うまいもんだ。
観光に来てサンシンを覚える人が多いそうだ。
安いものだと1万円もしないが、
「値は音色」という言葉がある。
サンシンの先生たちは、
「サンシンを買うときは、出来る限り上等なものを
買いなさい。」と言う。
本土では床の間に刀を飾るが、沖縄ではサンシンを
飾るといわれるように、昔からサンシンを大切に
扱ってきた。
明治時代、ある旧家で、事情があって、代々
伝わるサンシンの名器を手放すことになった。
商談が成立し、客がサンシンを持ち帰ると
いうだんになったとき、主人は客にたずねた。
「ところで、そのサンシンをどういう風に
持ち帰るつもりか?」
「今日は大事なサンシンも一緒ですから、
奮発して、人力車を呼んで帰ります。」
「では、万が一、人力車が転倒し投げ出された
としたら、サンシンはどうしますか?」
「その時は、自分の身をまもらなくては
ならないので、サンシンは放り出すかも」
「なんということを!あなたがこのサンシンより
自分の命のほうが大事と考えているのなら、
このサンシンは譲れません。
せっかくですが、この話はなかったことに」と
断ったという話が伝わっている。
本土の考え方では、最初は安いもので練習して、
ある程度サンシンが弾けるように
なってから上等なものを買う。
という話をサンシンの先生にしたら
「サンシンは捨てることが出来ない品物だから、
上等なものをかいなさい。ひかないときは飾りなさい」
と強く言われた。
これが沖縄の考え方。
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