メディア芸術祭で短編アニメーションを見てきたのですが、目玉は何と言ってもこれです。
加藤隆『午後の恐竜』(星新一原作)。
いいとは聞いていたのですが、ここまでとは。アニメーション云々というよりは、原作がいい。これほどの想像力、天才的ですね。もちろん、映像もすばらしかったのですが、何よりも作品の構想と想像力に打ちのめされました。
NHKで放映されていたショートショートの一つなのですが、やはりNHKはアニメーションに関してすごいものを持ってくるなあ。いやまあそれはいいとして、『午後の恐竜』がどういう話なのかというと(以下ネタバレしまくり)・・・
ある男性が目を覚ますと、街に恐竜がいるわけです。でもその恐竜たちは手で触れることはできなくて、立体映像のように、ただ目に見えるだけ。妻の話では、朝からこういう状況らしい。そしてテレビはこの現象が地球規模で起こっていることを伝えている。テレビのある解説者は、猛烈なスピードで時代が経過していることを語っています。その言葉を裏付けるように、やがて恐竜の時代は終わり、始祖鳥が現われ、哺乳類が姿を見せ、やがて人類が誕生します。その頃、核兵器が消息を絶ったという話が挿入されます。男性は、この急速な時代の経過を目の当たりにして、全てを悟ります。ああそうか、そういうことなのか、と。人間が最期のときに走馬灯を見るように、この眼前の光景は、地球の見る走馬灯なのだ。これは、地球の記憶なのだ。家族と共にその地球の歴史を見守る男性の前に、一人の少年が現われ、やがて彼は大人に成長してゆきます。子どもは無邪気に父親に尋ねます。時代が経過しているっていうことは、もうすぐ未来が見えるの?・・・父は子と妻を抱き、地球の走馬灯の終わるとき、すなわち地球の最期のときを、三人で迎えるのでした・・・
この詩情と恐ろしいほど豊かな想像力。この作品を見たとき、このプログラムにはもうこれ以上の作品はないだろうな、と思いました。そして実際そうでした。この作品より前にこれ以上の作品はなかったし、この作品より後にもこれ以上の作品はありませんでした。ぼくにとっては、この『午後の恐竜』が今年の短編プログラムのベストです。ダントツで。とにかくすばらしかった。この作品と出会うために、ぼくはこれまでメディア芸術祭に通っていたんだと思う。
加藤隆『午後の恐竜』(星新一原作)。
いいとは聞いていたのですが、ここまでとは。アニメーション云々というよりは、原作がいい。これほどの想像力、天才的ですね。もちろん、映像もすばらしかったのですが、何よりも作品の構想と想像力に打ちのめされました。
NHKで放映されていたショートショートの一つなのですが、やはりNHKはアニメーションに関してすごいものを持ってくるなあ。いやまあそれはいいとして、『午後の恐竜』がどういう話なのかというと(以下ネタバレしまくり)・・・
ある男性が目を覚ますと、街に恐竜がいるわけです。でもその恐竜たちは手で触れることはできなくて、立体映像のように、ただ目に見えるだけ。妻の話では、朝からこういう状況らしい。そしてテレビはこの現象が地球規模で起こっていることを伝えている。テレビのある解説者は、猛烈なスピードで時代が経過していることを語っています。その言葉を裏付けるように、やがて恐竜の時代は終わり、始祖鳥が現われ、哺乳類が姿を見せ、やがて人類が誕生します。その頃、核兵器が消息を絶ったという話が挿入されます。男性は、この急速な時代の経過を目の当たりにして、全てを悟ります。ああそうか、そういうことなのか、と。人間が最期のときに走馬灯を見るように、この眼前の光景は、地球の見る走馬灯なのだ。これは、地球の記憶なのだ。家族と共にその地球の歴史を見守る男性の前に、一人の少年が現われ、やがて彼は大人に成長してゆきます。子どもは無邪気に父親に尋ねます。時代が経過しているっていうことは、もうすぐ未来が見えるの?・・・父は子と妻を抱き、地球の走馬灯の終わるとき、すなわち地球の最期のときを、三人で迎えるのでした・・・
この詩情と恐ろしいほど豊かな想像力。この作品を見たとき、このプログラムにはもうこれ以上の作品はないだろうな、と思いました。そして実際そうでした。この作品より前にこれ以上の作品はなかったし、この作品より後にもこれ以上の作品はありませんでした。ぼくにとっては、この『午後の恐竜』が今年の短編プログラムのベストです。ダントツで。とにかくすばらしかった。この作品と出会うために、ぼくはこれまでメディア芸術祭に通っていたんだと思う。
すばらしい作品に出会えてよかったですね。
最近このブログを発見して、毎日読んでいます。奇もてらいもない文章で書かれているところが僕ごのみ。平易な言葉で日常を伝えるお手本、といったところでしょうか。
もちろん、いろいろ紹介されている作家や映画も楽しませてもらっています。
当ブログへお越しいただきありがとうございます。
それにしても、お返事が遅くなって申し訳ありません!実はインフルエンザにかかってしまって、寝込んでおりました。masさんも風邪にはお気を付けください・・・
文章、お褒めいただいて恐縮です。自分も昔は難しい言葉を使ったりしていたのですが、近年は簡単な言葉を多用するようになりました。そのあたりに共感してくださったようで、素直にうれしいです。
それでは、これからもどうそよろしくお願いいたします。