[ゴールデンフィッシュ]パウル・クレー
数あるクレーの中でも、特に好きな作品のひとつ。
金色の魚は光を発し他を圧倒する独裁者のよう。他の魚は関わりたくないと、怯えそっぽを向く。
まぶしい程に強いひかりは強大な力となって、周りを押さえつけているのかも…。
そんな作品だと思ってた。
疑うことなく、ずっと…。
最近読んだ本、2冊。
・「ようこそ、自殺用品専門店へ」ジャン・トゥーレ
・「レンタルチャイルド」石井光太
全く関係ないジャンルの本だけれども。読みおえてから、クレーの画集を開いたらなぜか、今までと違った見えかたがした。
暗く哀しみに沈んだ海の底で、誰とも関わらず暮らす彼らを、精一杯の輝きで照らしてあげようとしている魚。光はやがて、心の中にまで届くのかな…。
それとも、それとも。
派手で目をひく大きな魚は、異なモノと恐れられ、疎外されているだけなのかも。
強い光は時に、まわりを照らす標になり、暖になり…
時に、まわりを縛る鎖にもなる
真実は、どこにある?
あなたには、何が見える?