実母にコロナの話をしても1ミリも理解してくれない。
「PCR検査なんて難しいこと言われてもわからない。とにかく町中がマスクしてるから流行っているのよ!!お願いだからマスクだけはして頂戴。マスクさえしていればうつらないのよ、安心なのよ」
と切々と諭されて電話を切られた。
もともとが「皆が言っているから正しい。何事も大勢の真ん中で目立たず常識的にいたい」という意識が人一倍強い人なので、これ以上は話せない。
その点、娘はおとなしいようで「皆が言っているから」とは、言わないタイプである。
私が学校のことで「皆はどうしてるの?」と聞いたりすると、「皆なんて関係ないでしょ?」と嫌がって返してくる。
コロナ事情も「うん、私はママを信じる」と拍子抜けするほどあっさり言って
「でも私はマスクする。だってバスとか電車で『マスクの着用にご協力ください』って言われたら、私はそれで喜ぶんなら、ご協力したくなるの」
と独特な返答が返ってくる。そして
「ママに学校は無理だよ。先生たちは毎日コロナの話をするよ。ママなら耐えられなくて椅子を蹴り飛ばすよ」
とケラケラ笑う。
娘から、受験の面接シートを書くから一緒に考えてほしいと言われた。
面接シートとは、学校に提出して、面接官が面接をする際に参考にする資料のことである。
受験校を志望した理由とか、学習面で工夫したことことか、学習以外の活動では何を頑張ったかとか、自分の長所を書く欄があった。
学校を志望した理由は「偏差値が自分に適切だった」とか「通学の立地条件がよかった」はいけない。
自分の将来の志と、学校の指針を兼ね合わせた志望動機を書かなければいけない。
ちなみに見本を見たら「将来は国連で世界平和に貢献する仕事につきたいから、御校の特化した英語教育を生かし、英語の資格を取りたい」みたいなドン引きするようなことが書いてあった。
「こんなん見たら、私は気持ち悪いけどね( ̄∀ ̄;)」
「こんなふうに盛って大袈裟に書かないと直されるのよ」
娘が赤ペンで真っ赤かに直されまくった体温の低い下書きを持ってきたので、しょうがない。担任の添削を見ながら何とかまとめる。
せめて「当校の広いグランドや大きな校舎に活気を感じ、男女問わず広く学友と交流を望み、コミュニュケーション能力を高めたい」とか何とか考えなくてはいけない。
空白だった自分の長所の部分は「何て書けばいい?」と他人事のようにかったるそうに聞かれたので
「許容が広いこと、楽天家、人の失敗を許すことを、具体的なエピソードを入れて適格にまとめとけ」と言っておいた。
受験生とは思えないこの緊張感も危機感のなさも「泰然としている」と書けば長所になるのか?
ちなみに長所を盛って書くなら、
夫は「他人を尊重することに長けている」
私は「行動力」かな。
今年も3人が適材適所で、ややこしい世の中を乗り越えていきたいもんである。