新聞の第一面、最下段にいつものように書籍の広告がある。今朝は、意訳・徒然草の広告が目についた。その内容は、以下の通り。
【意訳で楽しむ古典シリーズ徒然草/兼好さんと、お茶をいっぷく】
(木村耕一著)
悪口を言われたら
「悔しい」「恥ずかしい」と
思いますが、言った人も、
聞いた人も、すぐに死んで
いきますから、気にしなく
てもいいのです。(第38段)
『徒然草』は、日本人のすべてが、中・高校時代に学んでいるはずであるが、多くは、兼好のシニカルな批評を感心して受け入れる体のものであったろう。いわば、教訓集、処世知集の類いのものと受け止められていたのではなかろうか。
この、38段を「自分の頭で」、自由に読んでみよう。w
確かに、自分の悪口を言った人も、聞いた人も、やがて死んでしまうので、いつまでもくよくよする必要はないように思うかもしれないが、言われた本人も死ぬのであってみれば、それも、言った人、聞いた人よりも先に死んでしまう可能性もあるのであってみれば、実は、何の救いにもなっていないのである。
もとより、徒然草は、論文ではない。兼好本人も、「心に浮かぶ由なし事」を書き付けたと言うから、気楽な随想として、批評的に読むのがいい。書いていることが前後で矛盾していることも、独りよがりもある。それを発見するのも楽しい。楽しいだけでなく、勤勉で勉強好きなわれわれ日本人に欠けている批判的能力を鍛えるのに役立つ。そこで鍛えた批判力を活かして、国会での与野党の論議を聞き、わが国の政治家のレベルを認識・評価するのも有益かもしれない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます