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【岡山大学】ECMO使用の有無は肺を除き臓器提供後の生着率に影響を与えないことが明らかに ~看取り方の選択肢のひとつである臓器提供について適切な情報提供を~

2024年06月10日 08時52分08秒 | 健康・病気
2024(令和6)年 6月 9日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/



<発表のポイント>

日本臓器移植ネットワークのデータベースを使用し、体外循環式心肺蘇生法(ECPR)後の臓器提供の実態や移植を受けた人の成績(移植臓器の生着率)について、ECPRを実施されなかった人と比較しました。

ECPR群は非ECPR群と比較し、脳死下臓器提供に至るまでの期間が長く、移植肺の生着率は悪いものの、その他の臓器については同等であることが明らかとなりました。

◆概 要
臓器提供者(ドナー)の不足は世界的にも深刻な問題です。体外式膜型人工肺(ECMO)を使って蘇生を試みる体外循環式心肺蘇生法(ECPR)は心停止に対する高度な心肺蘇生法ですが、それでも脳機能が回復せずに脳死に至る患者さんが一定数存在します。

国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の学術研究院医歯薬学域(医)救命救急・災害医学講座の湯本哲也講師、同・中尾篤典教授らのグループは、公益社団法人日本臓器移植ネットワークのデータベースを解析し、一時的にでも心停止の状態に陥ったドナーを対象として、ECPRを実施された群とECPRを実施されなかった群を比較しました。

その結果、臓器提供の選択肢提示や脳死下臓器提供に至るまでの期間は、ECPRを実施された群で有意に長いものの、移植を受けた人(レシピエント)の成績は肺以外については同等であることが分かりました。

移植肺の成績についてはさらに検証する必要がありますが、救命救急の現場で心停止に対してECPRを行ったものの脳死に至ってしまった場合に、ECPRを行わず脳死に至った場合と同等に臓器提供も選択できる可能性があることが示唆されました。

 この研究成果は、2024年5月13日に英国の科学雑誌『Critical Care』に掲載され、6月3日に岡山大学から公開されました


◆湯本哲也講師からのひとこと

 臓器提供を選択された患者さんやご家族に敬意を表するとともに、救命救急、移植医療に携わってきた医療者の皆様、そして長年に渡り蓄積された大変貴重なデータを使用させていただいた日本臓器移植ネットワークの皆様をはじめ、関係者の方々に深謝申し上げます。

◆論文情報
 論 文 名:Organ donation after extracorporeal cardiopulmonary resuscitation: a nationwide retrospective cohort study
 掲 載 紙:Critical Care
 著  者:Tetsuya Yumoto, Kohei Tsukahara, Takafumi Obara, Takashi Hongo, Tsuyoshi Nojima, Hiromichi Naito, Atsunori Nakao
 D O I:10.1186/s13054-024-04949-5
 U R L:https://ccforum.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13054-024-04949-5


◆詳しい研究内容について
ECMO使用の有無は肺を除き臓器提供後の生着率に影響を与えないことが明らかに~看取り方の選択肢のひとつである臓器提供について適切な情報提供を~

https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20240603-1.pdf


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