前回の記事では暗くなるにつれて、カラスウリの花も開いてくるということをお話ししました。
カラスウリの花は真夏の夜にしか咲きませんので、真夏の夜にしか見ることができません。
翌朝にはしぼんでしまう一日花なのです。しかも前回写真で紹介したとおり、レースの衣装の花嫁にも例えられる神秘的な花をしています。
さて、これで終わりではありません。続きがあります。
このようにして、すっかり暗い夜になったところで、ある昆虫が現れます。前回でも紹介した、一番最後の風景写真にも小さく写りこんでいます。
写真の上の方、真ん中の左寄りに1匹の昆虫のようなものが飛んでいるのがおわかりになるでしょうか。
その正体はスズメガの仲間です。スズメガの仲間は昼間に活動するものもいるのですが、夜に活動するものも少なくありません。
この夜に活動するスズメガはカラスウリの花の蜜を目当てに飛来し、あっちの花、こっちの花と飛び回って、ハチドリのように空中静止(ホバーリング)をしながら蜜を吸うのです。
カラスウリの花を見ると花びらどうしがくっついて一体となったタイプの花(合併花類)であることがわかります。そして元の部分が筒状になって長く伸びているのがわかりますね?
スズメガの口はチョウの口のように、いつもはクルッと巻いていますが、ストローのようになっています。この長いストローのような口を伸ばしてカラスウリの花の筒のようになった部分の奥の方にある蜜を吸うのです。
夜にしか花を咲かないカラスウリが受粉して実を成らせることができるのは、スズメガがいるからなのです。
カラスウリは秋になると、だいだい色の、いかにも秋らしい実を成らせますが、残念ながら以前撮った写真がなかなか見つからず、すぐにお見せすることができません。見つかるころには実の成る秋になっているかもしれません・・・。
カラスウリの種なら、1月に採取したものがありますので、次の記事でお見せします。
おぉ、大事なことをお話しするのを忘れていました。みなさん、思わず、写真に見入ってしまったのではありませんか?
自然観察会では写真でなく、実物に見入ることになります。
辺りが暗くなってきて、それに合わせて活発に活動を始める生きものたちがいる。こうした自然の中で、これらの生きものたちの様子に見入りながら、時を過ごす。それが自然と一体になるということです。
「真夏の夜の自然探検」の魅力としてお伝えした「探検(調査と言い換えても良いかもしれません)」「共有(分かち合い)」「自然と一体になる(自然との一体感を感じる)」の三つは、そのまま自然観察会の大切さでもあると考えています。