の前に立った。やおら画帳を広げて、なにやらペンを持ち、画帳越しに描き始めた。最初は私を描いてるのかと思ったがそうではなく、私の右隣の中年男性を画帳越しにチラッチラッと見ながら、ペンを走らせている様子。1枚描き終わって、描いたページをめくると、描いていたのは中年男性の手。顔を描いているかと思ったが、手だけを、指一本一本、指の関節、皺を一本一本、丁寧に描きこんでいる。ペンは、サインペンではなく筆ペン。少年の右手の小指球部は墨でベッタリ真っ黒。デッサンする少年、メガネ越しに目がランランと輝く。目立たない色の焦げ茶のPUMPSを履いている。左手後ろから覗くお婆さん。同じく右手後ろから覗く中年夫婦のご婦人。
手を描いてるぞ。少年の位置から見えないアングルでは? 描かれてるのは左手だからスマホ持つ手、だったら見えるか。描かれる手は、実際の大きさの1.5倍、モデルは私の右に座る30〜40代の中年男性。スマホ、ギャラクシーか、野球ゲームに余念なし。少年は年齢不詳。おや、次の1枚は両手を指でガッチリと組んでるぞ、どうやって描いたのか。浜松までの30分あまりで5、6枚を描いた。1枚1枚のテーマは何か!
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