2日前の新聞に、大きな広告があり、その見出しに、「新聞購読で寝坊ふせぐ-7割以上が『寝坊少ない』」という大きな文字の表現があった。広告主体は「新聞科学研究所」だという。いかにも科学的根拠のありそうな構えである。
もう少し詳しく紹介しておこう。
「購読者と非購読者合わせて2472人への調査から新聞と朝寝坊に意外な関連性があることがわかった。」(リード)
『寝坊が少ないか』という質問に対し、新聞購読者は72.9%、日購読者は60.0%が少ないと回答した。その差は12.9ポイント。……(中略)……新聞や目覚ましにつづく、新たな寝坊防止グッズとなれるだろうか。」(本文)
新聞を読むと朝寝坊が防げると思わせる情報操作を行っている。新聞科学(こういう科学分野があるのかどうか知らないが)研究所なるいかにも権威のありそうな組織名も、重みを付与しているように見える。
常識的に考えて、「新聞購読」が寝坊防止に直結するとは思えない。朝早く起きる習慣があるから新聞でも読もうかという時間の余裕も生まれるというにすぎないのではなかろうか。明朝は、新聞を読むぞという心構えで就寝し、早起きする人間がいないとは言えまいが、極めて稀であろう。つまり、新聞を読むことが早起きの原因ではなく、結果にすぎないのではないか。従って、ぎりぎりまで寝ている人には、新聞を読む余裕がないのである。
早起きの原因は、前の晩の晩酌の習慣であるかもしれないし、散歩の習慣に起因する適度な疲労よるのかもしれない。早めに床に就き、ぐっすり眠れば、早起きは可能である。つまり新聞購読が早起きの原因とは限らないのである。例えば、「適度な運動は寝坊をふせぐ」でもいいし、「適量のアルコールは寝坊をふせぐ」とでも言う方が、原因として取り上げる必然性があり、納得しやすい。新聞が目覚ましに替わる機能を果たしているとは言えまい。
新聞は諸事象を加工して、生み出された情報を掲載する媒体であることは疑う余地がない。今回の情報の生み出し方も、そのことを如実に表現している。新聞に書いてあったなどという理由で、報道される情報を鵜呑みにしてしまってはならないのである。情報発信者は、常に、発信者に都合のいい加工をするものなのである。政治の世界では、あったことをなかったことにするというような大胆な過去がおこなわれているし、公文書の改竄などは珍しくもなくなっているのだから、情報を売り物にする企業が、自分たちに都合のよいような情報の生み出し方をすることは不思議でも何でもない。こういう行為を表題の4文字語のように呼ぶのである。
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