うんたま森のキジムナー

貯金

夕方、漁協の前を散歩していると、漁師
連中が車座になって話し込んでいた。
どうせいつものごとく博打か酒飲みの
相談だろうと思えば、何やらいつもと
様子が違う。「大漁してるか?」と声を
かけると「チョットチョット」と声を
ひそめるように「漁協も危ないらしいぞ」と
言う話。今に限ったことではないし、
いつでも漁協は危ない危ないといわれている。

日本全国、ほとんどの漁協が赤字経営で、東北のある
漁協では倒産したところもあるそうだ。原因はどこも
不良債権で貸し付けた金の回収がおぼつかないのが
現状だ。「で、危ないと言う話はどこから出てるの?」
と聞けば、金を下ろしに行ったら「少し待ってくれ」
と言われたそうだ。どうせ朝早くからお金を下ろし
に行ったのだろう。
漁協には大きな金庫があるが、現金などは入っていない。
でも漁師の中には、自分達の水揚げがそっくりそのまま
漁協の金庫に入っているものだと思っている人もいる。
それどころか組合員の貯金や金はそっくりそのまま
金庫に入っていると思っている人さえいるのだ。
銀行でさえ、預金者すべての現金を置いてはいないと
説明しても「そんなバカな話があるか」と信じて
もらえなかったことがある。

宮古の漁協も赤字経営であることはわかるが、
噂話から「取り付け騒ぎ」が起こらないとも限らない。
と心配する前に「通帳にそれなりの残高があるのか?」
と聞くと返事をする奴が一人もいない。水揚げが通帳に
振り込まれれば即日下ろしに行くのが漁師の生活。
貯金とは無縁の生活!危ないのは自分たちの懐だ。

↑ブーゲンビリア。小さな白い花を咲かせます。

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