「アーカイブス 中国残留孤児・残留婦人の証言」ゲストブック&ブログ&メッセージ

左下のブックマークをクリックするとホームページ「アーカイブス 中国残留孤児・残留婦人の証言」にアクセスできます。

満州建国大学の卒業生 Mさんの奥様が逝かれる

2018年01月14日 10時21分31秒 | 取材の周辺

 今日は、いつにも増して富士山がくっきりすっきりと綺麗。早朝、Mさんの訃報が届く。昨日午後、お亡くなりになられたと。Mさんの事、Mさんのご主人様の事など、いろいろ思いながら、眩しい朝日の中でグズグズしている。

 リタイア前、ストレスの多い職場で、私はMさんの慈悲深い無言の笑顔にどれだけ救われたか知れない。毎年、香りのよいテイカカズラを数枝、持ってきてくださっていたのがMさんだったと、リタイアしてから知る。仕事上の長いお付き合いがあったにもかかわらず、奥様と個人的にお話しするようになったのは、リタイアしてからだった。夫には幾人かの熱心なファンがおり、個人だったりグループだったり、電話や、自宅に訪ねてくる方も多くいらした。リタイアして何のお役にも立っていないのに、玄関先に白菜や大根を置いて行ってくださる方が今も散見される。夫も慕ってくださる方との談笑を楽しみにしていて、相談に応じていた。Mさんはその中のおひとりで、彼女のグループは毎年薔薇の季節にいらして、共にゆっくりとお茶とおしゃべりを楽しんでいた。昨年5月、初めて、ご主人様がある新聞社の論説副主幹だったこと、満州建国大学の卒業生だったこと(奥様が私の本箱の『五色の虹』を発見したのだった。)を知った。インタビューをお願いしたいと思ったが、時すでに遅しでご主人様は96歳になられていて健康状態その他にも不安を抱えていらっしゃる状況だった。この時、奥様が先に逝かれるとは、想像もできなかった。暮れに2,3度相談のお電話をいただき、ずっと気にかかっていた。

 ご本人の希望通りご自宅で最期を迎えられた。いつも穏やかな優しい微笑みをたたえ、クリスチャンらしい人生を全うされた。社会問題などの話題が出ると、不思議に意気投合した。私の好きな紅茶、レディーグレイをとても気に入ってくださっていらした。

 ご冥福をお祈りいたします。


(読者のご指摘により、編集副主幹は論説副主幹に変更いたしました。)