翌朝、一番電車に乗って鎌倉高校前に向かいました。
鎌倉から藤沢方面に向かう一番電車は5時48分発。ずいぶんと始発は遅い地域なんだと思いました。「のりおりくん」という1日乗車券を買ってホームで待っていたら、4両編成が3番ホームと4番ホームの間に到着。空いた列車の座席に座り機嫌よく出発を待っていたら、48分発はこれではないらしい。後から5番ホームに到着した2両編成が始発だという案内がありました。釣りに行くおじさん一人と、テツらしい白いシャツのお兄さん、その他数名を載せて出発。すでに朝日がまぶしい。
稲村ケ崎を過ぎて海が見えるようになると、渡り鳥が海で休むように、サーファーたちが海に浮かんでいるのが見える。彼らは始発電車より先に海に入っているわけです。
鎌倉高校前で降りたら、例の白いシャツのお兄さんも降りていました。どうやら踏切が目的地らしい。踏切まで行くと、先客は三脚を立てているお兄さんが一人。「おはようございます」とあいさつをします。近くにとめている車は八王子ナンバー。朝から走ってきたのですね。人が少なくて、「早起きは三文の徳」と思ったのはぬか喜び。まぶしい朝陽に照らされている海。東側の住宅地の影になって、電車はシルエットにしかならないことが、行って初めてわかりました。
どうしたものか考えている私の目に入ったものは、やはりここでも渡り鳥のように海に浮かんでいるサーファーたち。しかも、バイクや自転車(こちらでは見慣れないサーフボード用のキャリアがついている)に乗って、あちらこちらからやってきて、駅前の通路に停め、海へ走っていく。中には住宅地から板を抱えて海まで走っていく近所の住民らしき人もいます。やってくる人、一乗り(?)終えて帰っていく人。サーファーにはウエットスーツを着た人と、ラフな水着の人がいます。中には水着のまま、バイクで帰る人もいますよ、おいおい。バイクにペットボトルの水を積んでいて、帰る前に頭から真水をかぶる人もいる。年齢も、若い人から年配の人までさまざま。
海では、きれいな白い波がやってきて、サーファーたちの頭が波にしたがって上下している。素人には、頭の数の割には波乗りをしている人が少なく見えます。タイミングを見計らって、波に乗るには体力も必要で、たやすいことではないのだろうと思われました。
踏切を渡り、国道の横断歩道を渡って、海辺に下りてみました。国道の擁壁下には、多くの人たちがビーチサンダルを置いています。なるほど、波に流されないように海から一番遠いところに置くわけですね。中には、横断歩道を渡った脇にサンダルを置いて、海に入るもいる。
この地域の人たちにとって、波で遊ぶのは、日常生活のうちなのだろうと感じました。ちょうど、多くの人が朝、散歩に出かけるように、ジョギングをするように、ラジオ体操に行くように、この地域の人たちには生活の中に海がある。入場料やリフト券代や駐車料金が必要なわけでもなく、散歩代わりの波乗り。海のない地域で生活している者にとっては、とても新鮮な朝の風景でした。
駅まで戻りました。「男のつらいよ」の47作。この駅で寅と満男が話していたはず。本当はもう1か所、極楽寺のトンネルを見たかったのですが、時間切れ。ホテルまで戻ります。
鎌倉高校前~鎌倉間は片道260円。鎌倉から藤沢まで乗っても310円。安いと思うのは、早とちり。のんびり時間をかけて走るので、距離があるように思われますが、江ノ電全線(藤沢~鎌倉)の営業距離はたった10kmしかありません。そこを34分かけて走るので表定速度は18kmです。国道134号を走る自動車に抜かれていくのが江ノ電なのです。
(つづく)
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