「北の山・じろう」時事日記

内容は主に海外時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

クルスク戦線ウクライナ軍はスジャからほぼ撤退、1か月停戦の行方<ウクライナ紛争2025・03・13

2025-03-14 00:54:47 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

(1)1か月停戦の行方
BBC
米代表団がモスクワへ出発、ウクライナでの停戦を協議へ プーチン氏はクルスク州視察
https://www.bbc.com/japanese/articles/c8rkmgn5nvgo
ロイター
焦点:ウクライナ、停戦合意で達成した「当座の目標」 根本は未解決
Tom Balmforth, Max Hunder
2025年3月13日午後 12:10 GMT+98時間前更新
https://jp.reuters.com/world/ukraine/MGFN6DLOJZNBTA265KLJOE4UYE-2025-03-13/
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米代表団が、モスクワを訪問して交渉する予定です。
ジッダ会談の幹部が行くようです。ルビオ国務長官が参加するかは不明。
まず、ジッダ会談でウクライナが何を約束したかと言うと・・・
「軍事支援と情報共有の再開を条件に、1か月の停戦に応じる」
しかし、これではロシアは自分の条件を主張するだけでモスクワを訪問する米代表団は、何の成果も得られないと思います。

現在、優勢に戦争を進めているロシアが1か月停戦に応じるには、それなりの事前の約束が必要でしょう。もちろん、表には当座出てこないと思います。ロシア側の主張は、以前から明確です。それにどれだけアメリカが折り合うかでしょうね。それは米ロの事前の水面下の合意になります。
しかし、実際にはアメリカの代表団が実際にロシア側の代表団と交渉してロシア側の要望を明確に確認するところから始まると思います。それを大統領府に持ち帰ってトランプ政権側が検討して、どうするか?しないか?の話になるのではないかと思います。外交チャンネルが、やっと復活したばかりで双方にそれほどの信頼感はないと思いますし、突っ込んだ話はこれからでしょう。
これまでは米代表団がモスクワを訪問する理由すらありませんでした。理由が出来たので、やっと訪問の運びになりました。
話は、これからと言う段階のように思います。

そもそも、この戦争の始まりはロシアの安全保障の軍事力を行使しての確保です。
世間では、ウクライナの安全保障ばかりを言いますが、話は正反対です。
ロシアにウクライナ征服の意図などありません。目的は、安全保障の確保です。

これは2021年12月のアメリカに対するプーチン氏の最後通牒でもロシアの要求は明確に示されています。
そこでバイデンさんが非を認めて折り合えば、ロシアの軍事侵攻は回避できたと思います。
ロシアの立場は、その時と全く変化していません。
領土的な部分では交渉可能かもしれませんが、政治的な要求(ロシアの安全保障の確保)抜きでは合意が成立する見込みは、少ないと思います。

そこをトランプ政権がどう判断して、どう折り合うかの問題です。政治的な要求(ロシアの安全保障の確保)をアメリカが受け入れなければ、2021年12月のバイデンさんと同じであり、戦争続行になると思います。トランプ氏の手腕が問われるところです。

(2)クルスク戦線ウクライナ軍はスジャからほぼ撤退
航空万能論

2025.03.13(最新)
クルスク方面の状況は悲惨、ロシア軍はウクライナ軍を前後から挟み撃ち
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/the-situation-in-the-kursk-region-is-dire-with-russian-forces-pincering-ukrainian-forces-from-the-front-and-rear/
2025.03.13
ロシア軍がスジャを奪還、露大統領は安全確保のためスームィ侵攻を示唆
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-troops-recapture-suzha-russian-president-threatens-to-invade-sumy-to-ensure-security/

スジャの市街地は、昨日の段階でロシア軍が奪還しており、その西に隣接するザオレシェンカЗаолешенкаとゴンチャロフカGoncharovkaの市街地については、昨日の段階でほぼ戦闘せずウクライナ軍が撤退しているという情報がありましたが、戦況図はそのままです。逃げ遅れか殿部隊が散発的な戦闘をしているかもしれませんが、主力部隊は昨日のうちに撤退しているのではないか・と思います。

ロシア軍の進撃が余りにも急激でしたのでウクライナ軍に撤退命令が出ているのかと思いましたが、どうやらそうではなかったようです。
その前の話としてウクライナ軍は、クルスクから万単位の部隊を引き抜いて東部戦線の増援に送っていました。そのためクルスクに残っていたウクライナ軍は、1万人程度だったようです(ウクライナ側の情報)。ロシア側が5万人とされていますから大きな兵力差が生じていたようです。
そして、1月の後半だと思いますが、この段階でスームイ市からスジャСуджаへの補給が、かなり苦しくなっていたようです。
スジャСуджаから北のマラヤ・ロクニャMalaya Loknyaへの補給は先月後半から車両での輸送は不可能になり、人力に頼っていたようです。
つまり、ウクライナ軍は兵力差と補給の極端な悪化により戦闘能力を、ほぼ失っていたようです。それを見越してロシア軍が一気に全方向から攻撃をかけたので、防御不能になったウクライナ軍が潰走したというのが実情のようです。

もうウクライナ軍も防御を諦めて相当数(400人以上?)の兵士が捕虜になっているようです。
戦車、装甲車、大砲などの武器や装備を全部捨てての潰走ですから、クルスクのウクライナ軍は崩壊したというべきでしょう。
ロイターが、ロシア国防省の発表を速報していますから、スジャ周辺はロシア軍が奪還したと言う事のようです。
ロイター
『ロシア、クルスク州全域を近く奪還と表明 要衝スジャ奪回』
2025年3月13日午後 8:00 GMT+91時間前更新
https://jp.reuters.com/world/ukraine/HSD22535PJIU5AFODUT6FG65LQ-2025-03-13/

こんな調子ですから、アメリカの停戦話も簡単にはいかないだろうと思います。
そしてウクライナ側の乏しい交渉カードは、なくなりました。


※関連日記目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑨
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27