コロナ禍の中、後期が始まった10月1日から一部対面授業が始まったものの、学内はまだまだ学生・教職員の数は少ない。依然として厳しい営業を迫られている生協食堂の中には、主に教職員向けに学内で「弁当配達」という新たなサービスに乗り出し、ワンコイン500円の日替わりメニューで人気を呼んでいる部門がある。10月からは学生向けの予約注文も始めた。<吉田真奈香>
それは六甲台第1キャンパスの「レストランさくら」だ。
神戸大生協は新型コロナの影響で、4月7日から全店舗を臨時閉店。その後、6月1日から工学部食堂や医学部食堂など一部店舗の営業を再開し、さらに10月1日からはLANS BOX食堂(文・理・農学部のある六甲台第2キャンパス)や国際文化学部店(鶴甲第1キャンパス)などが、感染対策のパーテーションなどを設置して営業再開した。
ところが、「レストランさくら」の営業再開のめどはたっていない。そんな状況下で、学内向けの弁当配達に4月15日から乗り出した。
レストランさくらのマネージャーを務める本田真一さんは、今年の春ごろを振り返り、「初めは、まさかこんなに大変なことになるとは思っていなかった」と振り返る。後期には、もしかしたら営業できるかもしれないと考えていたのだが、日を追うごとに状況が厳しくなっていくのを感じたという。
▼店舗の閉鎖で考え出された「弁当配達」サービス
例年と違って授業が始まらなかった今年4月。店舗は一時的に閉鎖したものの、大学で勤務を続ける教職員や生協のスタッフは昼食をどこかでとる必要がある。さらに、店舗営業ができない大学生協としては、何か新しい業態を考えなければならない。これら2つの問題を解決する策として生協関係者が考え付いたのが「弁当配達」サービスだった。
(画像:ある日の幕の内弁当。神戸大生協提供)
(画像:ある日のさくら9枡弁当。神戸大生協提供)
▼「幕の内弁当」と「9枡弁当」
レストランさくらの弁当は、9月までは2種。
ボリューム重視の「幕の内弁当」と、どちらかというと少食の人向きの「さくら9枡弁当」で、価格はどちらも税込み500円とリーズナブル。おかずは日替わりの内容だ。
さくら9枡は9個の仕切りにおかずが6種類、ご飯が3種入る。雑穀ご飯、麦ご飯、炊き込みご飯など、バラエティに富んだ内容だ。
こだわりは、なんといっても「手作り」であることだという。チーフを務める梶田博之さんは、「学食で食べることが出来るメニューが単に弁当に入っているというのではなく、より家庭の味に近いというのがコンセプトでありウリ」だと教えてくれた。
(画像:梶田さん【画像左】と本田さん【画像右】。神戸大生協提供)
▼10月からは5種類に増えたラインナップ
さらに10月2日からは弁当のラインナップが3種加わって、計5種類となった。
日替わりで提供される「幕の内弁当」、「さくら9枡弁当」に加え、「塩麹唐揚げ弁当」、「カツカレー弁当」、「さくら会食弁当」というラインナップ。価格は「さくら会食弁当」のみ1000円で、それ以外の4種類は500円で提供される。
苦労して実現させているのは、メインの税込み500円という値段。ワンコインの価格設定が人気を呼び、1日に平均して100個を売り上げてきた。
食材探しも頑張りどころだ。これまでは大学側からの依頼で学会などの場に1000円から2500円程度の弁当を作ることはよくあったが、この企画では消費税込みの500円で味噌汁もつけて容器代も考えなくてはいけない。
「そのため、いかに良いものを安く仕入れるかにこだわっている」と梶田さん。少しでもコストを抑えるために、野菜などもカットされた既製品を使うのではなく、自分たちで切るところから調理しているのだそう。
(画像:車で学内28か所に配達する。神戸大生協提供)
配達は、学内のあらかじめ決められたポイント28か所に配る仕組みだ。
ルートを順番に回って配達を行うので、午前10時30分から11時20分の間での配達となる。梶田さんは、「車もそんなにたくさんはないので、時間の指定は受けられない」という。
教職員以外でも、研究室単位で5個以上のまとまった数の注文がある場合はその研究室に特別に配達を行っていて、これまで研究室を離れることができない理学部の学生からの注文があったという。
▼後期からは学生がサービスを利用できる
後期からは対面授業が一部再開し、学生の入構許可が下り始めたことから、キャンパスに通う学生が弁当配達サービスを利用することが原則としてできるようになった。ただし、指定受け取り場所はほとんどが大学事務室内となっており、学生は立ち入ることが出来ない。学生が利用する場合には2か所の生協施設、六甲台第1キャンパスの「レストランさくら」、または鶴甲第1キャンパスの「生協組合員サポートデスク」で受け取ることが出来る。
レストランさくらの弁当は利用希望日の前営業日14時までに注文する必要がある。レストランさくらの弁当の注文は、レストラン「さくら」日替わり弁当注文受付フォーム(https://www.kucoop.jp/wfm/sakurabento/)から行うことが出来る。
なお、国際文化学部購買店、工学部店、LANS BOX購買店では注文なしに気軽に学生が弁当を購入できる。
コロナ禍の臨時閉店という事態の中で始まった弁当の配達だが、弁当配達で“顧客”とのコミュニケーションがより一層深まったと感じている、と本田さん。
もともと懇親会のケータリングなどで教職員との親交があったが、「ある学部の事務長からは『定年するまで、これ続けて』って冗談言われたりして」と梶田さんは笑う。
後期からも、店舗を開けるめどは立っていない。
レストランさくらの店舗営業が再開しない限り、弁当配達サービスを続けていくという。
神戸大生協レストランさくら マネージャー・本田真一さんの話
「このようなコロナの状況の中で、先生や職員の人たちはお昼ご飯が楽しみだと思うんですよ。お昼ご飯を楽しみだと思ってもらえるような弁当をお届けしたいと思っています。」
神戸大生協レストランさくら チーフ・梶田博之さんの話
「(大学の近くに)開いている店が他にないので、お昼ご飯の選択肢が少ない。なのでメニューが変わっていかないと飽きられてしまう。そこに気を遣っています。」
▽レストラン「さくら」日替わり弁当注文受付フォーム
https://www.kucoop.jp/wfm/sakurabento/ 。
▽神戸大生協 第3Q営業予定 お知らせページ
https://www.kucoop.jp/news_2/news_detail_2021.html 。
【訂正】「▼後期からは学生向けの弁当販売も」の部分について、前期は学生向けには弁当販売を行っていなかったと誤解を招く表現があったため、「▼後期からは学生がサービスを利用できる」とし、一部本文も修正しました。また、学生がレストランさくらの弁当を購入する際の注意点を補足しました。(2020年10月8日14:20 編集部)
了
それは六甲台第1キャンパスの「レストランさくら」だ。
神戸大生協は新型コロナの影響で、4月7日から全店舗を臨時閉店。その後、6月1日から工学部食堂や医学部食堂など一部店舗の営業を再開し、さらに10月1日からはLANS BOX食堂(文・理・農学部のある六甲台第2キャンパス)や国際文化学部店(鶴甲第1キャンパス)などが、感染対策のパーテーションなどを設置して営業再開した。
ところが、「レストランさくら」の営業再開のめどはたっていない。そんな状況下で、学内向けの弁当配達に4月15日から乗り出した。
レストランさくらのマネージャーを務める本田真一さんは、今年の春ごろを振り返り、「初めは、まさかこんなに大変なことになるとは思っていなかった」と振り返る。後期には、もしかしたら営業できるかもしれないと考えていたのだが、日を追うごとに状況が厳しくなっていくのを感じたという。
▼店舗の閉鎖で考え出された「弁当配達」サービス
例年と違って授業が始まらなかった今年4月。店舗は一時的に閉鎖したものの、大学で勤務を続ける教職員や生協のスタッフは昼食をどこかでとる必要がある。さらに、店舗営業ができない大学生協としては、何か新しい業態を考えなければならない。これら2つの問題を解決する策として生協関係者が考え付いたのが「弁当配達」サービスだった。
(画像:ある日の幕の内弁当。神戸大生協提供)
(画像:ある日のさくら9枡弁当。神戸大生協提供)
▼「幕の内弁当」と「9枡弁当」
レストランさくらの弁当は、9月までは2種。
ボリューム重視の「幕の内弁当」と、どちらかというと少食の人向きの「さくら9枡弁当」で、価格はどちらも税込み500円とリーズナブル。おかずは日替わりの内容だ。
さくら9枡は9個の仕切りにおかずが6種類、ご飯が3種入る。雑穀ご飯、麦ご飯、炊き込みご飯など、バラエティに富んだ内容だ。
こだわりは、なんといっても「手作り」であることだという。チーフを務める梶田博之さんは、「学食で食べることが出来るメニューが単に弁当に入っているというのではなく、より家庭の味に近いというのがコンセプトでありウリ」だと教えてくれた。
(画像:梶田さん【画像左】と本田さん【画像右】。神戸大生協提供)
▼10月からは5種類に増えたラインナップ
さらに10月2日からは弁当のラインナップが3種加わって、計5種類となった。
日替わりで提供される「幕の内弁当」、「さくら9枡弁当」に加え、「塩麹唐揚げ弁当」、「カツカレー弁当」、「さくら会食弁当」というラインナップ。価格は「さくら会食弁当」のみ1000円で、それ以外の4種類は500円で提供される。
苦労して実現させているのは、メインの税込み500円という値段。ワンコインの価格設定が人気を呼び、1日に平均して100個を売り上げてきた。
食材探しも頑張りどころだ。これまでは大学側からの依頼で学会などの場に1000円から2500円程度の弁当を作ることはよくあったが、この企画では消費税込みの500円で味噌汁もつけて容器代も考えなくてはいけない。
「そのため、いかに良いものを安く仕入れるかにこだわっている」と梶田さん。少しでもコストを抑えるために、野菜などもカットされた既製品を使うのではなく、自分たちで切るところから調理しているのだそう。
(画像:車で学内28か所に配達する。神戸大生協提供)
配達は、学内のあらかじめ決められたポイント28か所に配る仕組みだ。
ルートを順番に回って配達を行うので、午前10時30分から11時20分の間での配達となる。梶田さんは、「車もそんなにたくさんはないので、時間の指定は受けられない」という。
教職員以外でも、研究室単位で5個以上のまとまった数の注文がある場合はその研究室に特別に配達を行っていて、これまで研究室を離れることができない理学部の学生からの注文があったという。
▼後期からは学生がサービスを利用できる
後期からは対面授業が一部再開し、学生の入構許可が下り始めたことから、キャンパスに通う学生が弁当配達サービスを利用することが原則としてできるようになった。ただし、指定受け取り場所はほとんどが大学事務室内となっており、学生は立ち入ることが出来ない。学生が利用する場合には2か所の生協施設、六甲台第1キャンパスの「レストランさくら」、または鶴甲第1キャンパスの「生協組合員サポートデスク」で受け取ることが出来る。
レストランさくらの弁当は利用希望日の前営業日14時までに注文する必要がある。レストランさくらの弁当の注文は、レストラン「さくら」日替わり弁当注文受付フォーム(https://www.kucoop.jp/wfm/sakurabento/)から行うことが出来る。
なお、国際文化学部購買店、工学部店、LANS BOX購買店では注文なしに気軽に学生が弁当を購入できる。
コロナ禍の臨時閉店という事態の中で始まった弁当の配達だが、弁当配達で“顧客”とのコミュニケーションがより一層深まったと感じている、と本田さん。
もともと懇親会のケータリングなどで教職員との親交があったが、「ある学部の事務長からは『定年するまで、これ続けて』って冗談言われたりして」と梶田さんは笑う。
後期からも、店舗を開けるめどは立っていない。
レストランさくらの店舗営業が再開しない限り、弁当配達サービスを続けていくという。
神戸大生協レストランさくら マネージャー・本田真一さんの話
「このようなコロナの状況の中で、先生や職員の人たちはお昼ご飯が楽しみだと思うんですよ。お昼ご飯を楽しみだと思ってもらえるような弁当をお届けしたいと思っています。」
神戸大生協レストランさくら チーフ・梶田博之さんの話
「(大学の近くに)開いている店が他にないので、お昼ご飯の選択肢が少ない。なのでメニューが変わっていかないと飽きられてしまう。そこに気を遣っています。」
▽レストラン「さくら」日替わり弁当注文受付フォーム
https://www.kucoop.jp/wfm/sakurabento/ 。
▽神戸大生協 第3Q営業予定 お知らせページ
https://www.kucoop.jp/news_2/news_detail_2021.html 。
【訂正】「▼後期からは学生向けの弁当販売も」の部分について、前期は学生向けには弁当販売を行っていなかったと誤解を招く表現があったため、「▼後期からは学生がサービスを利用できる」とし、一部本文も修正しました。また、学生がレストランさくらの弁当を購入する際の注意点を補足しました。(2020年10月8日14:20 編集部)
了