ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

親爺のこと(11) マタイ型キリスト者

2008-06-03 07:24:15 | ぶんやんち
キリスト者の入信の仕方によって二種類の型がある。いや、もっとあるかも知れないが、ここでは一応二つのタイプだけを取り上げる。一つは、劇的回心という経験を経てキリスト者になった人たち。その典型がパウロである。それに対して、キリスト教の教え、あるいはイエスの教えや生き方に共観して入信した人たち。彼らには「劇的回心」というような人の目をひくような経験はない。このタイプのキリスト者たちを一応マタイ型としておこう。
今まで多くのキリスト者たちを見てきたが、だいたいこの2つのタイプに分けられると思う。早い話が、わたしのお袋はパウロ型のキリスト者であり、親爺はマタイ型のキリスト者である。もちろん、この2つのタイプに分けた場合に、できるだけ早く補足しておかなければならないことがある。つまり、どちらが本物のキリスト者であるかという価値判断はできないということと、これら2つのタイプのキリスト者といえども、煎じ詰めると結局、その中心ないしは根底において、違いはなく、違いはただ入信の際の現象面での相違であるということである。
一般的には、一代目のキリスト者にはパウロ型が多く、二代目以後のキリスト者にはマタイ型が多い。あるいは、ホーリネス教会等聖霊派の教団では、パウロ型が多く、カトリックや聖公会等伝統的な教団ではマタイ型が多い。もちろん、多くの例外もある。パウロ型という場合にも、キリスト者になる以前のその人の生き方や価値観によって「劇的回心」というのにも、いろいろなタイプが考えられる。ただ、お袋の場合は、現在の言い方をすれるいわゆる「女番長」が繁華街でのキリスト教の路傍に出くわし、その説教を聞いて、教会に出入りするようになってキリスト者になった。両親からはかなり強く反対されたが、そこはもともと女番長のこと、親の反対を押し切りキリスト者になり、聖書学院(いわゆる神学校)に入学し、1年の速成コースを卒業して婦人伝道師になった。
それに対して、親爺の方の入信の経験ははっきりしない。親爺自身もあまり多くは語らなかった。日本レスキュウミッションというイギリス系の小さな伝道団体の田舎の伝道館で洗礼を受けている。この団体は信仰的にはかなり保守的であったが、花柳界の婦人たちに対する救済事業などを盛んに行い、社会的関心もかなり高かったようである。親爺の場合は、この伝道団体の活動によって導かれたということになっているが、それよりも、親爺自身の内的要求に基づいて入信したように思われる。なぜなら、親自身のその後の信仰生活において、この組織へのこだわりは薄い。洗礼を受けて2年後に満州に渡り、日本ホーリネス教団に転入している。

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