かなりの資産家で、仕事などしなくても遊んで暮らしていける
くらいの人だったが毎日、作業服を着て汗まみれに
なりながら働いていた。
その人には誰もがうらやむほどの美しい奥さんがいた。
夫婦ともどもよくしてもらった。
当時奥さんはまだ若く20代後半。
私が遊びに行くと神戸や東京の話をひつこく聞いてきた。
何不自由なく生活をしているのに、都会に強いあこがれを
持っていた。
当時の島の本屋には注文しなければ届かない女性の
ファション雑誌が家には山のように積まれていた。
「ウィンドウショッピングがしてみたい。」
「芸能人を生で見てみたい。」
「どうして大きな街からこんな小さな島にやってきたのか、
理解ができない。」とまで言われた。
やがて民放放送が放映されるようになり、島でも通販で
服が買えるようになり着て行く場所などないような
ドレスを買い始めるようになった。
旦那さんは「好きにさせとけばいいさぁ」と笑っていたが、
ある日、子供を置いて家出してしまった。
私が都会の話をしたのが悪かったのか、民放が放送されたのが
原因なのか、それ以来、奥さんの姿を見ることはなかった。
今でも旦那さんのほうとは付き合いがある。
10年ほど前に「戻りたい」と何度も連絡があったという
話を聞いた。風の噂では、沖縄本島の場末のスナックで
見かけたという。
テレビや雑誌などなければ、それほどあこがれなかっただろう。
何不自由なく恵まれ過ぎているほどの生活をしていたのに、
気付いたときには遅かったという話・・・・
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