おはなしきっき堂

引越ししてきました。
お話を中心にのせてます。

今日一日

2012年03月11日 | 雑記
今日は、朝からほとんどテレビを見てない。
ただ、今からの時間はテレビ好きの夫が居間に戻ってくるので見るだろうけど。
あの日を見てみぬふりをしようとしていたのではなく、忙しかったからだ。
朝から、舅のパソコンを見に行く。
また、いろいろとやってくれていた。
解決できない部分もあり持越しとなる。
姑といろいろとしゃべり、お昼をご馳走になって帰って来た。

帰ってきてからは、静かな場所で本を読んでいる。
やはり、単に忙しかったというだけでなく、自分でも気がつかないがテレビを見ないようにしているようだ。

3月というのはいろいろと大変で、今ここで私が調子を崩す事は出来ない。
しかし、被災地から遠い関西にいる私でさえ、このような思いにとらわれるという事は、きっと被災地にいらっしゃる人たちは、1年たった今日という日をどのように迎えられている事だろうと思うと、胸が苦しくなる。

昨年の今頃、今は家にいる専業主婦のためテレビに釘付けになりずっと見続けた。
そのあと、17年前の私自身があった阪神大震災の記憶がよみがえった。
夜はパジャマを着て寝れなくなり、ずっと服を着たままねた。
いや、寝たと言うり横になっていただけ。
久しぶりに夜中に何度も目が覚め、そこから眠れない。
逃げないと・・・逃げないと・・・と思ってしまった。
暗闇の中電気のつかなかったことや、家具が倒れて前に進めなかったことを思い出す。
もう16歳になる息子を抱えて(阪神大震災の当時は、生後半年)どうやって逃げようとばかり考えた。
関西にいる私がだ。
息子の部屋を見回り、夫の寝ているところも確かめる。

その後、口の中で超特大の口内炎が出来、ほとんど物を食べれなくなった。
何か力になれないだろうかという焦りも出た。
しかし、このとき我が家自体も大変な事があり、何も出来ない自分に嫌気もさす。
この何千倍いや何万倍の苦しい思いを過ごしている人がいるのに私がこんなにのん気に過ごしていていいんだろうか・・・などなど。

その時、何か出来ないだろうかと祈るような思いで描いたのがこの絵。
前を向いて歩きましょうという思い。




この絵は、のちに私の転機になる。
1年でいろいろな勘を取り戻し、この絵より技術的にはうまくなった。
道具も揃ってきたせいもある。
何しろ筆は3本ぐらいしかなかったから、線なんかつぶれているところもある。

しかし、何も無い状態でいろいろな思いを込めて描いたこの絵は、私の出発点である。
このときから、いろいろと動き出した。

この絵は、1番お世話になった人にもらっていただいた。
元気が届きますように。

ついでにこの前アップしなかった桜の絵を。



一緒にまた春を迎えましょう。

忘れてはいけないし、振り向く事だって必要。
でも、前を向いて歩いていってください。
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ほくろクラブ株式会社23≪宝物が出来るまで≫

2012年03月04日 | ほくろクラブ
3学期が始まった。
だけど、なんだか落ち着かない日々だ。

冬休みの間に中学校の制服の採寸をした。
僕らのところは、公民館で何人かでサイズを集まってはかってもらった。
皆、ダボダボのサイズで作るようで(お母さんがあとで、すぐに大きくなるからと言っていた)なんだか恥ずかしいような、うれしいような。
僕とテンちゃんは近くなので一緒に測ってもらった。
お互いに制服を着たときに
「格好いいぜー!」と言って褒めあった。

もう、制服は届いている。
これを見ると本当にもう少しで中学生なんだと思う。
勉強ついていけるかなって。

3学期に入ってもその話ばかりになった。
やっぱり落ち着かない。

そんな中「卒業記念」を作る事になった。
僕らが製作して、学校にプレゼントする。
いろいろ作るものがあり、班を作って受け持ちを決めることになった。

僕らは4人ですぐに集まった。
ボスと坂崎君も入ってきた。
僕らが選んだのは、ベンチ作成なんだが・・・ボスは女の子だけど大丈夫かなと思ったが、よく考えたらピアノをやっている坂崎君の方が心配になった。
ボスならなんとなく力仕事でも大丈夫そうだ。

赤城先生が近づいてきた。
「星野君も入れてやってくれ」と。

坂崎君がさわやかに
「はい、わかりました」と言うとボスがうっとりと見とれた。
ボス・・・頑張っているよな。
どうやら、坂崎君と同じ中学校を受験するためにピアノと勉強を必死で頑張ったらしい。
いい結果が出るといいよね。

引越ししてしまうやまさん以外は皆公立の中学校に行く。
ちょっとボスの怒鳴り声がなくなるのも寂しいような気がするが、近くに住んでいるんだからきっと会えるだろう。

「星野君か・・・」横でみずっちが呟いた。
なんだろう。

星野君はとても大人しい子で、僕は6年生になってはじめて一緒のクラスになった。
あまりしゃべった事はない。
勉強は、どうやらあまり出来ないようだけど、僕だってみずっちだって一緒のような感じだ。
いつも一人でいて、なかなか皆の仲間に入れず、赤城先生が班分けの時は、彼を割り振っている。

この日は、僕ら4人とボスが一緒に帰った。
忙しい坂崎君は学校から直接稽古事に行った。
その時、みずっちが

「僕さ、星野君と一緒のクラスになったんだけど、すごく星野君不器用なんだ。入れても役に立たないよ」と。

「何言っているの!あんただって相当な不器用じゃない!」

バコン!みずっちの頭にボスの鉄拳がはいった。

ボス・・・坂崎君がいる時と全然違うし。

「別にいいと思うよ。道具を持ってきたり、後でペンキを塗ったりしてもらおう」
さすがテンちゃん。
いい事言う!

僕らはそのまま笑ってわかれた。

ところが・・・星野君は僕らの想像をはるかに超えていた事が翌日にわかった。

ベンチ作成は特別講師としてキュンのおじさんが来てくれた。
僕らが先生に頼んだのだ。
他のところもまわって指導をしてくれる。

皆、自分の役割を一生懸命にこなしていた。
ところが、星野君はずっと立ったままだった。
やまさんが、
「星野君、一緒に木材を運ぼう」
と言うとやっと動く。
しかし、持っていたものを落としたりとなんだか散々だった。
皆より小柄で力が弱いせいもあるかもしれない。

皆、それぞれ自分の役目を考えて動いている中、星野君の動きだけがとまっていた。
みずっちがとうとう切れた。

「星野君、さっさと動けよ!」

すると星野君の表情は凍ったようになった。

「ぼ・・・僕はいつも『動くな!』って言われるから」

星野君の目から涙がポロポロとこぼれて落ちた。
少し離れていた坂崎君とボスが急いでやってきた。

「なんで、そんな風に言われるの?」
ボスが優しく聞いた。

「僕、すごく不器用なんだ。だから、僕が一緒にやるといつも完成しないんだ。だから、皆『動くな!』って言うんだ。何もしない方がいいんだ」
星野君は、しゃくりあげながら言った。

僕らは、うーんと唸ってしまった。

やまさんがのんびりと言った。
「それならさ、星野君は僕らの作成のことを書きとめてくれないか?記録って感じで」

「あー!それいいね!」と坂崎君がさわやかにいったので、またボスがうっとりとした。
テンちゃんや僕も大賛成だ。
切れたみずっちだけ少しふくれていたのだけど。

その日から、星野君は僕らがベンチを作る工程をノートに書きとめてくれた。
とても面白い漫画入りで。

みずっちが釘の代わりに自分の指を打ってしまったところなどお腹抱えて皆で笑った。
やがて、ベンチが完成した。
星野君の記録ノートも完成した。

僕らはそれを先生に提出した。
とても、その記録は面白くて先生は一部を印刷をして皆に渡してくれた。
僕らの宝物になった。
他の班も、自分たちもすればよかったという事になり、思い出しながら作っていたけど、星野君の記録がぴか一だった。

完成した日、班の皆で帰った。
この日は、いつも忙しい坂崎君も一緒でもちろん星野君も一緒だ。

少し公園で話をした。
星野君は漫画を描くのが得意らしく、いつも教室で一人でいる時は漫画を描いているそうだ。
僕らは、その漫画を見せてもらう約束をした。

「僕、こうやって誰かと帰るの初めてだ」と星野君が言った。

「星野君は、どこの中学に行くの?」と僕が聞くと
「皆と一緒の公立だよ」と言った。

「じゃあ、中学でも漫画見せてよね」とテンちゃんが言った。
「うん」

「僕らは別の中学だから、見れないな」と坂崎君が言うとボスが大人しくうなづいた。

「中学校が別々だからって、会えないわけじゃない」とみずっち。

「俺には、定期的に送って送ってくれよな」と倉敷に行ってしまうやまさんが言った。

「当たり前だよ。友達だもんな」と僕が言うと星野君がうなづいた。

その目は少し涙ぐんでいた。

「もっと早く、友達になっていたら星野君の漫画読めたのに」と僕が言うと
星野君はうれしそうに笑った。
でも、僕らにはまだまだ時間がある。
遅いって事はないのかもしれない。

その日、こっそりと体操服を洗濯機に入れるとお母さんの悲鳴が聞こえてきた。

「なんなの~~!このペンキ!」

そうそう・・・ベンチ完成したの嬉しくって乾いてないのに座っちゃんだ・・・。

「大事に置いておこうと思ったのに!」とお母さん。
いやいや、そのペンキが思い出なんだよと、僕は心の中で思った。
コメント (2)
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週末日記

2012年03月03日 | きっき堂【裏メイキング】
相変わらず肩が痛い一週間だった。
最後には、顔が腫れるほど疲れが出るし。

印刷会社に出したことで、ほっとしたらしい。
とりあえず目標が出来て気が抜けたって事か。
今日は、片づけで一日がつぶれたので、この時間に更新。

印刷会社から、あがって帰って来たのは予想よりよく、予想より悪い。
つまり原画と違うという事だ。

透明水彩の色が微妙なのだと思う。
肉眼で見る透明度と、スキャナーで撮った透明度がかなり違う。

だけど、「サンプル」のつもりで作った、筆のグラデーションを生かしたのは成功した。
意外といい感じ。
もう1作すでに描いているので、これは3月の中旬以降にもう少しデザインを加えて印刷に出そうと思っている。

自分でスキャンして印刷に出すのは、なかなか難しい。
詳しくはかかないが若干『暗く』なるそうだ(印刷会社の注意事項)
今の現時点での家での機械の環境では、こうやって出すことが精一杯だ。

次回の改善への道が決まった。
「はがき」として作るとしたらというレイアウト(今回は、考えずに『絵』として作ったので)の面でも。

ただ、とりあえず、置いてもらう事にした。
原画も一緒に送り展示もしてもらおうと思う。
原画は自分でもなかなかいいと思っている。

決して弱音を吐いているのではない。
むしろ、自分でこうやって進み続けていることが、無性にうれしい。

今回のポストカードも100円で販売。
うち20円が盲導犬の募金に。

実は、制作費が今回、46枚で3000円ほどかかった。
(何枚か予備を入れてくれているのでこんな中途半端な枚数)
それに高陵モーターズドックさんへ送る送料をプラスしたら3500円ほどになる。
利益なし。
ただ、『原画』が残る。
ここが重要なんだ。
作品をある程度残しておきたいと思っている。
何故、ポストカードを作ろうかと思ったのは、ここに原因がある。

もっと枚数を増やせばいいのだろうが、あまって無駄になっても仕方ないので、ギリギリのところの枚数で印刷に出した。
前回は初めての印刷という事でかなりの割引があったが、枚数的に作りすぎた。
結局は一緒かと。
今回のは一部は季節が関係ないのを作ったので、ある程度の期間を置いてもらえる。
新しい試みだ。

こういったメイキング+問題点などをきっき堂の方に本当は書きたかったのだが、あちらは最近、ブログの感じが違ってきて書けない。
前ブログを引きずっていたのも非常に気になっていた。
最初に懸念していた事がやはり起こった。
考えに考えて、少しずつ修正していった。

今は完全に「猫ブログ」だ。
とてもいい感じになったと自分では思っている。
それと午前中にあの4コマを描いているのだけど、描いた後は少し気が抜けるのとその後、スキャンして若干の修正を加えていると完全にブログを書くのが億劫になっている。

こちらを用意しておいて良かったと思う。
いいスタイルだと思う。

きっき堂の方は、楽しく読んでもらえればと思う。
元々、自分の活動を楽しく書こうと思っていたと、外向きのブログにしたかったのでいい形になってきた。
息子や夫や息子の友達が読んでも大丈夫なように。

4コマで猫を通じて日常を描くことで、離れている友達にも元気だとメッセージが送れる。

こちらはあくまでエッセイや雑文のつもりとして書いている。
時折、こういった長文を載せて、興味のある人は読んでという意味でリンクはさせているが、アクセス数を見ても伸びてないので、きっき堂にきてものぞく人はあまりいないだろう。

もちろん、ショート・ショートや書きかけのものも完成させるつもりだけど、1週間の締めくくりを書きたいときもあるので丁度良かった。

明日は、今度こそ本当に「ほくろクラブ」の続きを。

多分、用事は発生しないと思う。
お楽しみに。
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