ぶろぐのおけいこ

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青春18きっぷ 2015夏 2日目(2) 紀州美人

2015-08-30 18:14:49 | PiTaPaより遠くへ

 魚屋さんのおいしそうな太刀魚を横目で見ながら、通りを東へ歩いていきます。古い町並み。突き当りは本願寺日高別院。この地でおよそ400年の歴史があるそうです。この寺院を中心に町が出来上がっていき、日高地方の商業の中心地となっていく。地元の人たちがこの寺院を「御坊所」「御坊様」と呼んだところから、やがて御坊という地名になったということです。ずっと、どういう経緯で御坊という名がついたんだろうと思っていましたので、疑問がひとつ解決しました。

 日高別院には幼稚園もある様子。けれども、正門も西側の門も閉じられていて、余所者には敷居の高さを感じました。それとも、何かと物騒な昨今のこと、園児を守るためなんでしょうか。400年の樹齢を誇る銀杏の木は正門の内側にありましたが、心なしか銀杏にしては葉が小さいように思えました。

 日高別院から少しだけ南に、酒屋さんがあります。岸野酒造本家といい、「紀州美人」というなんとなくそそられる銘柄のお酒を造っているそうな。事前にお店の写真を見ましたが、古さがにじみ出ていて、きっとうまい酒に違いないという想像力を掻き立てます。こぎれいなとか、小ざっぱりしている店構えよりも、風情があるというものです。

 寺内町の古い町並みを通ってたどり着いたお店は、いかにも古い。店主が応対してくれましたが、酒蔵の屋根が落ちて、現在この酒造所では酒は造っていない、よそで造ってもらっているという話でした。店先のお酒の種類も多くなく、細々とやっていますという雰囲気です。造れないのは酒蔵の破損の問題なのだろうか、後継者の問題なのだろうか。残念ながらそういう疑問を口にすることはできませんでした。そこで、「飲み手として、いつ買いにくるのがベストなのか」と聞くと、回答はすっきりしています。「新酒を楽しみたいなら、11月~1月。落ち着いた酒が飲みたいなら、瓶詰から5ヶ月くらいまで。」ということでした。店主には申し訳なかったですが、暑い中、一升瓶を下げてウロウロする気にもなれず、お話しだけ聞いて退散しました。そのうち、冬場にクルマで買いに来ようと思っています。

 そもそも紀州美人って誰のことなのだろう。ひとつの可能性は宮子姫伝説です。藤原不比等の養女、さらに文武天皇の后となり、のちの聖武天皇を生んだ宮子は、御坊あたりの海士の娘だったという話です。彼女は黒髪が美しく、絶世の美女であった。これが紀州美人というネーミングのルーツではないか。宮子は、娘が蛇になる、あの道成寺の建立にも関係したという話です。

 もうひとつの可能性は、塩屋王子神社です。熊野詣の参詣者の守護を祈願するために九十九王子と呼ばれる神社があります。そのうちの御坊市内のある塩屋王子は、美人王子としての評判が高いという話。祭神の大日孁貴神(天照大神)の神像が美人なのだそうです。

 では、「美人の里」と呼ばれる(御坊市観光協会のパンフレットにはそう書かれています)御坊の町を歩いていて美人に出会ったのか。平日のことでもあり、美人どころか子供の姿もほとんど見ることはありませんでした。暑く日差しの強いも夏の日、町で見かけるのは、私よりもずっと先輩と思える男女ばかりでした。

(つづく)

 


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