超空洞からの贈り物

様々なニュースや日常のレビューをメインに暗黒物質並に見つけ難い事を観測する、知識・興味・ムダ提供型共用ネタ帳です。

電子たばこの有害性をFDAが警告

2009年08月10日 02時35分49秒 | 健康・病気
 e‐シガレット(e‐cigarette)の名で知られる電子たばこには、発癌(がん)性物質をはじめとする毒性物質が含まれることが示されたと、米国食品医薬品局(FDA)が報告した。電子たばこは、ニコチンを霧状にして吸引する電池式の機器。FDAのJoshua Sharfstein氏によると、世界保健機関(WHO)、米国疾病管理予防センター(CDC)および米国癌協会(ACS)などの各専門機関が、電子たばこの安全性のほか、若年者でのニコチン依存を増大し、最終的には喫煙促進につながるリスクについて懸念を示しているという。

 FDA医薬品評価研究センター(CDER)のBenjamin Westenberger氏によると、同局が米NJOY社(アリゾナ州)およびSmoking Everywhere社(フロリダ州)の販売するe‐シガレット2銘柄を対象に少数の標本の成分を分析した結果、1点から不凍剤の成分であるジエチレングリコールdiethylene glycolが検出されたほか、複数の標本からニトロサミンnitrosamineなどの発癌性物質が検出されたという。電子たばこは米国内で販売されているが、主に中国で製造されており、「今回の結果から品質管理のずさんさが示された」と同氏は指摘している。

 米国肺協会(ALA)はFDAの見解を支持し、FDAによる審査および承認がされない限り電子たばこの販売を直ちに中止すべきだと述べている。FDAによると、今回の試験に加えて電子たばこの出荷時の検査を実施しており、これまでに50件の出荷が足止めされている。しかし、FDAが電子たばこは薬剤かつ医薬デバイスであり連邦食品・医薬品・化粧品法(FFDC)の規制下に置くと主張する一方、販売元のSmoking Everywhere社は4月下旬、FDAの出荷の禁止は越権行為であるとしてFDAを提訴したという。

 電子たばこが青少年に販売されていることも、専門家の間で懸念されている。電子たばこはオンラインやショッピングモールで買うことができ、見た目や使い方がたばこに似ているほか、カートリッジにはチョコレート、ミント、風船ガムなどの香りがあり、若者にとっては魅力があることから、子どもや少年が喫煙する最初のきっかけとなる可能性もあると専門家は指摘している。

 NJOY社は先ごろ声明を発表し、2007年4月の発売以降、同社の製品について健康被害の報告はされていないこと、未成年に販売しないよう十分な対策を講じていることなどを主張している。今回のFDAの試験結果には驚いており、近く社内での試験結果について情報を提供する予定であると同社は述べている。Smoking Everywhere社からはコメントを得られていない。

※画像と本文は関係ありません。

緑茶の癌(がん)予防効果の確証得られず?

2009年08月10日 01時29分36秒 | 健康・病気
 過去20年にわたる51件の研究を対象としたレビューの結果、緑茶の癌(がん)予防効果については、未だ明確な答えが出ていないことが示され、医学誌「The Cochrane Database of Systematic Reviews(コクランシステマティックレビュー・データベース)」7月8日付オンライン版に掲載された。

 今回のレビューでは、肝癌、乳癌および前立腺癌については緑茶による予防効果がある程度認められたものの、膀胱癌リスクは逆に増大する可能性が示された。食道癌、大腸(結腸直腸)癌、膵癌など消化管の癌では一致する結果が得られず、著者らは肺癌、膵癌、大腸癌の予防効果については限定された証拠しか認められなかったと記している。「これほど多数の研究について検討しても、緑茶の癌予防効果については明確にできない」と、筆頭著者であるドイツの癌研究グループ(Oncology Study Group)の一員、Katja Boehm氏は述べている。

 今回の研究では、緑茶を日常的に飲んでいるアジア人計160万人を対象とする研究をレビューした。Boehm氏によると、緑茶の摂取量やさまざまな癌の成長(増殖)の仕方が一定でないために、緑茶の癌予防について決定的な関連性を見出すのは困難であるという。「1つ確かなことは、緑茶の摂取だけでは癌予防にならないということである」と同氏は述べている。

 緑茶には強力な抗酸化物質であるカテキンをはじめ、ポリフェノールが豊富に含まれている。ポリフェノールは同じ植物(チャ)を原料とする紅茶やウーロン茶にも含まれるが、緑茶のポリフェノールには特有の癌予防効果があると主張する研究者もいる。米Moffitt癌センター(フロリダ州)のNagi Kumar氏は「緑茶に含まれる物質には確かに有望性がある。この分野の研究は現在、緑茶成分に似た薬剤を用いて有効性と安全性を試験し、癌予防効果の有無を検討する段階まで進んでいる。時間が経てば答えが出るはずだ」と述べている。

 Boehm氏とGumar氏はともに、この件についてはさらに徹底的な研究が必要であると述べるとともに、仮に利益がなくても適量の緑茶を飲むことは安全であるとの見解を示している。Boehm氏によると、1日の摂取量は1,200ml(カップ5杯強)を超えないほうがよいとのこと。

幹細胞を利用した“生物学的ペースメーカー”

2009年08月10日 01時04分04秒 | 健康・病気
 ヒト脂肪組織由来の幹細胞によって、現在ペースメーカーを用いて治療されている心臓の伝導障害を改善できる可能性のあることが日本の研究チームにより示され、米ネバダ州レイクラスベガスで開催された米国心臓協会(AHA)基礎心血管科学(BCVS)年次集会で報告された。

 今回の研究では、マウスの褐色脂肪組織由来の幹細胞から、心臓の伝導組織に似た特性をもつ“拍動beating”細胞を培養。その細胞を、房室(AV)ブロックと呼ばれる伝導障害によって心拍数の減少したマウスに注入した。1週間後、半数のマウスにAVブロックの完全な回復または部分的な回復が認められたが、対照群のマウスには全く変化がみられなかったという。この拍動細胞は識別しやすいよう緑色に着色されており、心臓の電気伝導系をつかさどる部位の近くに付着しているのが認められた。

 「電子ペースメーカーは、伝導障害のみられる患者の姑息的治療(有用だが治癒にはつながらない治療)によく用いられるが、誤作動の問題や、電池と電極を何度も交換する必要があるなどの短所がある。細胞治療によってこのような問題を克服できる可能性がある」と、筆頭著者である千葉大学大学院医学研究院の高橋聖尚(としなお)博士は述べている。

 褐色脂肪組織から得られる間葉系幹細胞(MSC)は、骨、ニューロン、筋、肝および脂肪細胞などのさまざまな細胞に成長できることがわかっている。今回の研究では、この細胞を単離した後、自発的に拍動する細胞群を培養することに成功。心臓の筋線維に似た管状の細胞群が認められると同時に、どの細胞にも蛋白(たんぱく)などで心臓ペースメーカー様細胞との類似性がみられた。「この知見から、褐色脂肪由来の間葉系幹細胞から抗不整脈治療に有用な細胞が得られる可能性が示される」と高橋氏は述べている。

有望視される新しいアルツハイマー病の治療法

2009年08月10日 00時29分36秒 | 健康・病気
 アルツハイマー病の発症および進行にかかわる2つの異なる脳異常について新しい治療法が有望であることが示され、ウィーンで開催されたアルツハイマー協会2009国際アルツハイマー病学会(ICAD)で発表された。

 第一の研究では、dimebolin(Dimebon)と呼ばれる薬剤(※ロシアで臨床応用されている抗ヒスタミン薬)がヒトおよびマウスの認知機能を改善する可能性が示されると同時に、この薬剤がアルツハイマー病の顕著な特徴であるプラーク(老人斑)の主要な構成要素である脳内のアミロイドβ(ベータ)のレベルを増大させることが判明した。世界中の製薬会社が脳内のアミロイドβを減少させる物質を突き止めようとしのぎを削る中、今回の知見は「極めて驚くべきものであり、予想外であった」と、研究著者の米マウントサイナイMount Sinai医科大学(ニューヨーク)アルツハイマー病研究センターのSamuel Gandy博士は述べている。

 この知見から、これまでのアルツハイマー病治療薬やアミロイドに関する考え方が変わってくる可能性があるとGandy氏はいう。dimebolinが脳の過剰なアミロイドを中和して排出させる可能性もあれば、アミロイドがニューロンの中ではなく外側にあることが何らかの利益をもたらしている可能性もある。さらに、「アミロイドβがアルツハイマー病の“主犯格”ではないことも大いに考えられる」と専門家は述べている。

 アルツハイマー病協会のRalph Nixon博士によると、複数の製薬会社がこの薬剤の米国食品医薬品局(FDA)承認に向けて取り組んでいるという。「第3相試験でこの薬剤の効果が裏付けられれば、アルツハイマー病の根本的な原因や発症をもたらす因子について手掛かりを突き止めるための強力なツールとなると思われる」とNixon氏は述べている。

 2番目の研究では、アルツハイマー病にみられる脳の神経原線維のもつれ(tangle)を引き起こす「タウ(tau)蛋白(たんぱく)」を標的とするワクチンが、少なくともマウスで有効であることが明らかにされた。イスラエルの研究グループが、遺伝的に神経原線維のもつれを発症するよう操作したマウスを用いて、3種類のリン酸化タウペプチドまたは短縮型タウ蛋白の併用による免疫処置を実施した結果、神経原線維のもつれに40%の減少が認められ、脳炎症は認められなかった。

 このほか、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)による関連研究では、ビタミンD3をクルクミンと呼ばれるスパイスに含まれる物質と併用することにより、脳のアミロイドβを除去する免疫システムが促進される可能性があることが示され、米医学誌「Journal of Alzheimer’s Disease(アルツハイマー病)」7月号に掲載された。