おはなしきっき堂

引越ししてきました。
お話を中心にのせてます。

ほくろクラブ株式会社4≪初仕事!≫

2006年11月03日 | ほくろクラブ
翌日、僕達は休み時間に引き続き相談。

ほくろクラブ株式会社

社長・・・山内 透
専務・・・水上 真之介
課長・・・天童 直太
平社員・・・内田 勇気

とノートに書き込む。

そして、放課後赤城先生に見せに行く事になった。

職員室に入り赤城先生のところに行くと先客がいた。
同じクラスの前田さんだ。
なんだかうつむいて泣いている。
赤城先生が僕らの方を向いた。

「よっ!ほくらクラブ!何のようだ?」と。

僕らは役職が決まったことを赤城先生に告げた。
赤城先生はノートを見て
「すごいな~!偉い人ばかりだ。内田一人が平社員か!ワッハッハ!」
と大きな声で笑った。
僕はボリボリと頭をかいた。

そのあと赤城先生は急に笑うのをやめて真剣な顔で僕らに向かって話し出した。
「よし!ほくらクラブに最初の仕事の依頼だ。実はこの前田さんの靴が片方なくなって彼女は帰れなくて困っている。一緒に探すのを手伝ってほしい」

僕らはいっせいに前田さんの方を見た。
僕らの学校の中では上履きを履いている。
家からはいてきた靴は靴箱の中に入れているはずなのになんでなくなったんだろう。

「よし!そうしたら皆で手分けして探そうぜ!」テンちゃんの掛け声で僕らは運動場チームと教室チームに分かれた。
僕とみずっちは運動場チーム。
やまさんとテンちゃんは教室チーム。
どちらも広いから大変だ!
僕とみずっちはしげみの中とか溝の中とかを一生懸命に探した。
今はまだ入れないがプールの中も柵によじ登ってみてみた。

でも、ない・・・。
溝の中から誰かの35点のテストが出てきたりしたけど・・・やっぱり靴はなかった。

日も暮れてきた。
ちょっと疲れて木の下で休んでいると、テンちゃんとやまさんが駆け寄ってきた。

「見つかった?」みずっちが叫んだ。
「だめだよ~!見つかんない!」やまさんとテンちゃんが同時に叫ぶ。

空も暗くなってきたし帰らないとな~と僕は空を見上げた。




「あった!」

木の枝に靴が引っ掛かっていた。

僕らはジャンプしてみたりしたが当たり前だけど届かない。
やまさんが「揺らしてみようぜ!」と言ったので皆で思いっきり木をジャンプしてけってみた。
いろんな葉っぱや屑が落ちてきて・・・そして靴も落ちてきた。

「やっほ~~~!」と喜んで靴を持って職員室に走る。
職員室に入ろうとした時に廊下のすみに一人の女の子が見えた。
やっぱり同じクラスの佐藤さんだ。
僕は今日のことを「あっ!」と言う感じで思い出した。
前田さんは内気でクラスになじめない。
内気というより話したり行動したりと言うのがどちらかと言うと苦手なほうだ。
そんな前田さんのことでクラスの女子は班分けなどになるといつももめる。
決して女の子たちは前田さんを仲間はずれにしているのではない。
「こっちにおいでよ」と誘っている。
でも、前田さんは動かないままだ。
自分の意思でどこかに入ろうとはしない。女の子たちが話し合って決めるのをただ待っている。
今日は休み時間にいつもポツンといる前田さんを佐藤さんが
「一緒に外で遊ぼうよ」と誘っていた。
前田さんが何も言わないので
「ねっ!皆で外で遊ぶと楽しいよ」
と佐藤さんは一生懸命誘った。
その時珍しく前田さんが大きな声で言った。
「ほっといてよ!」と。

佐藤さんの顔が白くなって真っ赤になるのを僕は見た。
そして何も言わず外に駆け出していった。

だから佐藤さんが前田さんの靴を隠したなんて思わないけど・・・。
僕と佐藤さんの目があった。
佐藤さんはパッと後ろを向いて走り去ってしまった。

職員室に入ると赤城先生と前田さんが待っていた。
僕らが靴を差し出すと
「お~~!さすが!ほくろクラブだな。どこにあった?」と。
僕らは木の上だとつげた。
赤城先生は何も言わずちょっと難しい顔した。
前田さんが小さい声で
「ありがとう」と言った。
僕は靴を渡す時に小声で
「もっとクラスの女子と仲良くしろよな」と前田さんにだけ聞こえるようにつぶやいた。
前田さんは小さくうなずいたように見えた。

暗くなってきたので皆急いで家に帰った。
僕のうちのお母さんとやまさんちのお母さんは帰りが遅いから大丈夫だけどあとの2人のお母さんは心配するだろう。
帰る前に赤城先生が僕らのノートにハンコを押してくれた。
これが20個たまるとご褒美を出してくれると言った。
僕らは一気に燃えてきた!

お母さんが帰ってくると僕の姿を見てびっくりした。
僕は自分でも気がつかなかったけど体中木から落ちてきたゴミだらけだった。
ぷりぷり怒りながらお母さんは掃除機をかけていた。

お父さんと一緒にお風呂に入った。
今日の話をすると
「女の子は複雑だな~」とお父さんが言った。
そしてさらに「お母さんも一応女の子だからお父さんは大変なんだ」とも言った。

・・・そうなのか・・・女の子は複雑なのか。
お風呂を出るとお母さんが僕の脱いだ服を見てまた怒っていた。
「こんな中まで葉っぱが入っている」

確かに複雑だな~(#´ー´)旦 フウゥゥゥ・・・

コメント
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