インタビュー『LIVE』 緊急企画「コロナ禍の下の神大生」④
混声合唱団アポロン 西端真央さん・黒田聖奈さん・松田衣里加さん
コロナ禍の下で、神戸大生はどう過ごしてきたのか。インタビュー『LIVE』緊急企画「コロナ禍の下の神大生」では、危機に立ち向かった神戸大生たちに話を聞く。
第4回は混声合唱団アポロン。6月25日に、動画企画の「お家で歌おうの会」を主催した西端真央さん(保健4年)と、副指揮者を務める黒田聖奈さん(法3年)に、部活禁止中にどんな練習をしていたのかをうかがった。
そして10月18日には、黒田さんに、松田衣里加さん(国人2年)も加わってもらい8月下旬からの部活部分解禁以降の活動について聞いた。<いずれもオンラインでのインタビュー>
(画像:オンラインインタビューに答える西端真央さん=左下=、黒田聖奈さん=右下=)
3月頃から全く活動ができなくなった
ききて)3月に入ったくらいから部活が禁止されましたね。
黒田)もう全く活動が出来なくなってしまったので、時間はあるし、なんかやっときたいねっていう。普段、週3回で活動やってるので。
ききて)あ、普段は部活週3回やってるんですね。
黒田)そうですね、その時間、バイトとかも空けてる人が多くて、暇だねーと。ちょっとZoomで話すかぁ、みたいな時間が多かったので。
西端)4月のおわりくらいから、ちょっとずつ活動していくべきだよねっていう流れが出てきて。
黒田)たぶん6月25日まで部活禁止が延長になりますってなった時に、「オンラインで部活しよう」っていう流れになりました。
西端)実際に具体的に動き出したのが5月の連休明け、かなって思います。
5月の連休明けからオンラインで活動
ききて)週3回、体力トレーニングや座学も行ったりということをお聞きしてるんですけど。
黒田)どうしても合唱っていうものは会って声を出さないとできないと思うんです。とりあえず第1クウォーターの間は、長く部活に行かずに忘れてしまうのもどうかなと思って、みんながステイホームとかで運動不足になってるっていうのもあって、トレーニングをやろうってなりました。座学の方は、普段はあまり時間をとらないんですけど、改めて頭を使って考えて楽譜読めるようになった方がいいよねっていうので始まりましたね。技術系の中でアイデアが出たんですね。
ききて)技術系って?
黒田)混声合唱団なので、上からソプラノ、アルト、テナー、ベースって4つパートがあるんですけど、それにリーダーを置いていて。
ききて)パートリーダー的なものですね。
黒田)正と副、それに指揮者も入れて10人でそういう話になったという感じですね。例えばYouTubeの踊れるダンス動画でちょっと有酸素運動しようってなったり、体幹トレーニングをしてみようだったり楽しく運動してみようと。座学の方はPowerPoint作って、みんなで共有しながら進めてっていう感じでやってましたね。
ききて)座学って何年生対象にやってらっしゃるんですか?
黒田)これは、全員ですね。基本的に月曜日と木曜日は、筋トレだったりブレストレーニングを。土曜日がみんな授業ないので、ちょっと時間を平日より長めにとって2時間ちょっと、トレーニングにプラスして座学で、回してました。
(画像:オンラインで活動をするアポロンの部員)
6月下旬の第2Qからオンラインでパート練習
黒田)第2クウォーターから少し形を変えようかという話になって。パート練習をやろうかなっていう話になっていて。歌ってもらうのはちょっとできないんですけど、ピアノで曲の音程の確認をしたりとか、歌いまわしの確認、楽譜の確認をするというか、そういうのをやってみようとなっていて、土曜日からそれはやろうかなって考えています。
ききて)Zoomで教えてみて手応えは?
黒田)えっとZoomで座学もトレーニングも行っていたんですけど、音も聞こえなかったりとか、すごく人数がいると小さい画面になって反応が少し見にくかったなって思うんですけど。やっぱり直接反応が見づらいのがちょっと。
ききて)たしかに。
黒田)私もYouTubeの動画を流しながらやりたかったんですけど、さすがに画面共有で動画を共有してると上手く流れなくて、動画が止まって。結局みんな自分の端末で、共有されたURLに入りなおすっていうトラブルとかは最初はやっぱりありましたね。
ききて)何人くらい参加者いましたか?
黒田)基本25人くらいだと思います。
ききて)リモートでやってみて、所属意識は高まったと思いますか?
西端)個人的には結構高くなったなと思います。決まった時間に同じメンバーと会うので、自分はアポロンっていう合唱団にいて、っていう感覚は結構芽生えてきたかなと思います。
「ハッピーバースデー」をハモる動画アップ 「お家で歌おう」企画
ききて)アポロンらしい動画企画があったんですね。
西端)「お家で歌おう」企画っていうのを始めたのが、元々4月の中旬ごろからで、その企画を私が立ててLINEで呼びかけて、一緒に歌いませんかって呼びかけたのが元々の始まりだったんですね。
ききて)きっかけは?
西端)名前も顔も知らないアカウントの1回生のTwitterのつぶやきの中で「あー俺、友達も先輩もできないまま誕生日迎えるのか」っていう嘆きのツイートを見てしまって。なんかできないかなって。お祝いできないかなって。自分たち合唱部だし、ハッピーバースデー短いし、団員みんな歌えるし、ハモって。それができればいいなって思ったことがきっかけで。で、私がパソコンの編集技術、音声の合成とか画面の編集とかっていうのを覚えて、自分ができるようになったっていう準備を終えてから、4月中旬に団員にやりませんかっていう募集をかけたのが元々の始まりだったんですね。
ききて)なるほど。新入生の嘆きのツイートがきっかけって面白いですね。
西端)それでできたのが「ハッピーバースデー」のお家で歌おうっていう企画で。それができたのが4月30日。今まで4月生まれだった人、おめでとうございましたっていう意味であの動画を出したのが始まりでした。
ツイッターで新歓活動 8月までに1人だけ入部
ききて)新歓はどのように進めているんですか?
黒田)基本的にはツイッターです。本来だったら練習を一緒にやってみたりとか、私たちが歌ってるところを披露したりとかしてから、そのあと一緒にご飯にいって…。アポロンのことだったり、学校のことだったりを話すっていう風にやるんですけど、やっぱりそれが今できないじゃないですか。(歌を生で)披露するのもできないし、ごはん行くのもできないし。だから今、それぞれを別々に、Zoomでお話ししましょうって呼びかけてます。
ききて)さらに8月14日までは部活中止っていう風に(通知が大学から)出ましたけど。
黒田)しばらく部活できそうにないなっていうのは1年生も感じていて、一人だけ入部の子がいて、その子は一緒にトレーニングとかやってはいますね。
ききて)コロナがなければ、いつもの年はどんなことをしてますか。
黒田)本当はジョイントコンサートが6月終わりか7月頭にあるはずでした。本当にお客さんを呼んで演奏をするってのがそのジョイントコンサートと、12月の定期演奏会なので。それが今年は今のところは定演が一番最初になるっていうのが不安です。
黒田)第3クオーターまでに練習開始できなければ定期演奏会も危うくなってくるかなっていう感じで。いま色々な場合を想定して、一個上の指揮者とか運営の方とかが考えて動いてます。
では夏以降の活動はどのように行われてきたのか、副指揮者を務める黒田聖奈さん(法3年)に、松田依里加さん(国人2年)も加わってもらい、10月18日にオンラインで聞いた。
(写真:zoomでインタビューに答える松田衣里加さん=左上=、黒田聖奈さん=下=)
8月末から対面活動 マスクの上にフェイスシールドつけて
松田)8月末から対面の活動が始まっていまして。ただ、大学内の施設は使えないので、近くの公民館で練習を始めています。
ききて)何人くらい集まるのでしょうか?
松田)20人ちょっとくらいは、毎回来てると思います。
ききて)結構集まるんですね。感染対策っていうのはどういうことをされているんですか?
松田)まず、入室時刻の記録、検温、全員がマスクとフェイスシールドの装着。
ききて)歌う時も、マスクとフェイスシールド両方されるんですか?
松田)はい、マスクは常につけてて、休憩時間とかはフェイスシールド無しでマスクだけの人が多いんですけど、歌う時は基本全員フェイスシールドも着ける感じです。
ききて)歌いづらさはやっぱりありますよね。
松田)そうですね。あと、30分に1回の換気と手指の消毒、使用した備品、椅子などの消毒を行っています。
ききて)オンラインでの活動はもうされてない感じですか?
松田)そうですね、月、木、土で活動していて、基本すべて対面で行っていて、時間の都合で、例えば5限があったりして来れないとか、または感染がちょっと怖いからリモートで参加しますっていう部員はいます。なので、対面とリモートは同時並行ですね、今は。
ききて)コンサート開催の見通しはどうですか?
松田)一応、12月12日土曜日に定期演奏会の予定が入っています。開催の方向で準備は進めているんですけど、まだ確定ではないと聞いています。
(写真:マスクの上にフェイスシールドつけて対面活動をするアポロンのメンバー。2020年9月 鳴尾公民館で。)
週に1回Zoomで部員勧誘 「秋新歓」で15人は来て欲しい
ききて)新歓活動はその後、進んでいますか?
松田)基本的にはZoom新歓が主なので、その予定を決めて、SNSで投稿して、来てくださいねっていうお話はしてます。新入生と直接関わるような新歓はそれくらいで、いままでの合唱の動画であったり、普段のアポロンの部員の活動の様子とかを投稿したりはしてます。
ききて)なるほど。Zoom新歓はどれくらいの頻度で行われているんですか?
松田)現在は、だいたい週に1回程度ですね。
ききて)前回、6月に取材させていただいた時に、新入部員がまだ1人と伺いましたが、その後入部された方はいますか?
松田)現在は4人だったはずです。全員がばっと入ったというよりは、1人ずつばらばらで入ってくれたっていう感じですね。
ききて)なるほど、1年生ももう対面の活動に参加されているんですか?
松田)はい、正式に部員になった人は参加しています。
ききて)毎年1年生ってどれくらい入ってくるのですか?
松田)えっと、私の代は、10人入りました。
ききて)10月末の「秋新歓」にアポロンさんも参加されますよね。何人くらい入部してほしいと考えていますか?
松田)そうですね、せめて10人はいて欲しいので(笑)5人くらいはって思うんですけど。
黒田)15人くらい。
松田)私、予想が低すぎましたね(笑)
黒田)理想は!まあ合唱したいって子はそんなにいないと思うんですけど。理想は15人くらいです。
ききて)10月に入って課外活動の対面活動が広がりましたが、まだまだ届け出ないといけないなど制限がかかってます。学内に向けてメッセージをお願いします
黒田)6月下旬に取材を受けた時とは違って、多くのサークルが対面で活動してるかなって思うんですけど、これでやっぱり誰か1人でも(コロナに)かかってしまうと、また振り出しに戻ってしまうところもあると思うので、かかった人が悪いということではないと思うんですけど、みんなで油断せずに予防に取り組めたらいいなと思います。
松田)コロナには気をつけて、その中でも大学生活をたのしんでほしいです。
ききて)そうですね、活動再開ということはリスクも高まっているということなので気を付けていきたいですね。ありがとうございます。
<文・前田万亜矢、玉井晃平>
【西端真央(にしばた・まお)さん 医学部保健学科4年】
大阪府立千里高校出身。ソプラノ。2019年度は関西学生混声合唱連盟で常任(運営グループ)を担当していた。コロナ禍の活動自粛期間中はオンライン企画「お家で歌おうの会」の実施担当。
【黒田聖奈(くろだ・せいな)さん 法学部3年】
佐賀県立鳥栖高校出身。ソプラノ。2020年度は副指揮者。
【松田衣里加(まつだ・えりか)さん 国際人間科学部子ども教育学科2年】
大阪府立三国ケ丘高校出身。ソプラノ。Gマネ(合宿担当マネジャー)、新歓担当スタッフ。
了