あるウソつきのブログ

日本の左翼が売国的すぎて、本当の左翼がいない事を嘆く、多分左翼的な人のブログです。

ウチは所得税と消費税の増税には反対2

2017年11月09日 23時09分30秒 | 政治(安倍政権)
 さて。本日は昨日のエントリの続き。

【拙】ウチは所得税と消費税の増税には反対
http://blog.goo.ne.jp/jpakiyo/e/a7970051004ca4d0f5354dc3a6e1b068

 左翼らしく、所得税とか消費税の増税に反対し、その分法人税の増税を主張すると。
 必ず現れる奴がいる。それが、ミルトン・フリードマンからの流れをくむ、新自由主義者だ。

 彼らは、左翼が「法人税をぶち上げる」とか言っちゃうと、国際的な企業の競争ガーとか、国家財政の破綻ガーとか、言い出すわけなんだけど。
 ま、だいたいその手の人々は、法人税の実効税率については語らないのである。

 語っても、自分が有利になるような切り口しかやらない。で、それは決して本筋ではないのである。
 ちなみに。日本の法人税の実効税率を算出すると、普通に30%を切ってしまう。ちゃんと法人税を払っている企業だけで算出しても…である。払ってない企業もいっぱいあるんだけど。

 だから、俺は昨日の「法人税増税」のエントリで、法人税控除の話をしたのである。極端な話、法人税率自身は減税したって構わないのである。実効税率が上がればそれでいい。
 でも、それは別に日本に限った話ではない。アメリカ企業だって、実際法人税が40%でも、そんな額を払っている会社はどこにも存在しないのだから。
 法人税の問題の本質は、法人税率ではなく、その税金の優遇控除による制度の空洞化にあるのだ。
 結局、本当に正しい法人税実効税率の国際比較については存在しないのかもしれない。財務省にあるグラフも、わざとかもしれんがすっごいわかりにくく、なんの為にグラフ化してるんだろう?と思うようなシロモノである。少なくとも俺は、寡聞にして知らない。

 別に、新自由主義を信奉する人々は、所得税・法人税・消費税についてのみ、俺が受け入れられんような事を語ってくるわけではない。

 トリクルダウン理論にせよ、ベーシックインカムにしてもそうである。
 これらを「有効な小さな政府指向の政策」として主張してくる。

1.消費税増税(※これは法人税減税がセット)
2.トリクルダウン理論
3.ベーシックインカム


 この3点セットが、俺の中でいわば「新自由主義の主張の定義」だ。

 トリクルダウン理論については、俺も一時期有用性があるのでは?と思っていたが、結局これは、富裕層が一般人達に施しをするような思想なので、インドのような文化的背景がある場合でなければ通用しない事が、ここ数年の日本経済で明らかになった。
 実際、法人税減税とかで経営層が潤っても、実質賃金はずっと下降線なのだ。思い切り否定されたようなもんだ。ちっともトリクルダウン(ルビ:滴り落ちて)こねぇ!

 ベーシックインカムについては、これはよく誤解されるのだが、やっぱり新自由主義的「小さな政府」政策である。一律、全国民に数万円の生活費を渡すかわりに、国民皆保険や国民年金、失業保険などの政府サービスをとっぱらう。この「とっぱらうシロモノ」についてがスッポリ抜け落ちて、まるで生活保護の拡大みたいに語られている事が多い。

 が、これについても既に運用が困難である事が証明されている。

「ベーシックインカム=小さな政府を実現」の虚妄…現実的にデタラメだと証明
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13374.html

 先のエントリでも述べさせてもらったが、税制はそう簡単にはいかない。
 誰かが我慢し、誰かが得をする制度設計では、景気は結局回復しないのだ。思い切り景気マイナスの現在、回復方向に向けた乗数効果が期待できる政策が必要なのだ。

 …俺は、これだけクソミソに「新自由主義」を貶してみせたのだけど。
 別に、新自由主義の政策が間違っているとは言わない。
 ただ、現在のソリューション(問題)にマッチしていないと言いたいのだ。

 景気回復の処方箋は、その時代時代で完全に異なっている。ケインズのニューディール政策が成功した時期もあれば、フリードマンの新自由主義的な政策が成功した時期もある。問題がある、マッチしなくなった解決策を是正する形で、新しい手法が編み出されてきたのである。

 既に時代は移り変わり、新自由主義政策は、解決策とはなりえない状況になっているのではないかと、俺はずっと昔から思ってきていた。だからこそ、俺は以前の共産党の主張の有用性に着目してきたのである。

【ニューズウィーク】なぜ日本には「左派勢力の旗手」が出現しないのか?
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2016/02/post-807.php

大量生産の製造業という競争力を新興国に譲り渡した後、先進国は知的労働による高付加価値創造の経済と、そのトリクルダウンとしての内需という経済の二重構造に入っています。ですから、格差の拡大という現象からは逃げられない構図がまずあります。その中で、より若い世代になればなるほど既得権益から見放されるわけで、彼らの怒りが「格差社会」そのものへ向かうのは一種の必然があると思います。
 この点では、日本も似たような問題を抱えているはずです。ですが、若者を中心とした「反格差」の運動が、全国レベルで大きな勢力になるようなことは起きていません。これはどうしてなのでしょうか?

 この記事からもわかる通り、本来の左翼の主張とは、俺のような主張の事ではないのかと思う。
 適切な解決策が切り替わり、新自由主義的な政策が正しく機能するようになれば、きっと俺は左翼をやめるだろう。

 そうなった時、たぶん初めて、ウチのブログの題字である「本当の左翼がいない事を嘆く、多分左翼的な人のブログです。」が更新されるのである。

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8 コメント

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民情(マインド)論者に根気よく合理性を説く (七四)
2017-11-10 04:12:45
法人税に抜け穴が多いのはその通りですね。これは税制度の宿痾のようなもので、それこそ時代状況によって様々な改正改変を繰り返す過程でどうしてもそうなっちゃう。中小中堅企業や個人商店だと、経費面とかもかなり出鱈目で、お上もそれを多目に見てきた。それは言うまでもなく、中小中堅企業や個人商店主が長らく自民党の選挙実働部隊のコアだったことから応分の斟酌があったのでしょう。しかしそうであるなら、法人税制の簡素化厳格化を実行すれば税収は上がる理屈。競争力を削ぐ法人税増税の必要はない。トランプの税制改革でも、現在7段階の個人所得税率を4段階に簡素化し、パススルー企業にも25%を課税。それとセットでの法人税率20%なわけです。

前回のエントリーでもブログ主は、
> 悪影響が国民全体なのである。主にマインドの問題だ。
と消費増税について言っているが、これは自ら反消費増税が合理性がない主張だと認めたに等しい。所謂隣国得意の「民情論」だね。隣国では反日左翼が民情の主役で、日本では低所得共産党シンパ&低所得右派が反消費増税民情の主役。だからこの層にテコ入れすればいい。

>既に時代は移り変わり、新自由主義政策は、解決策とはなりえない状況になっているのではないか
↑それはそうだろう。今は世界中が分配のフェーズだから。でも、じゃあケインズか?って言ったらそれも困難だよ。理由は先進国共通の社会保障膨張による財政悪化。穴を掘らせるだけでも良いから仕事与えろ論は無理。同様の意味でとにかく金持ってる奴からむしれ(共産主義)も無理。

>この点では、日本も似たような問題を抱えているはずです。ですが、若者を中心とした「反格差」の運動が、全国レベルで大きな勢力になるようなことは起きていません。これはどうしてなのでしょうか?
↑理由は概ね景気も雇用も良いから。世界的に見て、若年失業率の高い国は雇用の流動性が低く、そのしわ寄せが若者に向かう。しかし日本では、30代後半から40代前半の就職氷河期→派遣労働者にしわ寄せが集中している。だから繰り返すが彼らに厚く手当てする。財源?分配政策の王・消費税に決まってるでしょ。
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Unknown (すずらん)
2017-11-10 13:10:15
法人税を減らせば、従業員給与にまわせるという考えが、そもそも間違っているからね。 従業員給与は従業員確保のためのコストであるから、主に雇用市場の需給によってしか決まらない。 そういうコストを支払った後の、企業の利益に対して法人税がかかり、残りは株主の者になる。 
企業経営上のオプションとして、法人税負担が小さければ、従業員給与を上げられる余地は出るけれど、それは必然的にそうなる訳ではない。 
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この手の問題は難しいですね (POLLUTANT)
2017-11-10 23:55:39
と、のっけから投げ遣りですが、私なりに思う事もあるのでコメントさせて貰います。
ブログ主様が仰有られるように
> 語っても、自分が有利になるような切り口しかやらない。
↑この手の言論が目立って正確な情報や理論が余り出てこないのが問題なのでは?例えばトリクルダウンについてですが、コレが全く無いかと言えば、「そうか?」とも思えるのですが、儲かってる一流企業と儲かってない企業とでは賃金格差があったりしますよね?しかし、世間一般(?)では、トリクルダウンは有り得ないって事になっていますよね?
何が言いたいかと言えば、一部の情報を都合良く取り上げて全ての如く見せ掛けるという事が所謂ネトウヨさん言うところのマスゴミの情報操作みたいな意見が世間に散乱していて、実情が見え難いというのが問題なのでは?と思うのですが・・・。
何時も七四様が消費税が所得再分配と仰有られていますが、税金はすべからく所得再分配ですよね?(←毎度ケチばかりつけて七四様には申し訳ありませんm(__)m)
屁理屈ばかりのコメントで申し訳ありませんm(__)m
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Unknown (Unknown)
2017-11-11 03:37:27
外道経営者のもとで何年も働いてる人間はそろそろ行動したまえ。
外道だろうがなんだろうが、彼らは倒産のリスクを背負って成功している。莫大な借金を抱えるリスクを経験した人間が、こんなとこで愚痴愚痴言ってる人間の言うことが堪えるものか。

時折バカにしているまとめサイトのはるか下の影響力で、何をなすつもりなのか?

完璧主義は良く無いと言ったり、パヨクや在日にはいろんな側面からの見方をしてやるわりには、安倍総理や経営者には完璧を求める。大多数の外道じゃ無い経営者への言及が全く無いのは呆れ果てるのみ。日本の経営者が外道ばかりなら、自分が経営するか、理想の国で就職すればよかろう。

そもそも思いが成ったとして、全国の経営者達がそのままでいてくれると思うのかね?

ちょっと一回、理想の総理大臣と政策、理想の経営者像もしくは理想の経済体制あたりを語ってくれんかね。もちろん世界基準でね。
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POLLUTANT様 (七四)
2017-11-11 10:45:08
いえいえ、幾らでもケチ付けて下さい。大歓迎ですよ、ほんとに。

トリクルダウンについては在ります、明確に。ただ、色々な観点によって見え方が違う。例えばTOYOTAプリウスと日高屋ラーメンチェーンを比べた場合、TOYOTAプリウスは雇用創出車と呼ばれる位トリクルダウン効果が高いです。それは部品点数が異常に多い為、下請け孫請けひ孫請けまで恩恵が及ぶからです。勿論しばしばブログ主が指摘される様に親会社の厳しい値下げ圧力や下請けいじめはありますが、それはまた別のカテゴリーの話です。さて、一方日高屋ラーメンチェーンはTOYOTA以上に成長力が高く大儲けしてますがトリクルダウン効果は低い。何故なら「部品点数」が少ないから。麺にスープにチャーシュー、メンマ…この程度じゃ下請けや外注企業への恩恵は限られます。内製化も容易いですしね。ただ、結局アルバイト雇用や賃金上昇、新規出店等の工事発注などで恩恵はあるんですよ。

よく株価や地価の上昇は一般庶民には無関係というのが左派の定番言説ですが、そんなことはないです。確かにストック価格の上昇は富裕層により直接的な恩恵をもたらしますが、彼らの高額消費は中間層にも低所得層にも恩恵を与えます。ただ、そのルートが迂遠過ぎるのでピンと来ないのは確かです。正直、低所得層ほど確定拠出年金やNISAを利用した累積投資信託などやって欲しいのですが、そんな余裕があるか!と怒られそうです。そこで、派遣社員へのストックオプションや所得制限をかけた簡易積立型保険の開発を政策的にできないかなぁ、とは思っています。今、日銀が官製仮想通貨の研究中ですが、これを低所得層向けに金融商品としてアレンジできないか、とかね。
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POLLUTANT様2 (七四)
2017-11-11 11:18:40
>税金はすべからく所得再分配ですよね?

↑はい、おっしゃる通りです。税金は本質的に所得再分配機能を持ちますが、同時にあらゆる経済行為へのペナルティーという側面も持つんですね。なので、税金の基本原則は「広く薄く」であるべきです。そうでないと社会に分断と対立を生み、稼ぐ意欲の衰退と福祉依存の死に体国家が出来てしまう。金のある奴からむしればいい論がダメなのはそれなんです。所得再分配と言えばケインズが錦の御旗のように持ち出されますが、当のケインズ自身、企業家のアニマルスピリット(貪欲)を喚起し、積極的な投資意欲を維持する必要性を強調し、社会主義は峻拒していました。何故か左派をそこを無視するけどね。そういう意味で、消費税がベストではないがベター。

更に、社会保障の財源は安定性が求められます。去年は企業業績が良く納税が好調だったから年金を弾んだが、今年は企業業績が低調なので年金半額って訳にはいかない。常に安定した財源を確保しなければなりません。その点、人間の消費行動全般に課税することは最も合理的で安定した財源と見込めます。

公平で、安定した再分配機能、経済行為へのペナルティー性も希薄、故に再分配なら消費税一推し、と考えます。
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七四様へ (POLLUTANT)
2017-11-11 23:13:07
何時も私に的確なご返事有難う御座いますm(__)m今回は特にトリクルダウンに就いて私の拙い言葉足らずの説明にフォローして頂いてアリガトウです。
私は別に“金持ちから毟り取れ論者”ではありませんが
>税金の基本原則は「広く薄く」であるべきです。
↑此方の意見に私なりの考えでは、少々変な意見ですが、
100円儲けるのに1必要だとすれば、200円儲けるのには2が必要なのではなく、相乗効果その他諸々で、1.5しか必要ないならば、それは日本の便利さを通常よりも利用しているので、余計に税金を徴収する方が平等かと思います。
「そんな聞いた事もない、テキトーな理屈言うな‼」と、怒られそうですが、あくまで私の感覚では、儲けていれば儲けている程、税金を高く取る累進課税が、シックリきます。あくまで私個人の考えですが…。
後、起業家のアニマルスピリット云々は、最初に七四様がコメントされていた民情(マインド)に訴えるやり方と同列の考えではないでしょうか?
税金の徴収は、電力供給のベストミックスを考えるのと同様に難しく、これぞ行政能力の見せ処で、政治家・官僚の能力に期待したいところですが、中々上手くは行かないですね。
それと、今回・前回記事でブログ主様が仰有られていた、各種控除についても、私自身は各種控除には、其なりの理由があると思うので廃止云々は慎重であるべきかと。大企業にしか出来ない事ってやっぱ有りますし、それを実行する企業には、其なりの恩恵があるのも道理かと。
最後に前回と今回の記事で他の方もコメントされていましたが、法人税上げたら、税金払う位なら従業員の給料上げようかとはならないと思うので安易な増税はどうかと。
で、結局お前は何が言いたいんだ?と問われれば、デフレも脱却出来ていない現在、増税しなくてもいいのではないかと。デフレで怖いのは供給能力の毀損では?例えば、日本のモノとサービスの供給能力が10兆円だとすれば、10兆円の現金があれば、コレを享受出来ますが、デフレで供給能力が毀損されて9兆円分しか供給されないと10兆円あっても9兆円分のモノとサービスしか享受出来ません。
ですので、先ずは増税よりもデフレ脱却が優先順位が先ではないかと、私は考えます。勿論、経済政策にはタイムラグがあるので、先々の事を考えると安定財源を考慮する必要がありますが、今のところ、安倍政権は積極財政に消極的(?)に見えるので、増税の話は未々先ではないかと私は考えています。
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法人税のデメリット (検索者)
2017-11-12 19:44:07
法人税増のデメリットを都合よく無視し過ぎではないでしょうか
30%以下といってもまだ他国より高いですし、政府が悪影響少なく是正できるのが法人税というだけで競争力は人件費や為替、産業構造、優遇政策など総合したものです
日本企業の競争力が弱まっているのは海外移転していく生産業や国内にあふれる他国製品を見れば無視できないと思います
ブログ主様は消費拡大が内需拡大、景気回復につながるといった意見だったと思いますがその消費するのが外国製なら内需拡大どころか更なる空洞化ではないでしょうか

ミクロの部分でも法人税は経営者だけでなく労働者全ての生産活動にかかる税と考えるべきでそのしわ寄せはより低層にこそ強く波及します、よって内需拡大の要因にはにはなりえないように思います
増税で人件費が増えるという意見も一つの圧力にはなるでしょうが人件費という削減しにくく将来にわたる負担が増えるのならば内部留保もより増える方向に圧力がかかり効果は限定されますしその人件費が公平に分配される保証はありません
仮に人件費が増えたとしても雇用自体が伸びないなら給与格差、労使の権利差はより広がりブラック企業に利することとなり低所得層はより苦しむことになるのでないでしょうか
クズ不良無責任経営者がのさばっているという現実は私自身にも強く実感としてありますし賃金格差や労使の権利問題も内需拡大のための絶対の課題としあります
ですがそれらは労働制度や雇用を増やし売り手市場にすることで是正されるべきで法人税増をもってするのは効果は薄くデメリットの方がはるかに強いのでないでしょうか
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