エルクマン=シャトリアン「見えない眼」という短編小説を読みました。
ピンと来た人、いますか。
江戸川乱歩の「目羅博士」の元ネタはエーヴェルスの「蜘蛛」、そしてその「蜘蛛」の元ネタがこの「見えない眼」なのです。
以前、乱歩の「目羅博士」を読んだとき、あまりにもエーヴェルスの小説に似ていたので、模倣しているに違いないと思ったものですが、最近そのエーヴェルスがエルクマン=シャトリアンの小説を模倣していると知り、早速図書館で借りて読んでみた次第です。
乱歩の小説は、むしろこの「見えない眼」の方に近いですね。乱歩はさすがにこの小説のことまでは知らなかったと思われるので、偶然でしょう。なんというか、「見えない眼」は怪奇性と現実性がまだ未分化の状態で、前者はエーヴェルスによって深刻な恐怖へと高められ、そして後者は乱歩によって探偵小説的趣味へと引き上げられた感じ。エーヴェルス等の作品を知らずにいきなり「見えない眼」を読んだら、いまいち意味がよく分からないかも、と思ってしまうほど、肝心な部分の描写は暗示的で、はっきりしません。
ところでエーヴェルスは『プラーグの大学生』でもやはりG・マクドナルドの小説を模倣しているそうで、小説のアイデアを他から拝借、ということは随分やっているのでしょうか。それはそれとして、エルクマン=シャトリアン、エーヴェルス、乱歩の一種の模倣合戦は、「見えない眼」のテーマから言って、必然でさえありました。というのも、そのテーマとはまさしく「模倣」だったから。もっと言えば、模倣や鏡の恐怖がテーマであると言えるでしょう。誰が誰を模倣しているのか分からなくなってくるところにこれらの小説の不気味さがあり、そして模倣の隠れた本質があるように思えます。そういえば、トポールの『幻の下宿人』もかなり近いテーマの小説だった気がします。
こういうことは、昔のブログで書いたように記憶しているので、今日はこの辺で。
そうそう、耳すまのことを書いて、初めて閲覧数が大幅に上昇しました。これまではどういうわけか逆に大幅に下降していたんですよね。金曜ロードショー効果ですね。
ピンと来た人、いますか。
江戸川乱歩の「目羅博士」の元ネタはエーヴェルスの「蜘蛛」、そしてその「蜘蛛」の元ネタがこの「見えない眼」なのです。
以前、乱歩の「目羅博士」を読んだとき、あまりにもエーヴェルスの小説に似ていたので、模倣しているに違いないと思ったものですが、最近そのエーヴェルスがエルクマン=シャトリアンの小説を模倣していると知り、早速図書館で借りて読んでみた次第です。
乱歩の小説は、むしろこの「見えない眼」の方に近いですね。乱歩はさすがにこの小説のことまでは知らなかったと思われるので、偶然でしょう。なんというか、「見えない眼」は怪奇性と現実性がまだ未分化の状態で、前者はエーヴェルスによって深刻な恐怖へと高められ、そして後者は乱歩によって探偵小説的趣味へと引き上げられた感じ。エーヴェルス等の作品を知らずにいきなり「見えない眼」を読んだら、いまいち意味がよく分からないかも、と思ってしまうほど、肝心な部分の描写は暗示的で、はっきりしません。
ところでエーヴェルスは『プラーグの大学生』でもやはりG・マクドナルドの小説を模倣しているそうで、小説のアイデアを他から拝借、ということは随分やっているのでしょうか。それはそれとして、エルクマン=シャトリアン、エーヴェルス、乱歩の一種の模倣合戦は、「見えない眼」のテーマから言って、必然でさえありました。というのも、そのテーマとはまさしく「模倣」だったから。もっと言えば、模倣や鏡の恐怖がテーマであると言えるでしょう。誰が誰を模倣しているのか分からなくなってくるところにこれらの小説の不気味さがあり、そして模倣の隠れた本質があるように思えます。そういえば、トポールの『幻の下宿人』もかなり近いテーマの小説だった気がします。
こういうことは、昔のブログで書いたように記憶しているので、今日はこの辺で。
そうそう、耳すまのことを書いて、初めて閲覧数が大幅に上昇しました。これまではどういうわけか逆に大幅に下降していたんですよね。金曜ロードショー効果ですね。