それ、問題です!

引退した大学教員(広島・森田信義)のつぶやきの記録

病気の「告知」の意味

2019-02-13 14:31:42 | 教育

 水泳の池江選手が、白血病であることを「告知」「公表」した。水泳連盟も記者会見を開いて発表した。スポーツ選手や俳優・タレント、歌手なども、病気、特に「がん」が発見されると既定の方針であるかのように、ある場合には、本人の記者会見の形で、またある場合にはSNSや所属団体によって公表する。
 病気・病名は、個人情報の中でも秘匿性の高いものではなかろうか。「病気療養に入るという事実」の発表だけで十分ではなかろうか。今回、池江選手が「白血病」であることが判明したとして、その情報を受け取る人間にどれほどの益があろうか。単に「病気」とすることとの間にどれほどの差があろうか。本人に余計な負担がかかるだけではなかろうか。
 その懸念を実証するように、五輪担当大臣が、「がっかりした」という愚かにして、多くの人の本音かもしれない発言をして問題になっている。選手本人に、しなくてもよい心理的負担をかけてしまっている。
 自分なら知られたくないことを他者に求めるのは止めておきたい。

 


芥川賞受賞作品を読む

2019-02-13 14:03:11 | 教育

 第160回平成三十年下半期の芥川龍之介賞を受賞した二作品、『ニムロッド』と『1R1分34秒』を読む。無論、文藝春秋誌掲載(全文)による。
 一人の読者として、感想を記しておきたい。
 しばらく、同賞の受賞作に、「読みやすい」作品が続いたような気がしていたが、今回は、「あーっ、またか」という感想を持って読み終わった。単行本で読んだら、出費を後悔しただろうということでる。
 二作のうち、一つは、未消化なコラージュ作品であり、いろいろな素材が、一つのテーマの下に、十分に処理(統合)されているようには見えなかった。あと何ページ続くのかと最終ページまでの距離をもてあましながら読み進み、読み終えた。
 もう一つは、選者の評の一つに、「……いくつもしびれるフレーズが出て来て、思わず拍手したくなった。」とあるが、長年、言葉の教育に関与してきた読者としては、別の意味で「しびれた」。もっと洗練された日本語=母国語に出会いたかった。