ドラマ、観ました。原作は未読。ただ最近は松本清張の初期小説を立て続けに読んでいたので、興味がありました。
先に全体の感想から言わせてもらうと、とてもおもしろかったです。まず容疑者が逮捕され、それから事件の真相を調べていくうちに過去の出来事が挿入される、というプロットの組み立て。それがなかなかスリリングで、特にラストのクライマックス、水の中での夫婦の攻防は見応え十分でした。台詞を一切排し、音楽だけをバックに流す手法は効果覿面で(「てきめん」って難しい漢字だな)、感動的でした。
ピカレスクものかなと思っていたら、どうも単純にそうとも言い切れない展開になってきて、逆転無罪という判決結果そのもののように、最後に被疑者の人間性が鮮やかにひっくり返される。その一方で、室井滋演じる記者の低劣っぷりが憎々しいほどで、マスコミの象徴のような存在になっていました。松本清張の原作にこういうマスコミ批判があったのかどうか知りませんが、この点は非常に現代的なテーマですね。その反面、少し手垢にまみれすぎたテーマだとも言えるわけですが。
沢口靖子演じる被疑者の悪女ぶりは堂に入っていて、とりわけその目付きは恐ろしいほどでした。それに対する田村正和はさすがの風格で、舌鋒鋭く核心に迫る様子はまるで古畑。そう言えば、この二人は古畑任三郎で競演したことがあり、そのときは沢口靖子は犯人役でした。たしか「嘘をつかない女」とか、そういう題名だったと思います。彼女はシスターで、非常に落ち着いていて寡黙、おしとやかで信心深い女性の役を演じていましたが、今回の『疑惑』では一転してものすごい悪女役。幅が広いですね。
おもしろかったので、原作が読んでみたくなりました。
先に全体の感想から言わせてもらうと、とてもおもしろかったです。まず容疑者が逮捕され、それから事件の真相を調べていくうちに過去の出来事が挿入される、というプロットの組み立て。それがなかなかスリリングで、特にラストのクライマックス、水の中での夫婦の攻防は見応え十分でした。台詞を一切排し、音楽だけをバックに流す手法は効果覿面で(「てきめん」って難しい漢字だな)、感動的でした。
ピカレスクものかなと思っていたら、どうも単純にそうとも言い切れない展開になってきて、逆転無罪という判決結果そのもののように、最後に被疑者の人間性が鮮やかにひっくり返される。その一方で、室井滋演じる記者の低劣っぷりが憎々しいほどで、マスコミの象徴のような存在になっていました。松本清張の原作にこういうマスコミ批判があったのかどうか知りませんが、この点は非常に現代的なテーマですね。その反面、少し手垢にまみれすぎたテーマだとも言えるわけですが。
沢口靖子演じる被疑者の悪女ぶりは堂に入っていて、とりわけその目付きは恐ろしいほどでした。それに対する田村正和はさすがの風格で、舌鋒鋭く核心に迫る様子はまるで古畑。そう言えば、この二人は古畑任三郎で競演したことがあり、そのときは沢口靖子は犯人役でした。たしか「嘘をつかない女」とか、そういう題名だったと思います。彼女はシスターで、非常に落ち着いていて寡黙、おしとやかで信心深い女性の役を演じていましたが、今回の『疑惑』では一転してものすごい悪女役。幅が広いですね。
おもしろかったので、原作が読んでみたくなりました。