それ、問題です!

引退した大学教員(広島・森田信義)のつぶやきの記録

政治への関心度-有権者およびメディアの問題-

2019-07-22 16:14:42 | 教育

 今回の参院選挙の投票率は48%台であることが分かった。つまり全国の有権者の半分以上がそっぽを向いていたということになる。こういう国民の態度に問題はある。政治への無関心は、いずれ自分たちに跳ね返ってくることはその通りで、選挙にそっぽをむくことがよいことではないということくらいはわかっているはずである。投票に行かない有権者を攻める理屈は了解できる。

 では、なぜ投票に行かないのであろうか。端的にいうなら、政治に魅力や切実さがないからである。地方の小自治体の議員には立候補する者が少なくて困っているところもあるらしい。しかし、楽しいイベントなら、大挙して押しかけるし,数日前から泊まり込みで行列を作って参加する人々もいるし、連日の球場のあの騒ぎを目にすると,国民一般が白けている訳ではないことが分かる。

 本日、つまり参院選の翌日、安倍総理の記者会見があった。同じ時刻に,吉本興業の幹部による「半社会勢力の主催する会に所属芸人が出席していた問題の取り扱い」に関する記者会見があった。総理の会見を報じているテレビ局はNHKのみで、他の民放各社は、吉本興業による会見の生放送ばかりを報じていた。

 メディアのこういう姿勢は、視聴者の意向を忖度したものに違いない。その意味で、政治が魅力のない存在であることを証明するものである。が、しかし、そのことを理解した上でなお、メディアの情報収集と情報提示の姿勢にも問題があることを指摘しないわけにはいかない。選挙というイベントは、その結果は判明したが、政治そのものは新しい布陣で、新たにスタート・ラインに立ったに過ぎない。「祭りの後」ではない。新しいイベントの直前であるかという状況下にあるのである。メディアは、このこと認識する手がかりを提供する役割を果たすべきではなかろうか。「投票に行こう」という空しい呼びかけをするよりも数段有効なはずである。

 1票の格差のある選挙は無効であるとの訴訟を弁護士団体が起こした。憲法違反という理由である。その前に、投票率48%台の選挙の有効性は問題にならないのか。