超空洞からの贈り物

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高地に住む透析患者は死亡率が低い

2009年03月09日 22時02分16秒 | Weblog
標高の高い地域で暮らす透析患者は、海面に近い低地に住む患者よりも長く生存できる可能性が示された。

 過去の研究から、高地に住む末期腎疾患(ESRD)患者が、エリスロポエチン(赤血球の生成を促進するホルモン)を低用量しか使用しなくても高いヘモグロビン(赤血球に含まれる蛋白[たんぱく])濃度を示すことが指摘されていることから、研究グループは、高地では利用できる酸素が少ないため体内の貯蔵鉄の動員が促進され、赤血球が効率的に産生されるのではないかとの仮説を立てた。

 今回の後ろ向き研究では、1995年から2004年の間に透析治療を開始した米国人患者80万人以上を追跡。5年間の追跡の結果、標高250フィート(約75m)未満に住む人の死亡率は1,000人‐年あたり220.1人、250~1,999フィート(約75m~600m)では221.2人、2,000~3,999フィート(約600m~1,200m)では214.6人、4,000~5,999フィート(約1,200m~1,600m)では184.9人、6,000フィート(約1,800m)以上では177.2人であった。最も高地に住む人は、最も低地に住む人よりも死亡リスクが約15%低いことになる。

 ただし、酸素の少なさが鉄と赤血球の増大をもたらすという最初の仮説によりこの結果を説明できるかどうかは、まだ解明されていない。研究著者の米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)のWolfgang C.Winkelmayer博士によると、いわゆる低酸素誘導因子(HIF)は100を超える器官や遺伝子に影響を及ぼしており、その一部は心血管に対する影響を含め、長期的な生存率に影響を及ぼしているという。

 著者らはこのほか、米国疾病管理予防センター(CDC)のデータをレビューした結果、一般集団でも高地に住む人の寿命が長い傾向があることを突き止めているが、その効果は透析患者群より少ないという。ある研究では標高1マイル(約1,600m)前後の都市に住む人の中には高度のせいで体調を崩して低地に転居する人もいると示されており、これが正しければ、一般集団での関連は弱まるか、消失すると思われるため、透析患者での効果はさらに大きい可能性もあるとWinkelmayer氏は指摘している。

 米テキサスA&M健康科学センターのJules Puschett博士は、裏付けにはさらに詳しい分析が必要だが、このデータがいずれは低地に住んでいても死亡率を改善できる治療法につながる可能性もあると述べている。

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