めずらしく店が開いていた。知り合いと言っても、
私にとっては、潜水士の大先輩で、海での生き方を教えて
くれた師匠でもある。手先が器用で沖縄では、
知る人ぞ知る有名人。
店を開けると客が来るので、あまり店をあけないという
変人でもある。
久しぶりに会っても、まるで昨日まで一緒にいたような、
ただやはり年月は過ぎて一回り小さくなったように感じた。
店の裏手に庭があるらしく(見たことはない)
アセロラがたくさんなったので
「お客さんにでも食べさせてやれ」ともらった。
どんな栽培方法をしているのか、こんなに美味しいアセロラは
どこにもない。
アセロラの苗は売られているが、一度、実をつければ
ほとんど枯れてしまう。アセロラには種があり乾燥させてから
土に埋めれば、アセロラがなるそうだ。
「家に帰ったら、さっそく土に植えてみるよ」と言うと、
「お前には無理!」と一言。
彼は私の性格をよく知っているし、「お前には無理」と
言われても腹は立たない。
でもその理由を聞く権利はあるはずだ。
「なんでやねん?」と聞くと種をまいてから
実がなるまで最低10年はかかるそうだ。
「お前のことだから、土にまいた場所さえ忘れるだろう。」
確かに、その通りだ。
彼はサバイバー!喉が渇いたなぁと言えば、原生林の中に
ちょこっと入ってシークワーサーを採ってきてくれる。
彼の話をすれば、ネタはつきない。
海の生き方を教えてくれたといったが、島も見えない
大海原で船の上で二人っきり、
「もしさぁ、今、船が壊れて漂流してお腹が減ったら、
俺を食べるか?」と聞いたことがある。
彼は「うん」と一言。それ以来、二人っきりで海には
出ていない。アセロラを食べる彼の口が血の色に
見えてしまうのだ。
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ジョン
Miho
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