☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『お茶漬けの味』(1952)

2013年11月11日 | 邦画(クラシック)
『お茶漬けの味』(1952)

小津安二郎監督、佐分利信さん、木暮実千代さん、笠智衆さん、津島恵子さん、鶴田浩二さん出演。


【STORY】
『麦秋』に続いて小津安二郎と野田高梧が共同で脚本を執筆し、映画化した作品。地方出身の素朴な夫と夫にうんざりする上流階級出身の妻、二人のすれ違いと和解が描かれる。

【感想レビュー】
これもまた、愛おしい作品でした

仕事がバリバリ出来て、物静かで芯の強い夫と、家に使用人が居て、料理どころか台所にも入った事がないような妻とのお話し。

妻は、いつもいつも夫に不満を持っていて、友人や姪の前で夫の悪口を言う事を憚らず…

悪口ばかり言っているから、余計に増幅されて、益々、夫の事が厭になっていくようです。

自由気ままで奔放で、気位の高い妻を木暮実千代さんが演じていますが、本当に、憎たらしいほど可愛げのない妻で!

それがあるきっかけで、ほろほろと溶けて、夫婦は結婚して初めて、心が通ったのでした

そのモチーフにお茶漬けを使うなんて、なんて温かくて、なんて素敵なのでしょう


『晩春』の笠智衆さんの台詞に、結婚する事が幸せなのではない、何年かかるか分からないけれど、幸せは二人で作っていくものだ、のようなくだりがありましたけど、このテーマ、繋がっていました

普遍的ですね

それでもたまに、この価値観は半世紀以上経っても、まだ変わらないのか⁈…という事もあれば、むしろ後退している⁈…という事もあって、面白かったです


また笠智衆さんが、パチンコ屋の店主で、先に観た3本と雰囲気が違うのも見どころで、嬉しくなるポイントでした



『晩春』(1949)

2013年11月11日 | 邦画(クラシック)
『晩春』(1949)

小津安二郎監督、笠智衆さん、原節子さん出演。


小津監督が娘の結婚を巡るホームドラマを初めて描いた作品。
その後の小津映画のスタイルを決定した。小津監督が原節子と初めてコンビを組んだ作品でもある。なお、本作の他『麦秋』(1951年)、『東京物語』(1953年)で原節子が演じたヒロインはすべて「紀子」という名前であり、この3作品をまとめて「紀子三部作」と呼ぶこともある。(Wikipediaより)

【STORY】
結婚をめぐる父親と娘を題材にした感動作。

【感想レビュー】
これは…

もう無条件に泣いてしまうではないですか…

この作品をもって、「紀子三部作」をすべて観た事になりますが、笠智衆さんは今度は56歳の父役でした。

朗らかだけど、ちょっとだけムキになったり、威厳があったり…

笠智衆さんの、座った時に丸くなる背中が、ずっとツボです

背中から、色々な想いが伝わってくるなぁと生意気ながら思います。

『東京物語』でも、妻の危篤の時に座った背中が、それまでよりシュッと小さく見えて、思わず目を凝らしたのですが…。


そして、親娘だけれど、そこにきちんと礼儀があって、でも温かくて、思っている事を伝え合えたり、お互いに思いやる気持ちに、本当に心が洗われました

『晩春』には、普遍的な想いが沢山詰まっていて、やっぱりとっても癒されました