夕方、半澤の自宅を訪れる康介
三角康介(みかど こうすけ) - 志尊淳 が 半澤日路輝(はんざわ ひろき) - 滝藤賢一
の自宅へやってくる。
前回、非浦英莉可(ひうら えりか) - 平手友梨奈 に妻:冴子(はんざわ さえこ) - 桜井ユキ が
呪いをうけてしまい、そのことで自宅に呼ばれたらしい。
先に来ていた冷川理人(ひやかわ りひと) - 岡田将生 とも気まずい再開を果たす。
三角くん、久しぶり。
そう冷川に声をかけられても、頷くだけだ。
呪いが強すぎて、解くのが難しいです。
無理やり引きはがせば、冴子さん自身の命が危ない。
ソファーに寝かされ、両目からあの液体が流れ出る冴子。
外に出て、歩き出す冷川と康介。
まだ怒ってるんですか?
諦めるんですか?
えっ!?
半澤さんとは付き合いが長いんですよね、なんとかしてでも助けようとは思わないんですか?
ん~、経験上人を助けても、余りいいことはなかったです。
その言葉を聞いて足を止め、冷川の前に出る康介。
じゃ、冷川さんはこれまでずっと一人で、自分だけの力で生きてきたと思ってるんですか?
誰かに助けられたことは一度もないんですか?
よくわからないといった顔をする冷川に、
俺が言いたいのは、大事な人は大事にしろ!ってことです。
その時、大型の黒いワンボックスカーが冷川の真横で停車し
降りてきた英莉可のボディーガード:逆木一臣(さかき かずおみ) - 新納慎也が
冷川を連れ去ろうとしていた。
それを見た康介が制止しようと駆け寄り、逆木に殴り倒されてしまう。
起きろ、おいっ!
逆木に顔を掴んで揺り動かされ、気が付く康介。
すぐ近くには冷川もいる。
冷川さん、ここ・・・。
古いバーかスナックといった感じの店のようだ。
そこには、英莉可がやはり冴子と同じような状態になっており、ソファーに座ると言うよりは
もたれかかっている。
最初は分からずに近寄って見た康介は、彼女の状況に驚く。
ヒウラエリカ・・・、何だよコレっ!
自禍中毒ですか。
人を呪えば、必ず自分に跳ね返ってくるんです。
なんとかしろ、絶対に死なせるな!
僕がそんなことをする義理はない、自業自得です。
なんだと!
冷川を脅そうと向かってくる逆木より先に、康介が冷川の前に歩み出る。
やるべきですっ!
彼女なら、冴子さんにかけた呪いを解けるかも知れない。
協力してください、お願いします。
そう言って、冷川に頭を下げる。
ふぅ~、分かりました。
そう言って、立ち上がる冷川。
近寄る逆木を、危ないので外に出るように注意する。
(逆木、ドアを開け外に出て行く。)
康介が目を閉じ、冷川が後ろから左手を康介の肩にのせる。
そして、冷川の右手が康介の胸の中心に置かれると
白い三角形が、康介・冷川・英莉可の三人を囲むように現れる。
公園のブランコで一人遊ぶ中学生くらいの英莉可
彼女に向かって、黒い大きな煤が
入れて
と声をかけてくる。
いいよ。
彼女がそう答えた途端、その大きな黒い煤は彼女の身体の中に入って来たのだ。
彼女の目から、あの黒い液体が流れている。
通り魔の男性が次々と人を襲い、英莉可の前に現れたとき
彼女の母親が、彼女をかばうように覆いかぶさり
英莉可の目の前で、母親は死んでしまう。
母親の血を顔に浴びながら、英莉可が憎しみの余り通り魔の男を呪うと
男は目から黒い液体が流れ、英莉可の耳からもその液体が流れていく。
父親:非浦松男(ひうら まつお) -マキタスポーツ によって
宗教団体の教祖:石黒哲哉(いしぐろ てつや) - 筒井道隆
の前へ連れ出される英莉可。
石黒に心酔する松男は、怖がる英莉可に
これからは先生のために力を使いなさい。
と、英莉可を諭す。
ある日、石黒が呪いを受けたと思われる信者の一人を教祖の前に
担ぎこんでくる。
これどうしたの?
呪いですよ。
その情景は、冷川のものだった。
元は、石黒は少年時代の冷川の信者だったのだ。
当時の失われた記憶が現れ、頭を押さえる冷川。
その間にも、英莉可は黒い液体を流し続ける。
英莉可に向かい、左手を指し除霊を試みる冷川。
英莉可が目を覚ますと、顔から流れ出る黒い液体は消えていた。
どうも。
英莉可がぶっきらぼうに礼を伝える。
頼みがあるんだ。
半澤さんの奥さんにかけた呪いを解いて欲しい。
無理。
どうして?
貯金箱のエネルギーを使ったから・・・。
貯金箱・・・。
まさに以前冷川が言っていたとおりの役割を、あの場所は果たしていたのだった。
穢れを貯めておく装置、あの時初めて使ったけど強すぎてコントロールできなかった。
貯金箱は、君が一人で作ったんですか。
冷川の問いに、首を振る英莉可。
先生が基盤を作って、私が増幅させたの。
さっきの、アナタの記憶でしょ。
先生を知ってるの?
記憶を覗いた英莉可に聞かれ、今度は冷川が首を横に振る。
覚えてない。
半澤の自宅
半澤を前に、康介と冷川が報告にやってくる。
この件は、僕たちの手には負えません。失礼します。
そう言って、立ち上がり帰ろうとする冷川。
康介も立ち上がり、冷川に尋ねる。
どういう関係なんですか?
どうしてアナタの記憶の中に、あの教祖がいたんですか?
おいおい、なんの話だ。
見たんです。
冷川さんの記憶の中で、非浦英莉可と一緒に貯金箱を作った教祖が・・・。
奇妙な男を連れていた。
目から黒い液体を流す男に向かって、幼い冷川が
これ、どうしたの?
と、訪ねると信者の石黒が
呪いですよ。と答え
呪い?と、冷川が聞き返していたのだった。
もしかして、そいつが呪いを持ち込んで、事件を起こした・・・。
もし、そうだとしても今更関係のないことです。
どうして、そんな奴野放しにしておいたら、何をしでかすか分かりませんよ。
それは僕たちの仕事じゃないです。
冴子さんの呪いを解くことはできない、できる限りのことはやりました。
何かできることはまだある筈です。
これはアナタの問題でもあるんじゃないですか?
僕の?
もういい。
面倒に巻き込んですまなかった。
半澤さん。
頭を下げ帰って行く冷川。
んんあぁもぅ、と地団太を踏む康介。
どんなに心を砕いてやっても、救えねぇことってあるんだよなぁ。
ま、気にすんな。
気丈な態度を見せる半澤に、言葉が見つからない康介だった。