風の声

想いつくまま

友人の疑問

2020年10月21日 | 日記
友人の疑問。
話題が政治のことになった。
「なんで安倍政権はあんなに長く続いたのか・・」大した実力もない上に、あれだけの疑惑をばら撒きながら最長政権になったことを不思議がる。

友人の謎解きは簡単で、党内に倒閣をする健全な勢力が無くなったからにすぎない。
今でも自民党に派閥はあるが、96年に小選挙区制になり、かつての中選挙区制の頃のように派閥間で切磋琢磨していたような党内事情とはまったく違ってきた。

例えば、これまで最長政権だった佐藤政権のころは、全国のどの選挙区でも、同じ自民党の派閥の違う候補者同士の熾烈な選挙戦が展開されていた。同じ自民党であっても違う派閥の「敵」だった。その意味では党内に切磋琢磨する健全な緊張感があった。
だから、佐藤政権は野党からの攻勢を気に掛ける以上に、党内の「声」に耳を傾け、倒閣の動きをけん制しながら、慎重に謙虚さをもって政権が運営されていた。そのため本当に強く強力なリーダーシップと胆力の実力が必要だったといえる。

だが、1選挙区に自民党候補者が1人になった96年の小選挙区制から、党内での生死をかけた選挙戦の争いはなくなった。いわば平和ボケした温床育ちの政治家たちが24年間も培養されることになる。
その結果、党の総裁として公認候補の決定権をもつ安倍総理に逆らうことはない。悪口などもってのほか。そんな軟弱な議員ばかりが培養されてきた。
だから、ホンネではモリカケなどの数々の疑惑をおかしいと思いながらも口にはしない。総理には逆らわない。倒閣運動など思いもしない。そんな主体性も緊張感も無い自民党が出来上がってしまった。

政権が倒れるとき、その前触れに必ず与党内の倒閣ムードが漂い始める。様々な情報がリークされたりする。そして退陣に追い込まれるというのがシナリオだ。だが、その戦意が党内にはなっからないのだから実力やリーダーとしての資質がなくても政権運営はできる。恥を晒しながらでも、命拾いして政権は続けられるというわけだ。
もし安倍に優れた素養があったとすれば、持って生まれた厚顔無恥な才能だけということだろう。政権最長記録を更新しながらも、なんらレガシーを遺せなかったことが真の実力の無さを物語っている。

また、民主党政権時代の負の遺産の大宣伝によって、「他にいないから仕方ない」というあきらめの消極的な支持が国民に漂っていたから、居直って居座れば疑惑も乗り切って長期政権をやりとげられた。その「悪運の強さ」が最長政権になった謎の要因だといえる。

寄らば大樹の陰といった党内の馴れ合いと悪運の強さ。これこそが、安倍最長政権の要因というわけだ。

緊張感を失った今の政治状況は、単に自民党だけの問題ではない。日本政治にとっても民主主義にとっても不幸なことで、1選挙区で1人しか選べない小選挙区制は日本人にはなじまない選挙制度だといえる。かつての中選挙区制なら、選挙バランスを見て賢く選択することが出来た。一人だけを選ぶ窮屈な選挙よりも複数を選出できる選挙区の方が、「ほどほど」というバランス感覚が発揮できるので、日本人の寛容さに合っている。

そんな他愛もない話で盛り上がった。







  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする