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ピアノ仲間の先輩に「古戦場のピアニスト」と
呼ばれている方がいます。
「戦場のピアニスト」じゃないですよ。
「古戦場のピアニスト」です。
彼女はある有名な古戦場ある場所に
お住まいです。昔、古戦場だったところも
今は閑静な住宅地となっていました。
「今は普通の住宅地。ただ地名にその面影が
残っているよね。この地区にある”皿池”という
地名、もともとは”皿”じゃなかったそうだよ。
”皿”という字によく似た、ある文字だった。
戦国時代、ここで激しい戦闘があったらしい。」
「この家の地下深くに誰か戦闘の犠牲者が
埋まっているかもしれないね。
でも、私のピアノを聴いて心安らかに
成仏してね、と思って練習しているよ。」
「いや、古戦場のピアニストさんの
カッコいい英雄ポロネーズ聞いたら、
ここに静かに眠っている武将さんは、
ああ、蘇って、もう一度戦場で
戦ってみたい!と思うかもね。」
「でも古戦場なんて、どこにだってあるよね。
戦国時代なんて、日本中で戦いがあった
じゃない?みんな知らないだけだよ。
言ってみれば、私も、あなたも、みんなも
古戦場のピアニストなんだよね。」
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確かにそう言われてみると、そうかも。
でも、「古戦場のピアニスト」さんの
家の近くにあるホールに行く道の途中、
何かちょっと怖い場所がありました。
「そう、そこなんだよ!古戦場激戦地!」
他にも通るとちょっと怖い感じの道って
あります。これ、考えすぎですか。
古戦場跡にホールが建っていることも
ありました。あるコンサートに出演した時、
出演前に主催者さんの挨拶がありました。
「その昔、ここで大規模な戦いがありました。
ホールは最大の激戦地跡に建っています。
今日はお彼岸です。今日のコンサート、
少しだけ、戦いの犠牲者を供養する気持ちを
入れて演奏していただけると有難いです。」
その会場、楽屋には私一人のハズなのに
誰かがいるみたい。楽屋のピアノで
本番前に練習していると、誰かが
聞いているような気配があったのです。
気のせいです。古戦場、気にしすぎですね。
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コンサートが始まりました。
会場は満席。本番はあっという間でした。
とても暖かい気持ちで聞いて下さる
お客様の姿を感じて演奏できました。
もしかすると、戦いの犠牲者の方々にも
聞いていただけたのでしょうか。
私も「古戦場のピアニスト」ですか?
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