海で穢れを祓う。これにはこんな言い伝えがある。
昔々あるところに、村一番の美しい娘がいた。
その娘の元に、夜な夜な忍び込んでくる美しい男が一人。
その男は住んでいるところも、名前さえもいわない。
しかし娘は、その男のあまりの美しさに夢中になり、恋におちていく。
やがて娘はその男の子供を身籠った。
それを知った両親は、娘に相手のことを問いただす。
「子供までつくっておきながら、名前も家も明かさないとは!」
不審に思った両親は、近所の物知りオバァに相談に行くと
物知りオバァは「今夜現れたら、気づかれないように、着物の襟足に糸を
通した針を刺しておきなさい。」と、男の正体を見破るための策を授けた。
翌日、娘がその糸をたどっていくと、大きなアカマター(大蛇)が
仲間と集まっていた。人間の娘との間に子供ができたことを
自慢げに話すアカマター。
そのとき仲間の一人がこう言った。
「でも、その女が海に入ると、お前の子供は外に流されちまうんだ。
海の水や砂は穢れをとるっていうからな。」
これを聞いた娘は、すぐに海に向かった。海水に浸かって身を清めると、
アカマターの子供は海に流れ出、はるか遠くのニライカナイに流されて行った。
これに似た昔話はたくさんある。
潮干狩りで海に浸かることで穢れを落とすと昔から伝えられている。