それ、問題です!

引退した大学教員(広島・森田信義)のつぶやきの記録

気になる表現-2

2017-08-22 23:00:01 | 教育

 世の中には、耳慣れない、落ち着きの悪い表現が少なからず存在する。それはそれで当然の現象とも言えるが、違和感のある表現を、どこでも目にし、耳にする、特に放送メディアを通して目や耳に届くと、長年国語教育に従事してきた者には、時に耐えがたいものがある。そのような違和感のある表現のいくつかを取り上げてみよう

①「有効的」……使用例:「こういう方法が有効的です。」 別に、北挑戦や、中国、ロシア、さらにはトランプ氏と仲良くするための方法ではない。「役に立つ」という意味で、「有効的」といっているのである。「的」は要らない。「こういう方法が有効である。」というのが正しく、音節の節約もできる。なぜ「有効的」などというのか、私には意味不明である。

②「難易度」……使用例「この技術は難易度が高い。」「難易度」とは、「何度+易度」のことであろうが、大抵の場合、「難度」を意味する言葉として用いられている。ならばなぜ「難度が高い」とか、「難度が低い」と言わないのだろうか。いやいや、「難度」の程度ではなく、「難+易」合わせたものの程度だというのかもしれないが、その場合でも、「難度」だけで用は足りる。言葉は、省エネの方向に変化するという傾向がある。その傾向に反しているし、「難しさ」のことを言っているのか、「易しさ」を言っているのか判然としないことは問題であるし、無駄なエネルギーを使う言葉である。

③「メルヘンチック」……使用例「この絵はメルヘンチックですね。」若い女性がよく口にする。この言葉を、英語だと思っているのではないだろうか。広辞苑の見出し語にもなっているから恐ろしい。メルヘンは、ドイツ語である。しかも最初のaにはウムラウトが付いている。ドイツ語にチックを付けていかにも形容詞風にした和製造語である。使わない方がよい。多くの日本語が、世界に通用するようになっている時代に、訳の分からない和製の外国語風語彙を生み出す必要はない。

④「メチャ」「チョ-」……使用例「メチャ悔しい。チョー悲しい。」 これは、無茶苦茶、滅茶苦茶……という程度の激しいことを言う、さほど上品ではない表現である。スポーツの世界大会やオリンピックなどで、選手にインタビューをする中で出てくると、耳を覆いたくなるほど恥ずかしい。日本語には、「とても」「とっても」「非常に」などという言葉がある。古くさくてインパクトがないなどと思ってはならない。どれほど品格があり、重みがあるか、一度インタビューで使ってみるとよい。天才棋士と呼ばれる藤井四段(中学生)は、読書量も多く、語彙も豊富で、感じ入ることが多い.一流のアスリートは、わが国を代表する存在でもあるから、できることなら知的であって欲しい。「ウザイ」だの「ヤバイ」などの人口に膾炙してしまった言葉も控えて欲しい。


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