Joy Yoga

中東イスラエルでの暮らしの中で、ヨガを通して出会う出来事あるいは想いなど。

ナンシー・ギルゴフ in ベルリン

2014-05-14 23:00:25 | 体験記(ワークショップ,レッスン他)


イスラエルのヨガ仲間数人とナンシー・ギルゴフ先生のワークショップに参加する機会に恵まれ、先週末はドイツの首都ベルリンに行ってきた。

アシュタンガヨガに出会って以来、ナンシー・ギルゴフという名前はもう幾度も見聞きしている。
彼女は南インドのマイソールでアシュタンガヨガを学んだ最初の西洋人女性として、アシュタンギの間ではその名を知らない人はいないほど有名な先生だからだ。


ワークショップは午前中に先生のガイドによるレッドクラスがあり、休憩を挟んで1時間ほどのディスカッションという構成。

午前中のレッドクラスでは、ナンシー先生の存在に緊張してしまい、普段の練習のようには動けなかったり、アーサナをうっかりスキップしそうになったりと己の未熟さを露呈しながらも、久しぶりに「これぞアシュタンガ!」と言いたくなるようなインテンシヴでダイナミックな練習ができた。最中にはナンシー先生のアジャストが何度か入り、その中にはこれまでのアプローチを覆されるものもありとても新鮮な体験となる。

ナンシー先生は「グルジから教わった通りに教える」とのことなので、本場マイソールに行った事も直接グルジの指導を受けたこともなく、正式認定された指導者に師事しているわけでもない私にとっては、アシュタンガヨガの原点を垣間見るとても貴重な機会になった。

このワークショップで学んだことや感銘を受けたことのすべてをここに記しているときりがないのだが、とりわけ印象に残ったことは「呼吸して、内側のエネルギーを感じることが何よりも大事」ということ。アライメントはエネルギーの流れを重視するものであるべきで、そのためにアーサナの形が多少不格好だとしても構わないというお話だった。身体がかたくて、苦手なアーサナの多い私にはこれほど心強い教えはない。

そのモットーに関連したナンシー先生語録をいくつか挙げておこう。

【1】「いつ、誰が、どのような理由で付け足したのか分からないルールがいくつもある。」

現在のアシュタンガヨガ界にはナンシー先生がグルジから教わったことのないルールや基準がたくさん設けられているらしい。世界各地を周り、また、世界各地から生徒が集まってくる先生なので、由来の不明なそれらの新ルールに出会う機会は少なくないのだろう。私も知らず知らずのうちに、いくつかの新ルールとやらに縛られて無駄な迷いや矛盾を抱え込むことになっていたのではと考えさせられた。先述した通り、ナンシー先生曰く「グルジの教えはもっと簡潔で、内側で起きているエネルギーの流れこそが最も重要視されていた」のだそう。だから、例えばアライメントに関するルールに対しては「内なるエネルギーに繋がることができなければ、解剖学的に正しい形が何だっていうの?」といった具合になる。


【2】「いい加減でいい」

英語で「Be sloppy!」と冗談まじりに何度か言っていた。外見や型を気にかけてシークエンスの流れを止めるなという意図がこの言葉にはある。途中で髪やウェアが乱れたり、マットがズレたりしても、それを整えるのに時間を割くのではなく、そのままの状態を受け入れてとにかく動き続けなさいとのこと。私たちが意識を向けるべき対象は目に見えるものではなく、目に見えない内なるエネルギーなのだということが、ここでも強調される。ヨガはお洒落でスマートなものなんかじゃない。その事実が心にすーっとしみ込んだ途端、なんだか野に放たれたような爽快な気分になった。


【3】「どのヨガの流派も等しく素晴らしいけれど、他の流派の教えやエッセンスを混合するのは望ましくない」

この考えと真逆のことをやっている指導者は案外多い。私の場合は単に不器用な為にあれもこれもこなすことができない結果、この考えに沿っているだけであって、実はたまに「やっぱり肩書きの多い指導者のほうが説得力があるのかな」と心許なくなってしまうこともある。ところが、ナンシー先生の見解では、他の流派と混合することで、せっかくのヨガの効果が軽減するばかりか、場合によっては危険な結果をもたらすこともあるとのこと。「混ぜるな危険」である。よって、私の不安はあっさりと解消された。



ナンシー先生がアシュタンガヨガに出会ったのは、私がよちよち歩きをするかしないかの1973年。以来、40年以上アシュタンガヨガだけを実践してきた指導者の、アシュタンガヨガへの信頼、とりわけ故グルジへの揺らぎない厚い信頼に触れられたことは、とても光栄で幸運な経験となり、今後のヨガライフに大きな影響を与えたように感じる。
知らぬ間に背負い込んでいた無駄な不安や自信のなさやらが、これほど見事に削ぎ落とされるとは思ってもみなかった。この軽やかな心地は一体なんだろうかと余韻を噛みしめているところだ。



アシュタンガヨガの世界も時代の移り変わりと共に様変わりしつつある中、その原点、その真髄に触れる貴重な機会のひとつとして、またいつかどこかでナンシー先生に会いたいと強く思う。



ヨガ仲間のRieさんを真似て、私も一筆いただいた。



ナンシー先生とゆかいなヨガ仲間たち


*記事の内容に、私の拙い英語力では理解の及ばないまま記した箇所や誤った解釈などもあるかもしれない点ご了承ください。



ナマステ&シャローム
Nozomi

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2 コメント

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語録いいですね (rie)
2014-05-20 11:45:12
いくつものことがアップデートされていくようなそんな充実の時間だったようですね。
「ヨガはお洒落でスマートなものなんかじゃない」「混ぜるな危険」、いま、うなずきながら読みました 笑。
シンプルな捉え方や原点がいろいろなものを解きほぐすヒントになるんだなぁとまた改めて感じました。
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☆ rieさん ☆ (Nozomi)
2014-05-20 22:42:00
短い時間であれほどの収穫があったことに驚きを隠せない2日間でした。
日々の絶え間ない練習はもちろん大切ですが、時折こういった確認作業の機会を持つ事も必要ですね。自主練が中心なので、どうしても自分の中で勝手な解釈や判断をしたり、不要な迷いに囚われたりしがちなので、余計にその必要性を痛感しました。
私は経験が浅い為、自分には足りないものの方が多いように思っていましたが、実は無駄なものの方が多かった。そんな気づきが新鮮でした。
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