超空洞からの贈り物

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FDAが経口腸管洗浄薬に腎障害リスクの警告表示を要請

2008年12月30日 21時48分09秒 | Weblog
大腸内視鏡検査の前処理として腸管洗浄に使用される処方薬2種が、腎障害を引き起こす可能性があることが米国食品医薬品局(FDA)により報告された。

 FDAは、経口リン酸ナトリウム製剤Visicol(編集部注=日本では、日本人に適した製剤、用法・用量に検討され、経口腸管洗浄剤「ビジクリア錠」として販売されている)およびOsmoPrep(※日本国内未承認薬は英文表記)の2製品について、急性リン酸腎症(重症腎障害の一種)のリスクがあることを消費者に知らせる「ブラックボックス警告(最も強い警告)」を表示するよう要請した。

 FDA医薬品評価研究センターのJoyce Korvick博士によると、OsmoPrepの使用による腎障害は20例報告されており、このうち3例は生検により急性リン酸腎症であることが判明している。腎障害の発生時期は薬剤を使用して数時間後から21日後までさまざまだという。FDAは両薬の製造元である米Salix Pharmaceuticals社(ノースカロライナ州)に対し、REMS(リスク評価・緩和計画)の作成、リスクを知らせる患者向医薬品ガイドの配布、市販後臨床試験の実施を求めている。

 FDAはこのほか、C.B.Fleet社(バージニア州)が製造するFleet Phospho‐sodaなど類似の市販薬についても懸念を示している(ただし、下剤として低用量の使用は安全とのこと)。FDAはこれら市販薬を腸管洗浄に使用しないことを勧めているが、医師の指示によって使用されることもあるという。Korvick氏は、代替として腸管洗浄に利用できる薬剤にはGoLYTELY、HalfLytely Bowel Prepなどがあると付け加えている。(編集部注=C.B.Fleet社はFDAの警告を受けて、市販のFleet Phospho‐sodaの自主的なリコールを決定した)。

 2006年には、OsomPrepを除く経口リン酸ナトリウム製剤について、腎機能に障害のある患者は「慎重に使用するべき」との勧告が出ている。FDAは今回、経口リン酸ナトリウム製剤を18歳未満では使用しないこと、リン酸ナトリウムを含有する他の下剤と併用しないことを勧告するとともに、以下に当てはまる高リスク者は慎重に利用するよう呼びかけている:
・55歳以上の人。
・脱水症、腎疾患、急性結腸炎、排便遅延のある人。
・利尿薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体 拮抗薬(ARB)、場合により関節炎治療用の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)など、腎機能に影響のある特定の薬剤を使用している人。

 一方、リン酸ナトリウムに対する不安から大腸癌(がん)のスクリーニングを避けるべきではないとの指摘もある。大腸内視鏡検査によって多数の生命が救われているのは事実であり、極めてまれな合併症を避けるために、使用する製剤の種類や患者の条件に注意する必要があるということだと専門家は述べている。米国癌協会(ACA)によると、大腸癌は米国で男女ともに診断される癌の第3位となっており、今年だけでも15万人が大腸癌を発症すると推定されている。

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