鏡海亭 Kagami-Tei  ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石?

孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン)

生成AIのHolara、ChatGPTと画像を合作しています。

第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29

 

拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、

ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら!

小説目次 最新(第59)話 あらすじ 登場人物 15分で分かるアルフェリオン

よくわかる異世界転生・転移モノ?

こ、これは……。AIのChatGPTさんに以前に生成してもらった画像です。ボツ画像、だけど良いもの、の蔵出し(苦笑)です。何かのアニメのラストシーンみたいな雰囲気です。たとえば、いわゆる「異世界転生・転移」物(*注)で、主人公が目的を果たしてこれからどうしようか、元の世界に帰ろうか、ここにとどまろうか、といったところを余韻を残して終わらせているような場面を思わせます。という、上掲のボツ画像をみてふと思ったところから、以下の雑談。

*注: 現在の世界から、主人公が別世界に飛ばされたり、別世界で生まれ変わったりする物語の総称。近年では、転生・転移先の異世界として、特に西洋中世・近世風の異世界が舞台となることや、ドラクエのようないわゆる「剣と魔法」のロールプレイングゲームの世界観や設定が前提とされることが多い。主人公が生きたまま別世界に飛ばされる場合は「転移」、何らかの原因で亡くなった人が別世界に生まれ変わるのを「転生」という。なお「転生」の場合、現世界における主人公の「死亡」のあり方がパターン化している傾向があって、たとえば、突然に突っ込んできたトラックに主人公が轢かれて……というのがひとつのお約束というのか、もはや「様式」あるいは「雛形」とさえなっている(大変な労働環境の中でもそんな事故は起こしません!というトラックの運転手さんたちに謝れ、という話はあると思いますが)。あるいは、ブラック企業での過労死という設定も比較的よく見かける。このあたり、読者層(の変化)を意識しているかもしれません。

さて、近年の異世界転生・転移モノの作品では、「元の世界に帰る」といいうことが物語の前提になっていないケースの方が、多いような気がします。昔の異世界転移の作品、たとえば思い浮かぶところで『戦国自衛隊』(古すぎ?)では、元の世界(元の「時代」といった方が適切ですが)への帰還を願う者と戦国の世に骨を埋めることを決めた者とか、そのあたりの葛藤が出てきたかと思います。でも最近の転生・転移物では、元の世界では不遇だったり、元の世界には身内も愛する人もいなかったりする主人公が異世界に転移・転生して、むしろ「ラッキー!!」だとか「人生やり直し!」だという意味合いになることがほとんどなので、帰ろうなんて気はさらさらない場合も少なくないのですね。そりゃ、チートで無双だとか、超イケメンや美女に転生だとか、ハーレム状態だとか、元の世界の高度な知識を使ってウハウハ(古語)だとか、そんな状態なら、元の世界に気になる人がいない限り、帰ろうなんて思わないか。はい。それどころか、異世界で得たチートな能力を持ったまま現実の世界に帰ってきて、あるいは世界の間を行ったり来たりできて、こっちの世界でも無双(笑)というお話すらありますが……。

いや、だからこそ、転生・転移先の世界でそれなりに苦労する作品、たとえば『無職転生~異世界行ったら本気だす』のような物語が個性を発揮するわけでもありましょう。この手の中で、個人的には『盾の勇者の成り上がり』が好きです。いや、厳密には「好きでした」。理不尽な苦難に散々苦しめられながらも乗り越えてゆく初期の頃が良かったですね。「スカっとする!」感も強かった。しかし途中からは普通の主人公強ぇ的な異世界物になっている気もします。

 

(テキストばかりでは何なので、ボツ画像その2を。いわゆる「乙女ゲーム」っぽい画像です。女性版ハーレムというのか、転生した主人公がイケメンたちに次々と出会う乙女ゲーの世界も、最近の異世界転生・転移物に典型的でしょうか)

とはいえ、さすがにずっと主人公が弱くて苦労するばかりだと、かつての「努力・友情・勝利!」(でしたか?)の古き良き時代の少年ジャンプ風の展開は最近ではあまりウケないようなので、少なくとも初期の頃は主人公が虐げられていたり弱かったりする、というパターンが妥協点となっているのかもしれません。その手のパターンに当てはまって評価できる最近の作品としては、『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』(長っ)あたりがいい感じです。言葉は悪いですが、このタイトルを最初見たときにはいかにもB級的な(すいません)話かと思ったのです。しかし、主人公のキャラやバトルでの駆け引きなんかが結構良いですね。ただ、この作品も、途中からは一発で相手を戦闘不能にしてしまう「俺強ぇぇ」的なバトルになりがちで、なんともかんともです(*注)。

*注 あとは、『ハズレ枠の~』といえばセラス・アシュレインですか(笑)。いや、私の世代だとエルフといえば『ロードス島戦記』のディードリットなのでしょうが、いまはエルフといえば、ああいった感じがウケるのでしょうか。まぁ、嫌いではないですけど(ずいぶん控えめな表現)。いや、いまはエルフといえばフリーレンですか(敢えて思い出したかのように)。ちなみにディードリットといえば、特に若い方々の場合、作品本編は御存じなくとも「尖った長い耳を最初に取り入れたエルフのキャラクターは誰だ?」といった論争のネタによく出てくるキャラとして、聞いたことがあるかもしれません。たしかに、日本の創作界隈における「エルフ」に対するイメージを決定的なものにしたのが、ディードリットでした。

それにしても今期のアニメ(2024年夏アニメ)、上記の『ハズレ枠の~』をはじめ、『俺は全てを【パリイ】する 〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜』、『異世界失格』そして『杖と剣のウィストリア』と、原作を知らない私は最初はいずれも期待しておらず、今期は見る番組が無いなぁなどと思っていたのですが……ふたを開けてみると、結構、どれも面白いです。特に『杖と剣のウィストリア』は、今期では、いや、ここ最近のファンタジーアニメでは、私の中では何本かの指に入る作品です。今のところは、ですが。以前にも言及した、私の好きな「俺だけ魔法が使えない」系の作品なので、大好物!(笑)なのです。

それはともかく、現今の日本(あるいは世界)の状況を目の前にして、異世界転生・転移の作品に求められている役割が、過去とは違うということがよく指摘されます。異世界転生・転移の作品は昔からありますが、その頃は敢えて「異世界転生・転移」物というカテゴライズや、そんなジャンル自体としての名称すらなかった。たとえばアニメの『聖戦士ダンバイン』(1983年)や『天空のエスカフローネ』(1996年)の頃がそうです。これらの先行した異世界転移物において、今では普通の(生身の者同士が戦う)「剣と魔法」のロールプレイングゲーム的な内容ではなく、むしろ「ロボット」での戦いが基礎となっているという点が、面白いですよね。剣と魔法のRPG風ファンタジーという分野自体が、80・90年代の日本ではまだまだメジャーではなかったことを思えば、当然かもしれませんが。その中で敢えてファンタジー世界をロボット物の舞台に選んだ上記2作品の着眼点は、さすがだと思います。

これに対して近年(たぶん2010年代に入ってから? もっといえば、いわゆる「なろう」系のラノベが台頭してから?)、この手のジャンルが明示的に「異世界転生・転移」物と呼ばれるようになったとき、すでにそこに求めれられるのは「報われ難い現実世界の代替・代償」という位置づけだったのかもしれません。端的に言えば「現実を忘れて、異世界でスカッとする」(笑)という感じで。まぁ、私はそれを悪いとは思いません。「創作」の持っている立派な役割のひとつではないかと。ただ、それにしたって話の展開があまりに虫が良すぎるという批判はあるでしょうね。いずれにせよ、かつてのような、異世界に飛ばされた主人公が元の世界に帰るために様々な苦難を乗り越えたり、異世界(の人たち)と元の世界(の人たち)のどちらを「居場所」として選ぶかに葛藤するだとか、そういったことをエンターテインメントの中心的な部分にするという発想は、もう今ではかなり薄れているのかもしれません。

 

(蔵出しのボツ画像その3を。いや、これは以前に使ったかも。ともあれ、シリアスでダークな異世界転生を彷彿とさせます)

ちなみに先ほどのダンバインとエスカフローネ、どちらのアニメも、比較的珍しい「ファンタジー・ロボット」物なのでして、これらの作品がなければ、本ブログの『アルフェリオン』もなかったかもしれません。昨今、異世界物がこんなに流行っているのに、異世界を舞台にしたファンタジー・ロボット物が全然出てこないというのは、残念なことです……。前にも書きましたね、こんなこと(笑)。まぁ、それは、ロボット物自体がジャンルとして廃れてきてしまっていることの反映と思われます。もはや、ロボット物というより、ガンダムの独り勝ちというのか(ガンダム自体は大好きですが)。昔はたくさんあった巨大化変身ヒーロー物が激しい競争と淘汰を経て、現在ではウルトラマンのシリーズだけに収斂されていったのと似たようなところでしょうか。

ただ、ファンタジー異世界を舞台にしたロボット物の始祖の上記2作品は、逆に言えばいずれも「転移」物だったのです。私たちの世界からの転生や転移とは基本的につながりのない世界設定という意味での「ハイ・ファンタジー」の異世界を舞台にしたロボット物って、少なくともほとんどなかったような気がします。最近だと、ゴーレムだとかそういう位置づけで事実上「ロボット」的な機体を、ハイ・ファンタジーの世界に登場させる作品は、ちらほらあります。が、少なくとも『アルフェリオン』をウェブで公開し始めた1998年当時には、私の知る限り、なかったような。だから書こうと思ったんですが(笑)。

と、最後は私が『アルフェリオン』をなぜ書き始めたかという、きわめて我田引水的なオチで終わる雑談でした。こんな話にお付き合いくださった皆様に感謝です。何とぞ、時間を返せ!(苦笑)などとはおっしゃらないでください。
本日も鏡海亭にお越しいただき、ありがとうございました。

ではまた!

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