ムッタと日本人

　…このエントリだが、若干「宇宙兄弟」について語る。ネタバレが嫌な人は、読まないで欲しいと思う。

　本日週刊モーニングが発売日で、「宇宙兄弟」を読んでいた。



　宇宙兄弟は、主人公「南波六太（ムッタ）」が、ＮＡＳＡで宇宙飛行士となって、弟「南波日々人（ヒビト）」と共に月へ行くのが目標…というお話である。

　この物語には、優秀だが自分の感情で行動方針を決める南波兄弟を、「不安定要素」とみていつも邪魔をするゲイツという上司がいる。



　彼は「決して失敗しない糞真面目な男」という設定で、不安定要素である南波兄弟を何かと排除しようと画策するのだが…。ここ数話でとうとうムッタを受け入れることになっていた。

　で。今回のモーニングにて、ゲイツ氏は、ＮＡＳＡでムッタの要望を通す為に、一生懸命努力しているのだが…。

　このシーンを見て、俺はちょっと思うところがあった。

　読者としては、当然ながら主人公、ムッタの心情にシンクロして物語を眺めているので、ゲイツ氏はかなりムカつく存在なのである。
　物語中、様々な「敵」がムッタには立ちはだかっているのだけど、彼の人間性が、だいたいの人々を味方に引き込んでいく。でも、その中でゲイツ氏だけは別格というか、ラスボス級だと思ってたんだよね。俺。
　ゲイツ氏は、ＮＡＳＡからヒビトを追放した張本人だし。

　実際、物語中でもし、ゲイツ氏をムッタが完全にやり込め、完勝する流れになったら、読者は爽快かもしれないと思うんだけど。でも、今後ＮＡＳＡで重要なポジションにいるゲイツ氏に協力とか、絶対してもらえる事はないと思うんだよね。ムッタは、ゲイツ氏と確執を持ちながらも敵視しない事で、最良の方向に歩を進めたように見える。


　で、思ったのだ。ムッタの態度って、日本の「弱腰外交」に似てるなぁと。
　日本は、「敵を作らない外交」なのだ。
　相手を叩き潰すことを、決してしなかったんだよね。

　日本政府は、どんなに中韓が日本に嫌がらせをしても、叩き潰すような事はせず、常に距離をとってきた。
　今の状態であれば、中韓が日本に助力を依頼しても、そんなにわだかまりはないと思うのだ。
　要するに、ムッタみたいに、利害が一致できる分だけ協力して、あとは距離をとればいいと思うんだよ。外交ってのは。
　露骨に、敵意を燃やすべきではないと思うのである。いつ誰が、急に敵になったり、味方になったりするか、わからないのだから。

　そう思って、安倍総理のＦＢとかを見ると…。
　そりゃ、一国の総理なわけで。もちろん露骨な表現はしてないけどさ。迂遠な表現で中韓を上から見下ろすようなエントリをしているわけよ。

　それって、支持してくれる人もそりゃーいるだろうけどさ。
　実際、爽快だと思うんだけど。

　でも、やっぱり国の事実上の最高指導者という立場からすれば、軽率だと思うんだよね…。

　実際、例えば韓国とかは、今後ピンチに陥っても、あれだけ日本を敵視する行動を繰り返せば、なかなか日本に助けて貰うのは抵抗があると思うよ。いろいろな面で。

　無論、だからって今の安倍総理の外交に不満があるわけじゃないけどね。脱亜論は大賛成。

　そーゆー感情的な敵視誘導は、マスコミがやってくれりゃ、一番いいんだけどな。あいつら揃って親特亜反米だもんねぇ。

　今は、マスコミがやってくんないから、政治家が無理をしている。そんな気がするのである。

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