けにーやじま (旧無礼講ロッカーズ)

信濃三十三観音札所NOW!
令和以降は長野県内外の札所めぐり、古刹名刹訪問記が主です。

上州三十三観音観音霊場第12番(その1) 観音山北野院 万徳寺(石山観音)

2024年01月16日 | 上州三十三観音霊場

観音堂と最年長の猫。

見守り観音とおびんずる猫 令和5年12月建立
上州三十三観音霊場の一覧

当札所の概要 石山霊園(石山観音)のウェブサイト
場所:群馬県伊勢崎市 赤堀町下触町(しもふれいちょう)4

真言宗豊山派 本尊:馬頭観世音菩薩
ご詠歌:玉とむすび 蓮葉におきたる 露の一雫 ながきは人の願いにて 短きものは命なり
(「玉とむすびてはちすばに おきたる露の一雫 ながきは人の願いにて 短きものは命なり」
とは、曹洞宗でお唱えする御詠歌・御和讃である梅花流詠讃歌「追善供養御和讃」の一節だそうです(昭和35年作)。曹洞宗ネットより。)

・この日、群馬県玉村町で三遊亭白鳥・蝶花楼桃花両師匠が出演する落語会があり、併せて群馬県内の札所見学を思いついた。万徳寺は境内に猫がいるお寺と知り、弟家族と、共に暮らすネコチャン3匹の平穏を願い、読経奉納に訪れるに至る。


令和6年1月14日(日曜日)
7:00 長野市発
9:00 万徳寺(石山観音)着
・北関東道 波志江SIC下車、県道103号深津伊勢崎線を北上5分。左に「観空苑 石山霊園万徳寺」の看板と駐車場がある。万徳寺を境に北は前橋市となる。
・入り口に鳥居がある。「本山の鳥居は本地垂迹(すいじゃく)の説、神仏混合によるもの」と山門裏に説明がある。入口標高104m、墓地斜面を上り境内へ。境内標高121m。

無住
・万徳寺は無住。石山霊園(石山観音)Webに併記のある前橋市の同宗派の阿弥陀山寶珠院 観昌寺の住職が、玉村山吉祥院 観照寺とともに兼務されている。
・訪問日には霊園の納骨堂「観空苑」(境内山門の東側)の管理人さんが、お守り・お札販売所の清掃に出入りしていたが、万徳寺に関する知識は無く、普段は霊園経営が主なのだと感じられた。

猫が住んでいるお寺、御朱印にも猫が

・山門入口は降雪の心配がないのか、割石を敷詰めた斜面。左の手水舎は流水なし。
・山門をくぐり、群馬県重文指定・直径日本一の鰐口を鳴らす。正面に観音堂。建築物は全て朱色で統一されている。
・山門阿形像の裏手に「上州 石山観音沿革 平成4年壬申睦月十八日 石山観音第42世 聖賢代 寄贈 品田松太郎」と記された2枚の説明額あり。嵯峨天皇の時代に、弘法大師がここに立ち寄り、巨石群の岩頭に観音像を彫刻した。以来、観音霊場として伝承されているとのこと。
淀みなく、ずばりとした文体で簡潔に当霊場の概要が説明されている。文章は石山霊園(石山観音)Webにそのまま転用されている。(※なお、第二次世界大戦後、蒋介石が日本が4つに分断されることを阻止したとの話は、ここで初めて知った。)
・その説明額の下に、ネコチャン達のねぐらであろう段ボール箱と毛布が置いてある。観音様に猫が遊ぶ「見守り観音」と「おびんずる猫」の石像が令和5年12月に建立された。
・観音堂の扉は施錠され、格子から堂内を覗くと本尊厨子は閉められており、その右側に十一面千手観音が見えた。
・御朱印は観音堂横のお守り・お札販売所にある書き置きのみ。通常と猫絵入りの二種類があり、本尊馬頭観音の御影も付いていた。御朱印代は賽銭箱に奉納。
・観音堂の裏には「石山観音」と呼ばれる所以の巨大岩塊群(塁岩)が唐突に存在しており、周囲に石塔・石神仏像が配されている。
・観音堂西面に「願主 品田松太郎」書による帝釈天、インドラ、婆羅門教の説明額。東面の壁半分に「交通安全守り本山 石山観音」として昭和50年代前半に作成された「かるた風の標語集」がある。

年号整理
・開山:奈良時代末期、延暦3年(784)・・・1240年前
・聖観音石像「弘法大師がこの地を巡錫した折に聖観音像を一夜で厳頭に刻し二十一日間この石上で修法さる。」:嵯峨天皇代=平安前期(大同四年(809)~弘仁十四年(823)・・・1200年前
・鐘楼(鐘はない。戦時供出のためという。):室町時代末、元亀年間(1570~1573)・・・450年前
・山門:江戸後期、安永5年(1776)・・・248年前
・石の大鳥居:天明4年(1784)・・・240年前 馬喰により寄進。
・群馬県重文指定、直径日本一の鰐口:江戸後期、天明7年(1787)・・・237年前
・「蒋総統 謹謝重恩の碑」:昭和55年(1980)建碑
・「見守り観音」と「おびんずる猫」の石像:令和5年12月(2024)建立

猫の餌やりに来ていた地元の方から最近のお寺の話を伺うことが出来た。
「この先、猫を飼えない年寄りはここで猫の世話に来るのが楽しみ。動物遺棄が厳罰となる以前に、ここに捨てられた猫が住み着いて一番多い時に8匹、今は5匹がいる。一番長いので10年いる。動物遺棄がないように「見守り観音」さまと、具合が悪い猫の病気治癒を願う「おびんずる猫」が先日できたところ。」

訪れた感想
・今回一時間の滞在だったが、多彩な見どころを理解し、周辺の眺望を楽しむには半日要る。本尊拝観の機会に再訪してみたい。
・観音堂裏は木が茂り昼でも薄暗く、石塔石像の形状、文字を明らかにするにはライト必携。
・蒋総統の顕彰碑、石塔石像群の配置と説明を記したものがあれば大変に助かります。(※蒋総統の顕彰碑は霊園頂上のクスノキの北側にある。1/20確認。)
・万徳寺のいわれ、建物や石像、岩塊群、猫など、詳しい視点で書かれたブログは多々あり。

訪問後に本尊の拝観は可能であるか、その他未確認事項を、兼務されている住職に電話で確認しました。
・本尊は年に一度だけ、1月第三週の初縁日に開帳。併せて石山にある阿弥陀如来石像も公開される。
・令和6年初縁日は1月20日の土曜日、9時より。「ぜひお越しください」とのことです。
・「無住」に書いた通り、住職は3つのお寺を兼務され、石山観音ウエブサイトに記載のある電話番号で通じるとのことです。
・「無住で御朱印は書き置きですが、普段お参りの際はできれば般若心経と、お堂に書いてある本尊馬頭観世音の真言をお唱えください。」とのこと。

石山観音のX(Twitter)アカウント

周囲は田畑、関東平野のど真ん中に、なぜ唐突に岩石群が?
15万年前の赤城山噴火で飛んできた「流れ山」とのことです。



   








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