うんたま森のキジムナー

突風

魚が高く売れるのは4月の入学式まで。
その後は海も穏やかになり、祝い事も
少なくなるので値は一気に暴落する。
入学祝の数日前から、少々無理をしても漁師は
魚を捕りに行く。この時期は旧暦の2月終わり頃
とかさなり、二月回りと呼ばれる突風が吹く
時期でもある。船にとってもっとも怖いのが
急激な天候の変化と船をひっくり返すほどの
突風だ。お客さんを乗せているわけではない
ので天候が急激にかわる直前まで
一癖も二癖もある潜り漁師達は海に潜っている。

木の葉のように揺れる船の上で、何度も
「こりゃ、ダメかな・・・」と思ったことが
あることか。ひっくり返りそうな船を港にむけて
走らせながら船の上で話される会話は
「どうする、近くの港に引き返すか?」
「後で車を取りに来るのが面倒だ」
「無事に帰れるかどうか賭けるか」
何をのんきな事を・・・・当然全員帰れる方に
賭けると言うので賭けは成立しない。

強い北風にあおられると大きな追い波に押され
平良港へと引っ張られるように船は走るが、
港近くの防波堤が難所となる。
港を目の前にしてまったく逆方向の狩俣漁港に
引き返すことも選択しの一つだが
乗っている漁師は船にしがみつきながら
「突っ切れ!」と笑顔さえ見せながら大声を
あげる。夜の海に出て20年近くになるが、
船を捨てて泳いで帰ったことが一度だけ
漂流、座礁は数知れず、
よく今日まで生き延びてきたものだ。


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