英作問題『いちご 』
11. このジャムは、イチゴがゴロゴロしている。
⇒ イチゴがゴロゴロしているとは、どういう意味だろうか。
比較するために、イチゴがゴロゴロしているジャムと、イチゴがゴロゴロしていないジャムを思い浮かべる。
イチゴが特にゴロゴロしていない、通常のジャムを見た時に、人はどう思うだろうか。
ジャムだな、と思うだけだろう。
では、イチゴがゴロゴロしているジャムを見た時に、人はどう思うだろうか。
通常の、ほぼペースト状のジャムを見た時には、思わないある感想を抱く。
その感想とは、通常のジャムを見た際には、ジャムだとしか認識しないのに、
イチゴがゴロゴロしているジャムを見た際にだけ抱く感想である。
これは、イチゴだということ。
ペースト状のジャムを見たら、普通はジャムであるとしか思わない、もしくは一応、原料であるイチゴのことを多少は思う程度であるが、イチゴがゴロゴロしているジャムを見て思うことは、それがジャムであるというよりも、原料であるイチゴそのものへの強烈な印象であり認識である。
ジャムをみてジャムとしか思わせない、普通のジャムと、このジャムの元はイチゴだという驚きの認識をもたらす、イチゴがゴロゴロしているジャム。
それとともに、ペースト状のジャムを見た際には、わからないことが、イチゴがゴロゴロしているジャムを見た際には、わかることがある。
それは、使われているイチゴの使用量である。数という観点から見た時に、極端な話、大きなジャムの容器に、1個か2個のイチゴが入っていても、イチゴがゴロゴロしているね、という発言は成り立たない。ゴロゴロを成り立たせる必須の条件は、イチゴの個数の多さである。よって、イチゴがゴロゴロしているジャムとは、簡単な英語にすると
・This jam has a lot of strawberries.
・I see many strawberries in this jam.
何の変哲もない、簡単な英語である。しかし考えたら、こうなるだろう。
他にも、イチゴがゴロゴロしているということは、イチゴが、つぶされているのではなく、イチゴがそのまま、原形を留めていることを指す。即ち、イチゴが、断片等ではなく、元々の一個の状態を保っているということ。部分がpart だとすれば、その反対は、ショートケーキの反対で言う ホール → whole (全体)を使い
・I see whole strawberries in the jam.
となる。
あるネットの質問コーナーに Do you prefer whole strawberries in strawberry jam or strawberry bits? (イチゴがゴロゴロしているのと、そうでない断片が入ったジャム、どっちが好み?)というのがあった。参考まで。
whole を使うと、イチゴ大福などは、a rice cake that has a whole strawberry in it. / a rice cake with a whole strawberry inside. となる。
イチゴがゴロゴロと言われて、わからないと思うかもしれないが、そうではなく、少し踏みとどまって、少し考えれば、ゴロゴロと言うことで、本当は何を言いたいのかは、わかると思う。ゴロゴロとは、ジャムにイチゴが入っているという、端的な事実に対する驚きである。それがわかれば、それを表現する英語は、極めて簡単である。
結果から考えみてもよい。
イチゴがゴロゴロしているジャムを、食べて思うことは、
・I am eating strawberries!
ということである。
ゴロゴロと言われて、頭の中で「ゴロゴロ」と考えるのではなく、「ゴロゴロ」と言う人の思いを想像し、追体験すれば、自然な英語が出て来るだろう。
英作とは、英語や日本語を、こねくり回して、この世に存在しない、人工的な英語を作ることではない。
英作の目的は、自分の知り得る中で、最大限自然で正しいと思われる英語で表現することである。
自分の習った英語に自信を持って欲しい。
自分の中に眠る、習った正しい英語こそが、自分を的確に表現する、守り刀である。
そして、正しい英語に行きつくために、我々は正しく考える必要がある。
それが、本来の英作という練習である。
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