それ、問題です!

引退した大学教員(広島・森田信義)のつぶやきの記録

学校という権力機構

2020-04-22 14:42:04 | 教育

 近年は、学校受難の時代のようでもある。しかし、学校という組織は、一種の権力機構でもある。悪名高いモンスター・ペアレントといえども、一人で学校という組織に立ち向かうには躊躇するところがあるに違いない。学校には、我が子がいるのである。敢えて「人質」とは言わないが、場合によっては似たようなものである。

 その学校の一つが、手作りマスクの色を「白にせよ」と言っているという。緊急事態宣言の出る状況下、児童や保護者の造るマスクの色を制限する神経に唖然とする。スカートの丈、下着の色、スニーカーの底の厚さなど、制限の好きな組織である。制限の根拠は何かと考えると、論理的な説明は不可である。はっきり言ってどうでもいいことに時間と労力を費やしている。

 学校の背後には、「画一」の好きな教育委員会があり、その背後には、これまた「管理」の大好きな文科省がある。これら一連の権力機構は、児童・生徒に最も近い存在である教員の自由な発想、主体的態度を破壊している。子どもたちに悪影響を及ぼさないわけがない。

 しかし、組織といえども、成員一人一人から構成される。例えば、「なぜ、マスクの色まで統一する必要があるのか。布の入手も楽でない状況なのに、なぜ手元にある布ではいけないのか。保護者に余計な負担を求めることにならないのか。」という異論が出てこないのか。それが情けない。

 かつて、教組(教委職員組合=日教組)の強い時代には、今日とは真逆の、しかし、今日とそっくりの力関係のもとに、教員は翻弄された。よくよく教育現場は権力に弱いところのようである。子どもたちの目に、教員は、どのような存在に見えているのだろうか。レガ心配でならない。