安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

お母さんのかんじょう書き

2010年01月05日 | 月刊ブログ
 新年あけましておめでとうございます。今年も心晴れやかですばらしい1年となりますように・・・。
 今月の花は、「千両」です。お正月には名前も縁起がいいのでよく生けられます。実を付けたものは、繁栄を表すということで、新しい年が経済的にも安定し心豊かに過ごすことができるようにと用いられています。光沢のある緑の葉っぱの上にかわいらしい赤い実(黄色もあるらしい)が上向きについて、いかにも、明るい活力を感じます。
 昨年から今年に掛けて、私や夫の両親の体調が悪くなって、随分心配をしました。そのことで、このお正月は、家族のあり方を改めて考えさせられました。
 相手を思いやる気持ちが強ければ強いほど、その気持ちが認められなかったり、それに見合う対応をしてくれなかった時に、どうしても「こんなにして上げているのに」「こんなに思っているのに」と思ってしまって、逆に相手を恨んだりグチが出てきたりします。そんな時、私は、「無償の愛」という言葉を思い出します。
 『次郎物語』の作者下村湖人の作品に『心窓去来』という随筆があります。その中の「お母さんのかんじょう書き」に次のような一節があります。
進くんという少年が、ある日お母さんに書き付けた紙片を机の上に置いて学校に行きました。その中には「市場にお使いに行きちん 10円、お母さんのあんまちん 10円、お庭のはきちん 10円、妹を教会につれて行きちん 10円、婦人会の時のおるすばんちん 10円、ごうけい50円」
 お母さんはにっこりして、進くんの机の上に50円を置いておきました。進くんは大喜びでその50円を貯金箱の中に入れました。その翌日、進くんがご飯を食べようとすると、テーブルの上に「お母さんのかんじょう書き」がありました。「高い熱が出てハシカにかかったときのかんびょう代 ただ、学校の本代ノート代えんぴつ代 みんなただ、まいにちのお弁当代 ただ、寒い日に着るオーバー代 ただ、進くんが生まれて今日までのおせわ代 みんなただ、ごうけいただ」
 進くんはこれを見た時、胸がいっぱいになって、大粒の涙がもう少しでこぼれそうになりました。そして、これからは、どんなにお手伝いしても、お金はいらないと思いました。世界でたった一人の大事なお母さん、大好きなお母さんのためには、自分のできることなら、何でもしてあげようと思ったからです。・・・
  このような内容です。きっと進くんは普段からお母さんのお手伝いをよくする親孝行な子供だったに違いありません。そして進くんはごく自然に、親孝行の見返りを、お母さんに、お金で求めたのです。お母さんは進くんのその求めに快く応じながら、さらに「見返りを求めない世界」「お金を越えた世界」のあることを、進くんに教えたのです。親が子を思う世界。まさにそれが「見返りを求めない世界」であり、「お金を越えた世界」です。
 この見返りを求めない心が「無償の愛」だと思います。そして「無償の愛」は相手をいつも自分のことのように見ていくところに生まれます。自分のことのように見ていくということから、「同体の慈悲」とも言うそうです。
 家族の中で、お互いにこの気持ちがあれば、幸せな家庭生活が営まれることでしょう。
 この気持ちが周りの人にも持てるようだと、本当に平和な社会になるのかもしれません。
 お正月の初詣で、私はおみくじを引きました。私の記憶するところでははじめての「大吉」でした。「大吉」はあんまりよくないという人もいますが、私はこの運に乗って、目標達成に向かってがんばろうと思います。
 新しい年は、やはり清々しくまた厳かな感じがします。新しい何かがはじまる予感がしてきました。



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