珈琲一杯分の話

2018年2月26日スタートのただのボヤキカフェです。
毒とユーモアを楽しんで頂ければ幸いでございます。

2024-10-18 | 仕事の話
会社から、仕事で私が担当している物件の一つが、今月いっぱいでオーナーさんと契約を終了することになったと言われた。
「え?私の仕事がまずかったのかな?」と一つ仕事がなくなることを覚悟していたら、それは全然別の理由で、思いがけず今後はオーナーさんと直接の契約で同じ仕事を続けることになった。
15年かけて上げてもらった今の時給を更に上げてくれたので、私としては嬉しい。

先日、たまたま近所にあるそのオーナーさんの自宅に契約に伺ったら、超がつく豪邸で、観音開きの玄関ドアから鎧兜などが飾ってある応接間に通された。
マンション丸ごと一件(賃貸物件)のオーナーさんってこんなこんな感じなんだと、緊張して待っていたら、そこに現れた奥さんにビックリ。
娘と同級生の子を持つママ友だった。

ママ友と言ってもそんなに付き合いはなくて、娘とも小学校の時一回くらいしか同じクラスじゃなかったけど、気さくで感じがいい人だったのでよく覚えていた。
そうそう!前にブログに書いた、親子ともワクチンを打って体調不良になり、なぜメディアはメリットだけじゃなくてデメリットを言わないかと訴えていたそのママだった。
あれ以来ずっと気にしていた娘さんは、今は無事高校を卒業して元気であると聞いて心底ホッとした。

私はずっと反ワクチンを書いているけど、打ったふりはもちろん、「反ワクなんか」と侮辱するわけでなく、ただ無知で打って後悔している人を否定するはずはなく、そういう人にはただただ安泰を祈っている。
反ワクというのは、そもそも皆に健康でいてほしいと思っているから「反ワク」なんであって、根本のその思いが崩れるはずがなく。
コメント

10年に一度

2020-06-02 | 仕事の話
仕事をしていたら、犬の散歩をしている女性に声をかけられた。
「あなたの働きぶりをいつも感心して見ている。私の家はこの近所なんだけどウチにもお願いできませんか?家の周りをついでにちょっと掃いてくれたり草むしりをしてくれたら嬉しい 」
と言われて、思いがけない申し出にびっくりした。
何年か前に、外を掃いていたらマンションの住人が出てきて「部屋にゴキブリがいるから叩き殺してほしい」とお願いされた以来の珍依頼だった。
(OKと、まるめた雑誌で一撃したら感動された( ̄∇ ̄))

道路を挟んだ広いエリアを走り回って掃除してる私にとって、一軒家の庭先をキレイにするくらい何てことないので快諾した。
直営業ってやつである。
月のお駄賃が増えたから、これを娘のお小遣いにまわそう(^0^ゞ

別にたいした話じゃないけど、身も知らない人から信用されたことが有難がたかった。
仕事はカメラにも上司にも監視されているわけではない中、自分で言うのもなんだけど、真面目にベストを尽くしていると思う。

これは真面目というより、心にもないことはできない性分と思う。
良心というか本心で「これがいい」と思うことをして、その結果の評価ならばそれはとても嬉しい。
10年に一度のことでも嬉しいことだった。
コメント (4)

夫の仕事

2019-12-28 | 仕事の話
大掃除をやりたくないために、12月に入ったら普段の掃除にちょっとだけあちこちの片付けをプラスする。
あとはカーテンを洗って、グラスを全部ハイターに漬けて、換気扇だけはプロにお願いする。
たいしたことはしないけど、これでなんとなく年を越せる気分になる。

ホントたいしたことしないし、ユルユルの次男の嫁ですよ~( ̄∇ ̄)

今年は夫がめずらしく27日が仕事納めだった。
いつもはもっと撮影が押すのに今年はうまくいったようである。
そういえば今年のキーワードに「働き方改革」ってありましたね。
が、そんなものは勤め人の話で、夫のような立場は全然関係ナシ。

ついでだから一般の人にはなかなか知られていない、夫の働く業界の話を書きましょうか。
私がやっていることではないので、あくまで「妻の立場として聞いて知っている範囲」と了承して頂きたく。

会社勤めの人は、年間の休みが計画的に立てられると思うけど、こういう仕事は本当にわからない。
というのは例えば、「連続ドラマ」にしても「単発ドラマ」にしても「映画」にしても、撮影が始まると台本と仕事のスケジュール表が渡されるんだけど、そのスケジュール表に関していうと
「その予定はだいたいが一週間くらいのものが細切れで渡されるため、休みなどはその単位でしかわからない」
つまり、子どもの運動会がいつというのがとっくに分かっているとしても、夫の休みがいつかんてことは一週間前でないとわからないので、予め予定など立てられないのである。
(立ったとしても、悪天候や震災や、役者がインフルエンザにかかった、スキャンダルで降板などいろいろある)

仕事の話をすると、例えば2時間ドラマ一本を撮る時の撮影期間は、だいたい2週間くらいかかる。
テレビではほんの一瞬で流れて終わるシーンに、何時間もかけられているんですよね。

昼を夜にしたり、夜を昼にしたり、夕暮れや雷の明かりを作ったり(そんなことができるんですよ)、明かり一つもいろんな機材や技術を使って全部、当たり前だけど「考えられて、人間関係の軋轢や重労働を乗り越えて、制作されている」
雨や雪もホンモノを使う場合もあるけど、「作って」降らせたりもする。
それによってたった一言の芝居も変わってしまうんだよね。
男性のメイクや服を整えるだけで人によっては一時間くらいかかる。


そんなこんなで、朝は新聞配達員より早く起きて、帰宅は深夜が何日も続いたりする日程になったりする。
効果音や音楽一つにもその道のプロが練り上げて作るものであり、そもそもの脚本も、思い付きや勢いなんてものではなくて、生み出している作品なんですよね。

まあ昨今は、動画といえば誰でも簡単に撮影して世界配信なんてできる時代で、まずかったら即削除、なーんて世界だけど、そういうものは根本的に別物というか、プロが作っている作品ってそういうものである。

そんな堅い話は置いといて、役者の「生の芝居」を見ている夫が私には単純にうらやましい(;゚∇゚)
打ち上げで歌もやっている役者さんの「生の歌」を聴けるのがうらやましい(;゚∇゚)

でも……聞いた話なんて所詮この程度だよね~
私のリアルはカーテンを洗ったり床の雑巾がけをすること。
やはり「実体験は強し」だと思う。
コメント

働くこと

2019-10-14 | 仕事の話
夫の仕事が今日も急遽、中止になった。
予定していた撮影場所の病院が浸水したり、区役所が災害本部になって「それどころ」じゃなくなったそうである。
エンターテイメントなんて偉そうなことをいっても、娯楽産業はやはり二の次なんだなあと思う。
東日本大震災の時、多くの映画が延期されたり自粛されたことを思い出す。

これらは、安定した生活の土台があってこそ求められるものなんだよね。

一方で、現実的な仕事に従事する私は忙しい。
昨日は強風が残る中、掃いても掃いても吹き飛ばされる大量の落ち葉と格闘して、
今日は逆に小雨で地面に張り付いた同じくそれを片付ける。
どちらも地味すぎる職人技を使って何とかする。
雑巾がけ一つ、皿洗い一つでもプロというものがあると信じたい( ̄▽ ̄;)

改めて、もっともっと大変な復旧に尽力される人にご苦労と感謝を思う。
「働く人」は、私は皆平等に愛しくて尊敬の対象だけどね。

病むとか鬱とか、メンタルがやられるとかに優しい理解が寄せられる昨今。
微力でも、何かしらでも人のために
働けば、チンケな自分なんて何とかなるんじゃないかなあと思う。

仕事で病む人も多いけど、働くことで救われることもあるんじゃないかなあ?

働くことしか実感として知らない、主婦の一意見だけどね。
コメント

こんなスパン

2019-09-11 | 仕事の話
台風が三日たってやっと終わった。
というのは、私の仕事は台風後が最も大変だからである。
三つの物件を、それぞれ週二回づつ担当しているので、三日間で一応その片付けが全て終わる。

うち一つは道路を挟んで建物があって、庭と駐車場がとても広い。
まる3時間1分の休憩も入れずに(性分)、倒れた自転車を直し、一人ほうきで黙々と落ち葉その他の残骸を掃き続けても、それは思うより果てしない( ̄▽ ̄;)

日陰のない場所で容赦ない日差しと気温に、「これは私だからできる」と自画自賛しながらやる。
 (いや体力と、誰も見てない中でもやる生真面目さがあれば、誰でもできること)

娘が朝から「眠い、だるい、疲れた」のいつもの決め台詞の他に、今朝は
「早く年金暮らししてグータラしたい」と言っていた。

どうぞ。
その頃に年金が機能しているかは知らないし、母でさえまだ辿り着いてない、それは長い長い道のりだゾ。
そんな長い展望は、気の短い私には持ってないなあ。

これ終わったら一杯飲もう。
ワタシ、せいぜいこのスパンで生きてるもんね( ̄∇ ̄)
コメント

聞いた話

2019-06-24 | 仕事の話
先日、夫が新しい仕事で新しいチームを組んだ。
若いスタッフがそろったと喜んでいたのもつかの間、一番下の23歳のアシスタントの子が二日目から突然来なくなった。
ちなみに初日は、早めに来ている先輩たちを尻目に時間ギリギリに到着した。
どうしたのかと訊いたら
「電車で可愛い子がいて、いい感じになりそうだったからつい話していて、それで遅れました」
と言ったそうである。

初対面で「なんとなく不安」な予感がしたものの、本人は
「今まで自分はいろんな仕事をやってきたので大丈夫です。撮影の仕事に興味あって、機材の名前も知っています」
と張り切ってアピールした。
そして「仕事って楽しめなきゃダメだと思うんですよ」と自論を語ったそうである。

結局まる一日音信不通で、周りを心配させてやっと連絡がとれたら
「やっていく自信がなくなりました」の一言であっさり消えてしまった。
皆が「何かあったの?」
と訊いたら
「いや何もないよ。これから頑張ろう、よろしくねと言っただけ」

たった一日で仕事を投げるなんて。
「いろんな仕事をやってきた」って続かなかっただけなんだろうな。
おそらく次は何をするのか知らないけど
「自分はいろんな仕事をやってきて、ドラマの撮影現場も知っている」なんてアピールするのかもしれない。

全くプロの仕事を何だと思っているのか?
結局、人手不足と忙しさで代わりを見つけている暇もなくて、現場はふうふう言っている。

今の子ってこんなことは珍しくないのだろうか?
別の26歳のアシスタントの子に聞いたら「僕はこれでそういうケース5人知っています」と言っていたそうである。

リアルでこんな話を聞くと「迷惑」の重みがズシリとくる。
ネットで語られるバーチャルの嘘なんてたわいないことかも、と思った次第( ̄∇ ̄)
コメント (5)

簡単なことなのに

2018-12-29 | 仕事の話
今日、或るマンションの清掃に行ったら、忘年会の帰りだったのかな?
立派なエントランスに派手に吐いた土砂物が( ̄▽ ̄;)、大量に三箇所にあった。

それはしょうがないとして、
大の大人が自分のやったことぐらい自分で責任持てよーーー!!

ダストボックスにはクリスマスツリーが捨てられていたが、長くて袋に入りきらないからと袋を閉じないため、細かい枝葉が散乱していた。

「んなもん掃除のオバハンか、ゴミ収集業者が適当にやれよ。金貰ってんだろ」とか思ってるのかな?

こういう人は、職場では仕事ができるのかもしれない。
偉そうなウンチクを言ってるのかもしれん。
皆が見てる前ではええかっこしをするのかもしれん。
だが誰かわからず「それワタシじゃないしー」となると、本当の姿が出るんじゃないだろうか。

木でできたツリーなんてちょっと折れば簡単に細かくなる。
それをキチンと袋に詰めて、口を結べば済むことである。
こんな簡単なことがなぜできないのか、私にはそれがわからない。

よくあることだけど、いらなくなった傘もそのままダストボックスにツッコむ人が多いのが常々不思議なことの一つ。
ただ布と金属をハサミでチョンチョンと切って、分別することくらいが「思考停止してできない」んだろうか?
やっちゃいけないマインドコントロールにもかけられてるのか?

「これは私がやりました」
名前がわからないと、人は簡単に責任を放り投げる。

責任なんてメンドクサイことなんて知らないねー。
甘く楽しい自由しか要らないしー。

そういう人は本当の自由を知らないまま死んでいくんだと思う、今年の年末である。




今年もお世話になりました(^^)
コメント (2)

仕事の話3

2018-12-10 | 仕事の話
ワイドショーなど殆ど見ないが、私は今年「相撲部屋を閉鎖した親方とその離婚」にだけは驚いてしまった。
個人に興味があったわけではなくて、働き盛りの一家の大黒柱が責任ある仕事を自ら放棄したことに
「そんなこともあるの?」
と思ったのである。

私の夫も年中、仕事の理不尽をボヤいている。
生まれ変わったら愚痴を言わない人と結婚したいと思うほど私は愚痴聞きが得意ではないが、でも、それで仕事を投げ出さないんだったら、それは私が「投げ出してはいけないこと」なのかなと思う。

仕事なんて理不尽なもの。
そういう理不尽を背負って、割り切れるところは割り切って、落としどころを見つけてやるからこそお金が貰えるんじゃないの?
それが誰かを支えて、何かの役に立つんじゃないの?
 「苦あれば楽あり」で、そんな忍耐する人の先にはいいこともあるよ。


たいした経験もないけど、私は仕事に関してはそういう結論を持っている。
「仕事がない」「仕事をしない」という、もっともっと酷い世界を知っているからである。

一生懸命働く人に、私は日々エールを贈りたい。
本年の仕事納めまで、ワーカーの皆さまガンバローぜ\(^▽^)/
(ちなみに私は大晦日も元旦も仕事だよ)




コメント (11)

仕事の話2

2018-09-15 | 仕事の話
物騒な事件が起こって犯人が捕まる度、たいていが「無職」とか自称ナンタラで、実際はろくに働いていないということがよくある。
仕事って、お金を稼ぐ以上のものがあるのだと思う。

別にお金を稼ぐ=仕事とも思わないが、要するに、健康な心身を持ちながらすることなくて遊んでいるのは精神衛生上よろしくない。
これはたいした人生経験もない上での、強い実感である。

私の義母はいわゆる専業主婦だったけど、夫が健在の多くの来客や付き合いのあった頃の話を聞くと、そのきめ細かい対処や気遣いや苦労に驚くことばかりだった。
それをアピールするような人では決してないけど、だらしない恰好で考えのない言葉使い、なんてことは家族の品位を下げるという意識があったんだと思う。

真剣に働いている人は美しい。

道を歩いていても、車が走っていても、ああ今日も誰かが働いている。それが誰かの役に立って、誰かの生活が支えられていると思うとうれしくなる。

働かなくてもいいのが幸せなのではなくて、健康で働けることが幸せと思う私は、ただの貧乏性なのか昭和な女なのかもしれないが。






コメント (6)

仕事の話

2018-09-09 | 仕事の話
日本の新幹線の清掃員が、そのクオリティの高さから、世界の賞賛を浴びているのは有名だそうである。
私も一度その映像を見て、テキパキとした無駄のない動きに感動した。
「合理的」とか「無駄がない」ということにそそられる人間には、たまらないものだった(笑)

出産を機に辞めるまで事務職をしていた会社は、人手不足なせいもあったけど、私自身がやりたくて、結局出産10日前まで満員電車に乗ってフルタイムで働いていた。
そんなに仕事が好きなら、子どもを保育園に預けてずっと働き続ければよかったんだけど、それは諸々を考えて選択しなかった。
だからこれが、人生で思い切り仕事ができる最後かもしれないと思うと、ギリギリまで働きたかったのである。

そして子どもが幼稚園に入ってホッとした時、またムラムラと働きたくなった。
ああ何でもいい!!働きたーーーい!!
だけど、育児に消耗される気力と体力と時間を残しつつ打ちこめる仕事となると、あまり選択幅がない。
とりあえず新聞のチラシ広告を見ながら、朝、幼稚園のバスの見送りに立って、午後のお迎えに立つまでの間にできるアルバイト的な仕事を探してみた。

その時、条件に合った仕事が「マンションの清掃員(共有スペース)」という、全く未知の世界の広告だった。
園バスは早バスと遅バスといって学期ごとに時間が変わるため、×時~×時の間なら出勤時間は自由でOKというのが目を引いた。

これやりたい!!
元来、身体を動かすのが好きなこともあったけど、当時、一人になって頭をカラッポにしてバットでも振り回したい心境だった私は、そう思った。

実際にやってみると、仕事は想像以上に自分に向いていることがわかった。
私は買い物してモノが増えるより、捨てて目の前からモノが減っていくことに安らぎを覚える人間である。
目の前からゴミが消えて、雑草が抜けると快感がこみあげてきた。
決して若くないのに「あなたみたいな若い人が来てくれてうれしい」と言われ、なんて優しいギョーカイだろうと感謝もした。

服装も自由。
一人仕事で、音楽を聴きながらやってもいい。
来る日も来る日も子ども番組に付き合わされていた私は、好きな音楽を一人で楽しむことにも飢えていた。
退屈に思う時もあるけど、人間関係に気疲れすることもない。
人は乗せられたら働くものである。

以来、年二度ある優秀賞に必ず選ばれて(有難う!!)、最初は週二日で始めた仕事も依頼が増えて週6日、幾つもの物件を掛け持ちしている。
もう9年目である。
人ではなく、季節とコミュニケーションをとりながらする仕事もわるくないと思う。
コメント (12)

気の強い女2

2018-04-11 | 仕事の話
職場のストレスというと、周りが圧倒的に自分より仕事ができて、緊張と劣等感にさいなまれることだった私も、何年かしたら仕事ができない人に振りまわされて、悩まされるパターンもあることがわかり始めた。

そんなに大きい会社じゃないところにいた時、そこは清掃業者など頼んでいなかったから、掃除は自分たちでやらねばならなかった。
でも「汚れているなと気づいた人がやる」というという常識に任せていると、絶対やらない人がいる。
というか圧倒的多数がそういう人だった。
私はそこに入って誰に言われたわけじゃないけど、朝は早めにきて床の掃除と雑巾がけをした。
新入りだから仕事を知らないし、せめてそのくらいはと思ったからだけど、それ以上に、四隅に埃が舞っているようなところで食事をして、分別もせず、何でも一緒くたにゴミ箱に入れる神経が嫌だったからである。
帰りには全員のゴミ箱を空にして帰った。
洗面台とトイレもピカピカにした。
好きでも得意だったわけでもない。仕方なくやった。(好きでやる人なんかいるだろうか)
業者に頼んだらそうなって当たり前だし、頼んでない以上、誰かがこうするしかないと思う。

だいたいが掃除や生理整頓にだらしない会社で、コピー機のまわりも雑然としていたので、サイズごとの裏紙ボックスを作って、裏紙はここ、新しい紙はここと取り出しやすくした。
予備の文具品も整理して無駄な発注をしなくて済むようにしたり、倉庫の整理をして古い書類の調べものもわかりやすくした。
OA機器の故障の連絡は短縮登録して、ついでに短縮登録一覧も見直して使えるように作り直した。
電話連絡のメモは、書き込みがラクなフォーマットを作った。
何かやろうとする時、余計なことに時間や手間をとられるのが無駄と思ったからである。
こういうことは、それまでいた会社では当たり前すぎて意識もしなかったことだけど、できない会社というのはできないんだなあと思った。

そこまでやっても、
「あれコピーが詰まっちゃって。海さん、業者連絡って表示が出ちゃったんだけど」
と平気でいう年配者がいた。
「そういう時はここに連絡してくだいという、短縮登録してありますし一覧表も渡してあります」
(だから、そういう面倒なことは言いたくないのよ~o(T◇T)o

後に新しく入ってきた男の子は、初日にびっくりするほど朝早くきて「今日からなんでよろしくお願いします」と深々と頭を下げたので恐縮したら、それだけだった。
私が掃除をしているのを見ても知らん顔して、それきりボーッと座っていた。
早く来たのはその日だけで、翌日からは当然のようにギリギリで出社すると、自分のゴミ箱のゴミも捨てずに定時で帰っていった。
「そんなもの女がやれよ」とでも思っているんだろうか。

ある時、これみよがしに大量のダンボールを畳みながら重そうに運んで(そうでもなかったけど)
「手伝ってくれる?今日、月一のダンボール回収の日なの」
と頼んだら、
いきなり私を指差しして「よく知ってんね!」と叫んだ。

そいつは入って一月も立ってない上、まだ一件の売り上げも上げていない中、
「今週の土曜休ませてください。子どもの運動会なんです」
と社長に談判した。
30そこそこで子どもが3人もいるらしいので、行かないと奥さんが大変なんだろうなあと思ったけど、それを今の自分の立場でよく言えるなと私はニヤニヤしながら聞いていた。
「運動会?」
社長がロコツに怪訝な顔をした。
相当なイヤミを言われながらも、見事に厚顔を貫いて土曜は休んだ。
すばらしき家族愛である。

結局その方は、何の売り上げも上げないまま数カ月後に「辞めます」と言って退職していった。
いろいろ見てきたけど、彼が殿堂入り「仕事できない人ベスト1」だったかな。
コメント (2)

気の強い女

2018-04-10 | 仕事の話
ある会社に入ったばかりのこと。
電話が鳴ったのでとろうとしたら、向かいに座っていた男性社員が
「内線2番の電話はとらないで。経理専用だから」
と教えてくれた。
「2番は銀行からの音声案内だから。経理が電話中の時はとって保留にして、電話が終わったら教えてあげて」

皆を見たらそうしていたので、なるほどと思った。
本来そういうことは経理が直接教えてくれてもいいものだけど、そこの経理の女は超不愛想で、見るからに怖そうだった。
スマイルゼロってやつでひたすら電卓を叩いている。
そういう会話を横で聞いていても「そうなんです。よろしくお願いします」とも言わない。
まあたまにいるけど、こういう人。

それから何日かして内線2番が鳴って経理を見たら電話中だったので、私は受話器をとって保留にした。
すると電話を切った女が
「海さん!銀行からの電話は人の場合もあるのよ!受話器をとっていきなり保留にされたら失礼だと思わない?!」
と怒鳴った。
その剣幕にビビって「す、すいません!!」と謝りながら、向かいの男の子に「そうなの?」とささやいたら、彼も顔面をひきつらせながら頷いた。

でもこの女は経理だけあって、仕事はかっちりしていた。
私が渡す書類の、一字の誤りも見逃さなかった。
この女のお蔭で、私は仕事を覚えるのが早かったと思う。
それは今でもとても感謝している。
怒られたくない一心で懸命に顧客と商品と数字を覚えて、遅いと言われたくないために、胃に穴があくほど業務を研究した。
最短で効率のよいやり方をするべく、一からマニュアルを作り直した。

そうやって仕事に慣れたある時、飲み会の席で女がテレサ・テンを歌いながらポロポロ泣いているのを見た。(独身だしいろいろあるんでしょうね)
私は自分も飲むので、酒の席のことはクールである。
別に驚きもせず、ああ彼女も人間なんだと安心した。
そして彼女も、酒の席で少しくらい隙を見せたからといって翌日からの仕事の態度も変わらなかったし、相変わらずニコリともしなかった。

そんな中でまたしばらくした或る時、私は決定的な経理のミスを発見してしまった。
小口をまとめた分の売掛金がどうしても一部なくならないのが気になって、台帳を遡って辛抱強く照合していったら、ある顧客の入金処理がすっぽり抜けていることに気が付いた。
「彼女でもこんなミスするんだ…」
仕事でも、彼女はアンドロイドではなく人間なんだと、私はまたホッとした。
その後、私はなるべく彼女のプライドを傷つけないように、努めてやわらかく、そこを指摘した。

その二件以来、無意識に私の緊張は切れたのだろうか。
それからまたしばらくした、会議の席でのこと。
新しいパソコンのソフトを変えることになってそれを話し合っていた時に、女の言い方が勘に触って、思わず私の方が怒鳴ってしまった。
いや、ブチ切れたといった方が正しい(笑)
あまりに半端ない怒鳴り方だったので、まわりが焦って会議が中断されてしまったほどだった。

翌日、彼女が別件でおずおずと私に近づいて「海さん…あの…」としおらしい声を出したけど、私はもう怒っていなかったので「何?」とふつうに返事をした。

「内線2番」の一件から6年の月日が経っていた。
コメント (4)

ぶっつけ本番

2018-03-26 | 仕事の話
思えば私の人生は「ぶっつけ本番」の連続だった。

高校を卒業して、一人で右も左も全くわからないまま上京して、仕事も、まともに住む家もなくて、ポケットには春休みにバイトして得た数万円しか入ってなかった。
コンビニで履歴書を買って喫茶店で記入して、初めて座った会社の机で電話をとっても、会社名のあとにまず「お世話になっています」と言うことすら知らなかった。
「××さんは?」
「いません」
その後何を言えばいいのかもわからなかった。
コピー機の使い方一つ「さっぱりわからない」
会社の行き方や、他の店舗の行き方を聞かれても路線図もチンプンカンプン。
くたくたに疲れて帰っても食べるものさえない。
テレビも冷蔵庫もない。
でもなんとかなった。

海外で生活経験がある人が仰っていた。
「英語が上達するまで働きません」なんて言っていたら、時間が経過するだけ。
ヘロヘロの英語で接客して「アンタの英語…」と叱咤されても、うっせーババアくらいに思って上達したと。
そんなものなんだなあと思う。

上京当時の笑えるエピソードなんて山ほどある。
田舎から出てきて、セブンイレブンも当時はまだ少なくて、よく耳にするそれは何だろう?と思っていた時。
あるバイト先の面接で「セブンイレブンなんかで働くより全然いいでしょ?」と言った面接官の顔が見るからにスケベそうで(実際そうだった)、その表情からして、ああセブンイレブンって風俗店のことだったんだーと納得したりした(笑)
コメント