(1)ロシアとウクライナに見る改善・改革の有る無し
これは見ていると世間の噂と正反対であることが分かります。日本のマスコミなどで報道されているのは、ウクライナ軍は改善・改革のある優れた軍隊だとイメージしてしまいます。
ロシア軍は、愚かで間抜けで旧式で能力が劣るイメージがあります。
2022年は、そのようなイメージの通りでした。ロシア軍は何をやっているのか分からない様子が見えました。
実際は、どうか❓
2022年と2024年のロシア軍は、別物のように違います。
2022年から2023年の最初のころまでは、ロシア軍はバカな部分が見えました。
しかし2022年秋のハルキウ州大撤退の時を境にロシア軍には大きな変化が見られます。
その時、ロシアは特別軍事作戦の司令官にスロビキン将軍を抜擢しました。
スロビキン将軍が旗色の悪いロシア軍を立て直すためにまず、した事が防御を固めることでした。
1000km以上に及ぶ通称スロビキン・ラインと呼ばれる長大な防衛ラインの建設を命じました。これは突貫工事で約半年ほどで完成されます。
そして「南は守り北で攻める」という今もロシア軍がやっている大きな軍事行動の原則を打ち立てました。ロシア軍の戦力を考えると両方は無理だと判断したのでしょうね。
更には、2023年のウクライナ軍の反撃に対する対応も行います。
予想される進撃ルートのトクマクにこれまた分厚い防衛網を建設しました。
この途中でロシア軍内部に権力闘争があり、スロビキン将軍は特別軍事作戦の司令官の降格させられました。それでもこの方針は続けられました。
結局、スロビキン将軍の立てた防衛計画は正しく、2023年のウクライナ軍の反撃作戦はロシア軍が守り切りました。
ウクライナ軍の反撃作戦を守り切ったロシア軍は、その後優位に立ちます。
その流れが今も続いて、ロシア軍は優位を優勢に拡大し、戦場によっては勝勢を生み出しています。
その違いを生み出したのは、何か❓
2022年のロシア軍は、かなり大失敗した部分があります。
補給能力と兵力を超えた攻撃が、ウクライナ軍の大きな反撃を許しました。
この部分を反省して改善しています。
補給能力と兵力を考えて作戦計画を立てるようになりました。
またロシア軍の非効率を改善するために様々な努力をしたと思います。
それが明らかに見えるのが指揮命令系統の整理とスピードアップです。
現場から本部に何らかの意見や情報が上がって、それを参謀本部が全体に反映させるのが速くなりました。
そして特別軍事作戦の参謀本部に(おそらく)権限を集中させていると思います。ウクライナ戦線全体での作戦計画に整合性が見られます。
それまでロシア軍に見られた、各戦場でのバラバラな軍事行動が無くなりました。
全体の作戦計画の中で各方面軍が動いています。
それは進撃のスピード調整を見れば分かります。
大体、各方面軍が過不足なく進撃しています。
いわゆる面的な進撃を保っています。
例示はやや足りませんが、要はロシア軍は戦う中で大きく改善されたと言うことです。それは軍だけでなく国防省も軍需関連の生産など多岐にわたります。
西側のロシアに対する予想が外れまくりなのは、これが理由です。
ロシア全体の改善や改革を考慮していないからです。
一方でウクライナ軍や政府を見ていると昔の旧ソ連軍の非効率と官僚主義の権化のように見えます。
政府や参謀本部の無責任と無能力は、見て呆れるほどです。しかも、それを改善しようという気配はありません。
自分たちは全部正しく、現場が全部悪いことにしてしまします。結果が悪ければ、現場の指揮官や将軍の首を切るばかりです。
要は責任逃れして、その場しのぎばかり繰り返しています。
おまけにキエフ政府が一々作戦に口出しして、その作戦は間違いだらけです。
結果としてウクライナには、まともな将軍もいませんし参謀本部もありません。
ゼレンスキー(にわか)大将軍の間違った指揮のもと負け続けています。元々政治も軍事もド素人!ですから、当然そうなります。
こうして見てくると効率は悪いけれど徐々に改善・改革の効果が見られ、軍隊としての能力が向上しているのがロシア軍です。
その反対がウクライナ軍で段々劣化が進んでいます。
徐々にロシア軍優勢に傾きつつある全体の戦況が、それを証明しています。
見ていると情けない気がしますね。
口がいくら達者でも戦争には勝てません。
※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑥
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27