インスリンによって、アルツハイマー病による記憶力低下を遅らせたり、予防したりできる可能性のあることが、米ノースウエスタン大学(イリノイ州)のチームが率いる研究で明らかにされた。
著者の1人で、同大学認知神経学アルツハイマー病センターのWilliam L.Klein氏は「インスリン感受性は加齢とともに低下し、このことがアルツハイマー病の新たな危険因子(リスクファクター)となる。今回の結果から、インスリンシグナル伝達を高めればニューロンの損傷を保護できることが示された」と述べている。
この知見は、アルツハイマー病を糖尿病の一種とする考え方に最新のエビデンス(科学的根拠)を補強するもので、米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)」オンライン版に2月2日掲載された(印刷版は2月10日号に掲載)。
今回の研究では、インスリンおよびrosiglitazoneロシグリタゾン(商品名:Avandia、日本国内では未承認、2型糖尿病治療に用いられるインスリン抵抗性改善薬)が、脳の重要な記憶中枢である海馬から採取したニューロンを、アミロイドβ由来拡散性リガンド(ADDL)から保護することが明らかにされた。ADDLは、記憶を形成するシナプスを攻撃、阻害し、記憶低下を引き起こすことで知られる蛋白(たんぱく)で、アルツハイマー病に関与していることがわかっている。
「糖尿病治療薬がシナプスをADDLから保護するという今回の発見は、アルツハイマー病による記憶障害の治療に新たな期待をもたらすものだ」と、筆頭著者のブラジル、リオデジャネイロ連邦大学准教授(ノースウェスタン大学客員教授)のFernanda G.De Felice氏は述べている。同研究グループは、最近の関連研究で、ADDLが結合したニューロンのインスリン受容体を取り去ることによりインスリン抵抗性を引き起こすことを突き止めている。
著者の1人で、同大学認知神経学アルツハイマー病センターのWilliam L.Klein氏は「インスリン感受性は加齢とともに低下し、このことがアルツハイマー病の新たな危険因子(リスクファクター)となる。今回の結果から、インスリンシグナル伝達を高めればニューロンの損傷を保護できることが示された」と述べている。
この知見は、アルツハイマー病を糖尿病の一種とする考え方に最新のエビデンス(科学的根拠)を補強するもので、米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)」オンライン版に2月2日掲載された(印刷版は2月10日号に掲載)。
今回の研究では、インスリンおよびrosiglitazoneロシグリタゾン(商品名:Avandia、日本国内では未承認、2型糖尿病治療に用いられるインスリン抵抗性改善薬)が、脳の重要な記憶中枢である海馬から採取したニューロンを、アミロイドβ由来拡散性リガンド(ADDL)から保護することが明らかにされた。ADDLは、記憶を形成するシナプスを攻撃、阻害し、記憶低下を引き起こすことで知られる蛋白(たんぱく)で、アルツハイマー病に関与していることがわかっている。
「糖尿病治療薬がシナプスをADDLから保護するという今回の発見は、アルツハイマー病による記憶障害の治療に新たな期待をもたらすものだ」と、筆頭著者のブラジル、リオデジャネイロ連邦大学准教授(ノースウェスタン大学客員教授)のFernanda G.De Felice氏は述べている。同研究グループは、最近の関連研究で、ADDLが結合したニューロンのインスリン受容体を取り去ることによりインスリン抵抗性を引き起こすことを突き止めている。