神戸大学メディア研ウェブログ

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【緊急特集】六甲祭を考える① なぜミスコン・ミスターコンだけの開催なのか

2020-10-17 01:01:06 | ニュース
 オンラインで開催する方針が決まっていた神戸大最大の学園祭「六甲祭」。運営する六甲祭実行委員会(実行委)は、2020年9月末、ニュースネット委員会の取材に対して「今年度の六甲祭はミスコンテストとミスターコンテストのみを実施し、それ以外のイベントは中止」と明らかにした。
 これを報じた9月30日のニュースネット委員会のツイートには、「なぜミスコンだけ残る?」、「時代遅れだ」など、学内・学外から多くの反響が寄せられた。
 どうして実行委員はミスコン・ミスターコンだけの開催としたのか。なぜミスコン・ミスターコンは批判されるのだろうか。コロナ禍にさらされる中、満40年を迎えた学祭「六甲祭」を読者と考える。<特集「六甲祭を考える」取材班>

※新しい情報が入り次第項目を追加します。
※編集部では、神戸大学関係者からさらに多様な意見を求めています。フォーム https://forms.gle/7LSVVZXWiTo41cCb8 からお寄せください。



(画像:9月30日の12時58分のニュースネットのツイッター初報。69件の引用リツイートがある。2020年10月12日21:30のスクリーンショット。)

<目次>
▼「今年はミスコンとミスターコンのみ」報じたツイートに批判集中
 ▽実行委は「断腸の思いでオンラインに」「2大目玉企画を行う」
 ▽ニュースネットへの引用リツイートコメントを分析すると
   実行委の判断への疑問や落胆、批判=33%
   神戸大学への批判や落胆=13%
   ミスコン・ミスターコンへの疑問=4%

▼六甲祭実行委からは公式コメント出ず
▼オンライン開催決定から、ミスコン・ミスターコンだけになった経緯
▼なぜミスコン・ミスターコンだけが実施されるのか
 ▽「ミスコン・ミスターコン」以外の企画提案に対し実行委は…

▼「学園祭は何をする場なのか」幅広い議論を


(画像:批判リツートが多い中で、議論の深まりを期待するコメントもあった。2020年10月3日のスクリーンショットから。一部画像を加工しています。)

▼「今年はミスコンとミスターコンのみ」報じたツイートに批判集中

 9月30日の昼12時58分のニュースネットのツイッター初報「六甲祭 ミスコン、ミスターコンのみの開催に」(@newsnet_kobe_u)には、リツイートが102件(うち69件がコメント付きの引用リツイート)、「いいね」が58件(いずれも10月12日21時30分現在)あった。
 これに対し2日後の10月2日10時11分に「それ、一番やらなくていいやつ」と引用リツイートした神戸大教員のツイート(@hamatgwa)はさらに反響が大きく、リツイートが1112件、「いいね」は5240件に達した(10月12日21時30分現在)。

▽実行委は「断腸の思いでオンラインに」「2大目玉企画を行う」

 ニュースネットのツイート初報は、ウェブログ記事へのリンクが貼ってある(https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/8971b4a9336dba132cad8416f7191a9a)。
 記事には、「開催する予定の企画はミスキャンパス神戸と神大ボーイズコンテストのみとなる」という結論とともに、「お笑いコンテストなどのその他の企画は運営の判断により、全て中止となり、部活・サークルなどが参加する展示企画も、運営上の都合により開催しない方針だ」とある。
 さらに、実行委員長の「現地(キャンパス)での六甲祭は断腸の思いで中止と判断させていただきました。しかし、まだ出来ることはあるのではないかと考え部員一同で熟考してきました」、「全国の学園祭実行委員会と連携をとり、大学側とも協議を重ね、最終的にオンライン開催という形になりました。(中略)ミスコン、ミスターコンという2大目玉企画を行います」というコメントも掲載されている。

▽ニュースネットへの引用リツイートコメントを分析すると

 ニュースネットのツイートへの「引用リツイート」のコメントを分析すると、実行委の判断への疑問や批判が約33%。神戸大への批判や落胆が13%を占め、大学の学園祭自体への意見、報道への注文と続いた。ミスコン・ミスターコンへの疑問や批判がベースにあるものがほとんどだった。SNSは批判コメントが目立つこともあるため、この割合が世論の割合と一致するわけではない。ただ、批判の声が多数寄せられているのは事実だ。

(1)ミスコン・ミスターコンだけを実施する六甲祭実行委員会の判断への疑問や落胆、批判=33%
「なんとか実施できる企画だけでもやりたいというのは分かりますが、なぜよりによって『ミスコン、ミスターコンのみ』なのでしょうかね」
「結局、長年六甲祭と称して続けてきた学生のお祭りは『ミスコン』がやりたかっただけのことと露呈した」
「え、それを残すんだ? 一番運営しやすかったんだろうけど、よりにも寄って」
「『部員一同で熟考してきました』 それがこれか?救いようがないアホやな。」
「このご時世に、攻めてるなあ(誉めてません)」
「それなら全部なしでもよかったのでは」
「それもやめろよ。」
「この時代にまだジェンダー系のイベントが優先的に維持されるとはねぇ…」
「そんなもの、まだやってんのか。 未だにねるとん紅鯨団引きずってるのか。カッコ悪い。」
「1番不要な出し物を開催していくStyle」
「それ、一番やらなくていいやつ」
「ある意味世相を逆撫でしている笑」
「うーん」
「行政のやること並に意味わからん」
「情けない…と肩を落とす。」
「コンテストだけやんのむしろ要らんくね」
「アホやな。 あんたら。」
「一番やらなくていいやつですよそれ。」
「それ1番やらなくていいヤツでは?」
「どうした…」
「化石かよ。 くそだせえ。」
「残るのがそれ??わぉ。」
「それやらんでええやろ。」


(2)神戸大学への批判や落胆=13%
「神戸大学大丈夫かぁ?」
「それ今一番いらんやつ。神戸大しっかりせえよ」
「この記事長男に見せて進路の参考にしてもらおう」
「母校がまだこんなことしてるの、悲しすぎる。令和やぞ」
「古い価値観をお持ちの大学なんですね」
「どこの大学かと思ったら…」
「偏差値そこそこ高い大学なのに馬鹿なんですね」
「笑えない だからいつまでたっても愛校心が持てない」
「このご時世に‥勉強出来ても世の中の事を知らない、の典型例だな。 こういう情報、進路指導に役立つわねえ」


(3)ミスコン・ミスターコンへの疑問=4%
「資本主義の臭いがするゾッ」
「大きな大学のミス(ター)コンはそりゃ広告代理店様が大切なスポンサーをお引き連れくださいますからね。これ、どこがお金出すんだろうね?その企業の態勢が問われるよね?」
「大学のミスコンの類は業者の息がかかっているらしいけど、さすがに学祭実質中止でミスコンの類だけを開催するってのはすごいなぁ。中止したら高い違約金を支払わされるから中止できないみたいな事情でもあるんだろうか…。」


(4)大学の学園祭自体への意見=3%
「私が大学生の時には学園祭といえば筑紫哲也とか本多勝一とかが呼ばれて、いっぱい人だかりができたりしたが、、今や大学なんか幼稚園と同じ、、」
「学園祭が丸ごと不要。」


(5)報道への注文=3%
「!?議論の盛り上がりを期待します。」
「これ、どういう経緯でこういう決断になったのかをちゃんと取材して、ミスコン系イベントにまつわる現代的な議論も踏まえた記事を書けば大学発の報道媒体として存在感が出せそうなのに。」


 一方で、ニュースネットのアカウント以上に反響があった神戸大教員のツイート(@hamatgwa)などには、「俺は見たいし楽しみにしている」、「人との接触がコントロール効きそうなもので残りそうなイベントといえばこれぐらいしか残らない気がする」など、実行委の決定を支持する意見も少数だがみられた。

※編集部では、神戸大学関係者からさらに多様な意見を求めています。フォーム https://forms.gle/7LSVVZXWiTo41cCb8 からお寄せください。


(画像:ニュースネット委員会 公式のツイートに寄せられたリツイート。一部画面を加工しています。)

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▼六甲祭実行委からは公式コメント出ず

 ニュースネット委員会は六甲祭実行委員会に取材を申し込んだが、10月13日夜現在、実行委は公式コメントを出していない。
 実行委関係者はミスコン、ミスターコンに限って開催する方針に変更はないとしている。

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▼オンライン開催決定から、ミスコン・ミスターコンだけになった経緯

 六甲祭実行委が、「今年の六甲祭はオンライン開催」、さらに「ミスコン・ミスターコンだけを実施」という判断に至った経緯を、実行委の公式ツイッターアカウント(@rokkosai)から時系列を追って見てみる。(関連アカウントからのリツイート含む。絵文字は省略。)

 ミスコンは4月17日、ミスターコンは5月7日からそれぞれ出場者エントリーを開始している。
 ミスコン企画の公式ツイッターアカウント「ミスキャンパス神戸(@MsCamKOBE)」は、5月22日に「六甲祭が中止になってもSNS等でグランプリを決定するまで企画は続けさせていただく予定です!また未定ではありますがファイナルステージの代わりとなるような場が設けられればと考えております 」とツイートしていた。

 学園祭では、サークル・部活やゼミなどの団体が校舎内での学術企画を出展したり、屋外で模擬店を出店したりする。
 出展・出店予定者向けには、6月、7月に1回ずつ「受け付け日」が8月中旬から下旬に延期されるという告知があっただけで、その後の経過説明はなかった。
 そして、8月10日に重要なお知らせというタイトルで、「オンライン開催の決定」、「出店受付・出展受付は全て中止」が告知された。同時に「ミスコンなどの企画は実施予定です」とツイートされている。
 その後、8月15日にミスコン、9月15日にミスターコンの出場者を発表。出店や出展を申し込もうという関係者には、その後公式ツイッターでの告知はない。
 実行委の公式ツイッターアカウントには、これ以降、ミスコンとミスターコン関連の告知ツイートだけが流れている(リツイート含む)。
 そして、9月30日にニュースネットが「六甲祭 ミスコン、ミスターコンのみの開催に」のツイートを流した。
 昨年ステージイベントを開催した団体の関係者も、この時点で「初めて(ミスコン、ミスターコンのみ開催という)事態を知った」と話している。

▽4月17日 20:06
「本日より出場者募集開始!」
本日より Ms. Campus KOBE 2020 出場者募集を開始しました!!

▽5月7日 19:30
「出場者募集 神大ボーイズコンテスト」
今年も、ミスターコン開催します
我こそはという神大男子も、自信をつけたいなぁという神大男子も、大歓迎です!

▽6月16日 20:44
「今年の六甲祭に出展、出店予定の団体の皆さまへ」
今年も出展、出店受付を以下の日程で行います!
模擬店出店受付、屋外出展受付、学舎内出展受付
8/17(月)〜8/18(火)
今後の状況により変更の可能性があります。

▽7月14日 20:34
「出展・出店受付の日時変更のお知らせ」
屋外出展受付・模擬店出店受付は8/24(月)、8/25(火)に

▽8月10日 16:26
「重要なお知らせ」
本年度の六甲祭は、昨今の状況を鑑み”オンライン開催”となりました! 残念ながら模擬店などはありませんが、ミスコン( @MsCamKOBE )などの企画は実施予定です。詳細は後日発表させていただきますので、お楽しみに!

▽8月10日 18:09
これに伴い、予定していた出店受付・出展受付は全て中止と致します。 予定を空けてくださっていた皆さま、大変申し訳ございません。

▽8月15日 20:00
ミスキャンパス神戸 ファイナリスト5人発表

▽9月15日 20:00
神大ボーイズコンテスト 出場者6人発表

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▼オンライン六甲祭 なぜミスコン・ミスターコンだけが実施されるのか

 実行委関係者によると、サークル・部活の出展や模擬店など他のイベントを全て中止した理由は、「オンラインで開催したときに(出展)できる団体とできない団体が出てきては不公平が生まれる」、「(オンライン出展可能な団体が)それぞれがやることで個々が目立ってしまい、六甲祭としてのまとまりが生まれない」と説明している。
 なお、ミスコンテスト「ミスキャンパス神戸」とミスターコンテスト「神大ボーイズコンテスト」は、これまでもネット上で投票を行なってきている。

▽「ミスコン・ミスターコン」以外の企画提案に対し実行委は…

 一方で、六甲祭で他の企画はできないのか、10月に入って模索する動きもあった。
毎年、企画出展をしている団体の関係者は、「ニュースネットの報道でミスコン、ミスターコン以外の六甲祭の企画が中止と知った。何か他に企画はできないか実行委に問い合わせた」という。
 この関係者によると、実行委は「(実行委内部で)今回の六甲祭は中止するという『決意』をした」、「大学に今後新たな企画書を提出するのが困難」の2点を理由として、新たに企画はできないと説明したという。
 ニュースネットの取材に、10月10日現在、実行委は今後新たな企画を追加することはないとしている。実行委幹部は、「大学への企画書提出締切が過ぎたので、制度上新企画は不可能だ」とその理由を説明する。

 大学への企画提出の締め切りはいつだったのか?
 学務部学生支援課に10月9日午後電話取材すると、「大学として企画書を締め切った事実はない」という。
「六甲祭」のブランドを使う場合は、大学への企画書提出を求めている。大学としては「六甲祭」は実行委が中心になって進めるイベントと考えていて、「六甲祭」の名を使って企画を行いたい場合、実行委を通じて大学に企画書を出せば開催可能としている。学生支援課の担当者は「六甲祭まで時間が迫っているため急ぐ必要はあるが、今からでも企画を行うことはできる」と話した。

 六甲祭に参加を予定していた団体の中には、六甲祭で実施予定だった企画を「六甲祭」の名を冠せず独自に行う動きもある。放送委員会は毎年六甲祭で主催している定番企画「King of Stage」を、六甲祭とは別に単独のイベントとして開催する。日程は本来六甲祭が予定されていた11月14日、15日でYouTube Liveで映像作品の上映や視聴者参加企画などを行う予定だ。

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▼「学園祭は何をする場なのか」幅広い議論を

 学内外からの反応の多くは、「オンライン開催はやむを得ないが、『ミスコン・ミスターコン』だけを実施することになったのはなぜか?」に集中している。
 実行委は、これまでの取材に、
1)熟考してきたが、最終的にオンライン開催という形になった。今回は模擬店やお笑いライブといった企画は実施出来ないが、ミスコン、ミスターコンという2大目玉企画を行う。(9月下旬)
2)大学への企画書提出締切が過ぎたので、制度上新企画は不可能。(10月上旬)
と答えているが、ミスコン、ミスターコンだけが残ることになったことについて、実行委内でどのような議論があったのか。そして、ステージや屋内企画の出店・出展を予定していた団体に、その過程をどう説明するのか。
 フランクに語り合う姿勢が求められるのではないだろうか。

 ニュースネット委員会は、毎年六甲祭に出展している団体の関係者に電話取材した。その団体では出展の際に学外の人に協力してもらう必要があり、例年早めに準備を行っているという。
 同関係者はコロナ禍の六甲祭への影響が気になり、7月ごろ、六甲祭の今後の予定などについて実行委に問い合わせていた。
 いくつか質問項目を設けていたが、「実行委内での開催か中止かの議論に実行委以外の学生の意見が反映される機会はあるのか」という問いには、返答がなかったという。同関係者は、「(毎年出店・出展している団体に何も説明してくれないのは)不誠実に感じた」と語っている。

 体育会、応援団総部、文化総部、放送委員会はじめ、サークルやゼミ、ボランティア団体、学術団体など多くの学生が、40年支えてきた学園祭「六甲祭」。
 音楽演奏会やゲーム、学術企画や討論会など多彩な企画が行われてきた。
 オンラインで実施と決まった時に、どのような企画を行うのか、せめて毎年参加している団体に意見を聞くことはできなかったのか?

 実行委と神戸大生、それに卒業生と教職員も巻き込んで、「学園祭とは何をする場なのか?」という議論が深まることが、コロナ禍の今求められているのではないか。

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【関連記事】
▽「緊急特集:六甲祭を考える① なぜミスコン・ミスターコンだけの開催なのか」
https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/8d0418a3ebc49428fe3788df9149a4fd
▽「緊急特集:六甲祭を考える② 1980年代から続くミスコンの歴史」https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/b9bd45a2380d3b19208dd03a7488a013
▽「緊急特集:六甲祭を考える③ ミスコン・ミスターコン自体への賛否」https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/fe7302b37428d5befef46b513be16e09
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[2020年10月14日 23:45 アップロード]

【緊急特集】六甲祭を考える② 1980年代から続くミスコンの歴史

2020-10-17 01:00:46 | ニュース
 1980年に複数の学園祭を統合して始まった「六甲祭」。ニュースネットなどの記事で歴史をたどると、1980年代、1990年代は、ほぼとぎれることなく「ミスコン」が行われていた。
 2002年にいったん外部からの抗議で途絶えたのちに、約10年後の2011年に六甲祭実行委の手で復活。実はこの時点でミスコンの是非についての意見が学内にあったと記事は伝えている。
 そして、2002年の「中止」と、2011年の「復活」の“最終決定権”は、ともに大学側が持っていたこともわかった。
<特集「六甲祭を考える」取材班>

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<目次>
▼1980年に始まった六甲祭
▼1980年代の六甲祭初期から続くミスコン
 ▽応援団総部の「ミス神大コン」から放送委の「ミス六甲祭アイドルコン」へ
 ▽2011年に六甲祭実行委の手でミスコン復活
 ▽中止、復活の“最終決定権”は大学側
《六甲祭でのミスコン開催年表》
《関連記事》


(写真:2011年ミスコン復活の初年度。「ミス・アンド・ミスターキャンパス」の終了後にリムジンの前に並ぶ参加者ら。11月12日・六甲台キャンパスで。一部画像を加工しています。撮影=ニュースネット 田中郁考)

▼1980年に始まった六甲祭
 神戸大の六甲台地区(六甲台・鶴甲両キャンパス)で行われる学内最大の学園祭「六甲祭」。1980年に始まり、去年が40回目だった。
 医学部医学科の「大倉山祭」、同保健学科の「名谷祭」、海事科学部の「深江祭」と並ぶ学園祭で、神戸大の学園祭のなかでは最大規模。

 それまで、経済・経営・法学部が「六甲台祭」を、理・農学部が「ハイツ祭」を行うなど、広い六甲台地区のキャンパスでばらばらに行われていた学園祭を統合し、 全学の“統一学園祭”にすることを目指してスタートした。
 当初は、ハイツキャンパスも六甲祭会場だったが、自然科学研究棟の建設で使用できなくなった。さらに教養部(現・鶴甲第1キャンパス)も会場になったことがあるが、次第に会場は六甲台第1キャンパスに集約された。
 1995年は、1月に阪神淡路大震災があり、神戸大生39人が亡くなるなど開催が危ぶまれたが、『Heartquake~復活の鼓動』をテーマに開催された。

▼1980年代の六甲祭初期から続くミスコン
 ニュースネット委員会の記事、その前身の放送委員会発行の『KUBC PRESS』の縮刷版(1982年〜1991年)の記事から、六甲祭にあるミスコン・ミスターコンの歴史を拾っていくと、1980年代の六甲祭初期からミスコンが開催されていたことがわかる。

▽応援団総部の「ミス神大コン」から放送委の「ミス六甲祭アイドルコン」へ
 当初、「ミス神大コンテスト」という名称で応援団総部が六甲台グラウンドステージで行なっていた。1985年の第6回六甲祭の記事に「第4回Miss神大コンテスト」がプログラムに入っている。
 2000年、2001年は放送委員会が「ミス六甲祭アイドルコンテスト」を実施。学内外から選ぶ形式になった。
 ところが、2002年、開催直前に抗議メールが大学に届いて中止に追い込まれる。記事には、「過去の参加者の経歴(実名、学歴、スリーサイズ)が半年以上公開されていたことに対し、参加者の友人から大学に抗議のメールが送られてきたことが要因となった。協議の結果、大学は中止を決定」とある。

▽2011年に六甲祭実行委の手でミスコン復活
 ところが約10年間のブランクの後、2011年に六甲祭実行委の手でミスコンは復活する。前年に他大学でミスコンが復活するなどの動きを受け、実行委の企画局長が課外活動支援係と折衝を重ねた末、「男性版も同時開催する」、「神戸大以外への積極的な露出を控える」などの対策を講じたところ、「大学内の関係委員会では反対意見もなく了承された」という。
 ミスコンだけの開催を持ちかけたが、ある女性職員から「過去にミスコンが廃止になった社会的経緯を考えると、また同じことをやるのはどうなのか。何か新しいかたちを」という意見が出たことも、当時のニュースネットは伝えている。

▽中止、復活の“最終決定権”は大学側
 こうして過去にさかのぼってみると、
▽40年前の六甲祭スタート当初から、ミスコンがあった。
▽運営は応援団総部、放送委、六甲祭実行委と移り変わった。
▽2002年に抗議のメールで中止になった。
▽2011年に復活した時点でミスコンの是非についての意見が学内にあった。
▽2002年の「中止」と2011年の「復活」の経緯を見ると、開催するかどうかの“最終決定権”は、大学側が持っていた。
 といったことがわかってきた。

※編集部では、神戸大学関係者からさらに多様な意見を求めています。フォーム https://forms.gle/7LSVVZXWiTo41cCb8 からお寄せください。

《六甲祭でのミスコン開催年表》
1984年 第5回六甲祭で「スポーツギャルコンテスト」 
 「ミス神大」に輝くのは誰か!? ステージ企画
1985年 第6回六甲祭で「第4回Miss神大コンテスト」 メインステージ企画
1986年 「ミス神大コンテスト」 六甲台グラウンド
1987年 「ミス神大コンテスト」 六甲台グラウンドステージ/企画:応援団総部
1988年 「ミス神大ギャルコンテスト」 六甲台グラウンドステージ/企画:応援団総部
1989年 「ミス神大コンテスト」 六甲台グラウンドステージ/企画:応援団総部
1990年 「ミス神大コンテスト」 六甲台ステージ
<1991年〜94年は記事がなく不明>
1995年 「ミス神大コンテスト」
1996年 「ミス神大コンテスト」 メインステージ
1997年 「ミス神大コンテスト」 メインステージ
1998年 「ミス神大コンテスト」 メインステージ
1999年 女装企画 特設ステージ
2000年 「ミス六甲祭アイドルコンテスト」/主催:放送委
2001年 「ミス六甲祭アイドルコンテスト」 ゲストに宮村優子さん。
2002年 「ミス六甲祭アイドルコンテスト」 /主催:放送委(直前に中止)。 

<この間ミスコンについての記事がない>

2011年 「ミス・アンド・ミスターキャンパス」として復活/主催:六甲祭実行委
2012年〜2019年 「Ms. Campus KOBE」/主催:六甲祭実行委
2017年 彼氏にしたい神大生を決める「モテコン」
2019年 第1回「神大ボーイズコンテスト」開催
2020年 「Ms. Campus KOBE」、「神大ボーイズコンテスト」オンライン開催に。


《関連記事》

1989年 『KUBC PRESS』 11月号
六甲祭の華といえば何といってもミス神大コンテストだろう。毎年応援団の企画運営で、ゲームやインタビューを通じてミス神大を選考。神大のきれいどころが一堂に会して、神大一の美女の座をかけて争う。今年はミスシュプール号が選ばれる。

1990年 『KUBC PRESS』 11月号
あなたも身近な美女を探しに六甲台ステージへ急ごう。ミスシュプール号には旅行券プレゼント。 華やかな祭をさらに華やかなものにするミス神大コンテスト。応援団のノリのいい視界を中心にゲーム、インタビューを交えながら神大一の美女を決めるという企画。

1995年 『神戸大学NEWS NET』 六甲祭 復興パワーで大盛況
11月11、12の両日開かれた第16回六甲祭。初日に小雨がぱらついたものの、二日目は快晴に恵まれ、多くの人でにぎわった。(中略)今年のミス神大コンテストでは、放送委のMさん(発達1年)が選ばれた。(中略)フィナーレを飾る後夜祭は、二日目午後五時から前庭ステージで応援団によって行われた。チアガールの胸には、震災で亡くなった応援団長の高見秀樹さんの遺影が掲げられていた。
https://www.unn-news.com/newsnet/1995/11/12/
(1995年11月12日付)


1996年 『神戸大学NEWS NET』 本紙11月号
「ミス神大コンテスト」は毎年恒例。ゲームを通して容姿のほかに教養・社交性を問うミスコン。

1997年 『神戸大学NEWS NET』 本紙11月号
「ミス神大コンテスト」。ゲームを通して容姿のほかに教養・社交性を問うミスコン。

1998年 『神戸大学NEWS NET』 本紙11月号
神戸大の女性ならだれでも参加できるのが「ミス神大コンテスト」。選ばれるとホテルのディナー券やハウステンボス招待券など豪華賞品がもらえる。

2000年 『神戸大学NEWS NET』 WEB投票受け付け
六甲祭の「ミス六甲祭アイドルコンテスト」(主催=放送委員会)では、WEB投票を受け付けている。最終投票と審査は十一月十二日(日)午前十一時から、六甲祭メインステージで行われる。審査員はABCラジオでおなじみのジャンプ藤井さん、竹内義和さん、板井昭浩さん。
(2000年11月2日付)
https://www.unn-news.com/newsnet/2000/11/02/


2000年 『神戸大学NEWS NET』 六甲祭2000 盛況のうち幕を閉じる
今年は学内だけでなく、卒業生や他大学生など一般公募からのエントリーも。審査員にはジャンプ酒井さん、竹内義和さん、板井昭浩さんを迎え、ステージ前には多くの男性でにぎわった。
「恋人に浮気がばれたら」などのシチュエーションへの対応を見るという審査内容。中には迫真の演技もあり、笑いや拍手がたえなかった。
グランプリを受賞したのはAさん。18歳、山口県立防府高校の3年生だ。清純派のイメージが受け、みごとミス六甲祭に選ばれた。土井さんは「まさか自分が選ばれるとは。遠くから神戸に来て、よかったです。楽しかった」と話した。(2000年11月12日付)
https://www.unn-news.com/newsnet/2000/11/12/


2001年 『神戸大学NEWS NET』 六甲祭プロコンゲスト決定
11月10日14時から行われる講演会にはTBS元テレビプロデューサーの貴島誠一郎さんが、11日に行われるミス六甲祭アイドルコンテストにはタレントの宮村優子さんがそれぞれ招かれることとなった。(2001年9月11日付)
https://www.unn-news.com/newsnet/2001/09/11/


2002年 『神戸大学NEWS NET』 今年度は中止 ミス六甲祭
学内外から参加者を募り、最も魅力的な女性を選ぶ「ミス六甲祭アイドルコンテスト」(主催:神戸大学放送委員会)が今年度中止になった。
 同コンテストのホームページに過去の参加者の経歴(実名、学歴、スリーサイズ)が半年以上公開されていたことに対し、参加者の友人から大学に抗議のメールが送られてきたことが要因となった。
 協議の結果、大学は中止を決定。11月10日に放送委員会に伝えた。同委員会担当者のBさん(文・2年)は「直前まで来ただけに残念」と話した。(2002年11月8日付)
http://www.unn-news.com/newsnet/2002/11/08/


2011年 『神戸大学NEWS NET』 ミスコン復活の舞台裏 六甲祭2011

 秋晴れに恵まれた11月12日と13日、神戸大の秋の名物「六甲祭」が今年も開催された。(中略)特に今年はかつて一度は廃止されたミスコンが復活した。その裏側に迫った。【11月30日 神戸大NEWS NET=UNN】

 神戸大にミスコンが復活した。12日の午後、六甲祭メインステージで男女4人ずつの出場者はそれぞれギター、手品、漫才など思い思いのパフォーマンスを3分間披露。観客の投票の末、ミス神戸大はAさん(法科大学院・2年)に、ミスター神戸大はBさん(工・2年)に決まった。

 かつて一度は廃止されたミスコン。復活の陰には六甲祭実行委員会(六実)の尽力があった。
昨年12月、六実の屋外企画局長の選定にあたって、「六甲祭に足りないと思っていた」というCさん(経済・3年)がミスコン復活を公約に掲げ、当選。企画がスタートした。実際に動いたのは「ミスコンをやりたくて屋外企画局に入った」という2年生のDさん(理・2年)ら3人だ。
 Dさんは「20年くらい前までは六実がやっていたようだが、それ以来タブーみたいになっていた」と話す。ジェンダー問題などから廃止に向かったようだ。
 ところが、昨年立命館でミスコンが復活するなど、関西の大学でにわかに復活の兆しが見えている。ここ神戸大でもCさんによると「復活の要望は大きかった」。実際11月4日に大学内にいた学生48人に聞き込みしたところ「開催に賛成」が30人、「どちらでもない」が17人、「反対」が1人と無関心がやや多いものの開催は歓迎されていた。

 六甲祭の企画はすべて大学当局の許可を得なければならない。六実と担当職員との折衝をへて、大学内の関係委員会の承認が下ると企画実行が可能となる。
 Cさんらとの折衝を担当した課外活動支援係のEさんは「学生のやることは応援したい一方、ネット社会のいま何が起こるか分からない」と複雑な心境だったという。クレーム、ストーカーなどが懸念されたようだ。また当初、Cさんらは女性だけでの開催を持ちかけたが、ある女性職員から「過去にミスコンが廃止になった社会的経緯を考えると、また同じことをやるのはどうなのか。何か新しいかたちを」という意見が出た。
 そこで、男性版の「ミスター」も同時開催することにし、また神戸大外への積極的な露出を控えるなどの対策を講じた。「大学はミスコンにありがちな露出を控えてほしいとのことだった。その中で折り合いをつけるのが大変だった」とCさん。数回のやりとりの末、Eさんは太鼓判を捺した。Eさんは大学内の関係委員会へ企画書を提出。そこでは特に反対意見もなく了承された。

 「来年度以降はもっと規模を拡大していきたい。学生を刺激できるような企画を」とDさん。さらに「神戸の街へ貢献し、良さを発信していきたい」という。彼らが目指すのは「日本一のミスコン」だ。 (2011年11月30日)
https://www.unn-news.com/newsnet/2011/11/30/


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(画像 ↑:1995年六甲祭「ミス神大コンテスト」の結果を報じる、11月12日付ニュースネット委員会ホームページのスクリーンショット。一部画像を加工しています。)



(画像 ↑:2000年六甲祭で放送委が主催した「ミス六甲祭コンテスト」投票募集のホームページのスクリーンショット。募集要項の上欄には学内外から応募のあった8人の写真も掲載し、事前のWeb投票を呼びかけていた。現在、写真はリンクが外れている。)



(画像 ↑:2002年六甲祭で「ミス六甲祭コンテスト」中止を伝えるニュースネット委員会ホームページのスクリーンショット。一部画像を加工しています。)



(画像 ↑:2011年六甲祭で行われた「ミス・アンド・ミスターキャンパス」の結果を伝える、11月30日付ニュースネット委員会ホームページのスクリーンショット。一部画像を加工しています。)


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[2020年10月15日 23:38アップロード]