うだるような,肌を刺すような暑さが続く。地球の温度調節機能が壊れているのではないかと心配になる。
豪雨災害の後、いきなりこの暑さでは,被災者の苦労はたいへんなものであろう。昔、同じような状況下にあった者として、同情を禁じ得ない。特に高齢者にとっては過酷、残酷というしかない。この国で老後を生きること自体が、大きな不安の種であるのに,最も基本的な生活の場である住居まで失った人が少なくないのである。
わが町の主要交通機関であるJRは,不通のままで、復旧は10月とか11月とか、現実とは思えない暗い見通しである。暗い,つらい状況を報じるメディアの言葉の中に、このところ,毎日のように、耳にするのが、「炎天下の中で……」という表現である。被災地報告のレポーターは、ほぼ例外なく,この表現を用いる。こういうものだと思い込み、普及してしまったもののようであるが、「下」は、「の元で」の意味を含んでいるはずなので、単に,「炎天下で」で十分である。 かねてより、「……とは思う」が流行し,今では,ほとんどの人間が、「……とは思います。」と表現しているようだ。早く「……と思う」が勢いを回復して欲しい「と思う」。
このたびの水害の構造について、例によって,専門家の解説に触れることが少なくなかった。その中に、「バック・ウオーター」なる専門用語風のものがあり、またかと思わせた。「名付け」とは不思議なもので、なんと表現してよいか分からないものが存在することは不安である。そこでなんらかの名前を付けることになるのだが、「なんと呼んでよいか分からない」物を、そのまま名前にしてしまうこともある。「UFO」は、そうした存在である。河川の予期せぬ氾濫の原因について、専門家が、もっともらしい顔と声で、英語による「バック・ウオーター現象です。」と言えば,なんだか納得できたような気になる。「バック・ウオータ-」とは、わが日本語では「逆流」という。専門家に聞くまでもない。こういう馬鹿げた名付けは、気象の世界以外でも、心理学や脳科学の世界によくあるようで、一種の「目くらまし」である。『徒然草』の「しろうるり」を思い出して,苦笑している。
このところ、日本語の箍(たが)が緩んできているようで、こんな中、「英語習得」に躍起になっている国の将来は危うい。
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